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『日本の少子化をくい止めるにはーその2ー(前半)』三橋貴明 AJER2019.10.22

 

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三橋TV第158回【ロシアのデフォルトから学ぶ国際金融資本のやり口】

https://youtu.be/gLclLDi-ueA


 昨日のエントリーで解説された通り、我々日本国民は、
● 全体の治水予算を抑制している
● 限られた予算の中で選択と集中が行われ、選択から外れた地方は見捨てられた
● 集中投資されている東京圏ですら、ギリギリ
 という状況に置かれています。

 ちなみに、2018年までの地域別公共投資の推移はこちら。
 
【地域別公共投資の状況(2018年まで)兆円】
 
 ここまで露骨に選択と集中をしてすら、東京圏すら守れない可能性がある。ましてや、見捨てられた地方は・・・・。

 金曜日に配信される三橋TVで、安藤裕先生が解説してくれますが、1時間降水量50mm以上の短時間強雨の年間発生回数は、増加中で、2009年~2018年の10年間の発生回数は、1976年~1985年に比べて、約1.4倍となっています。

 つまりは、これまでの「想定」では間に合わないのです。

 日本の河川は、荒川が典型ですが、脊梁山脈から河口まで一気に流れ下ってきます。日本の川は「滝」なのです。

 しかも、これまた荒川そのものですが、河の上流から河口までの距離が短い。台風が来ると、上流から下流まで一気に豪雨域に入ってしまいます。

 無論、上流では荒川第一調節池(彩湖)などで水をある程度受け止めますが、雨の量が増えてくるとなると、荒川各所の「治水上の弱点」が決壊し、東京は水に沈みます。

 となると、日本経済は事実上、麻痺。藤井先生の資料によると、62兆円の被害となります

 というわけで、メディアや野党は、「政府の無策・無能・怠慢」を猛烈に責め立て、PB黒字化目標を破棄させるか、せめて、
「建設国債はPB目標の対象外とする」
 ことを閣議決定させ、治水対策を拡充しなければならないのです。
 
 間違っても、
「社会保障費を削ってでも、防災投資を増やせ!」
「防衛費を増やすくらいなら、防災投資を増やせ!」
 といった、トレードオフの発想になってはいけません。これでは「選択と集中」をしている安倍政権と同じです。

 予算はあくまで「追加的に」かつ「長期的に」確保されなければならないのです。
 長期的に予算が増える、つまりは需要拡大が見込めて初めて、土木・建設企業は本気で投資を拡大し、散々に落ち込んだ供給能力の回復が始まることになります。
 
【歴史音声コンテンツ 経世史論】
※特別コンテンツ「MMTポリティクス 第三回」が視聴可能となりました。
※11月5日から上島嘉郎先生と三橋貴明の対談「自虐史観はなぜ始まり、深刻化したのか」がご視聴頂けます。
 
 ところが・・・。
 
『公共事業予算確保で圧力…台風被害で「防災・減災」関心 自公、長期の「強靱化」計画
◆台風被害で「防災・減災」関心
 台風19号の被害を受けて、自民、公明両党が国土強靭化に向けた公共事業費の拡大圧力を強めている。防災や減災に対する国民の関心が高いうちに、継続的な社会資本(インフラ)整備の予算確保を確実にしたいとの狙いからだ。
◆財政規律重視 財務省難色
 両党は23日に幹事長、国会対策委員長間で防災・減災と国土強靭化に関するA4判1枚の合意文書をまとめた。強靭化を「国家百年の大計」と位置づけ、政府に対し、中長期の新たなインフラ整備計画を作り、必要な予算を確保するよう求める内容となっている。(後略) 』
 
 読売新聞は、
「与党が台風被害を利用し、防災予算確保の圧力をかけている! 許しがたい」
 という印象を与える報道をしています。

 いや、本来、公共事業拡大の圧力を強めなければならないのは、お前だろ! 国民を殺す気か!

『国民の関心が高いうちに』
 って、お前はむしろ国民の防災への関心を高めなければいけない立場だ。

 などと、正論を叫んでも仕方がありません。我が国のメディアが腐っているのは、別に今に始まった話ではありません。

 読売の記者に「日本国民を殺そう」という意図があるわけではないでしょう。単に、バカなだけです。

 バカな上に、財務省の「指示」で、予算拡大を防ぐべく、印象操作の記事を書いているだけなのです。結果的に国民が死んだとしても、彼らは何の責任も採らないどころか、痛痒も感じないのでしょう。何しろ、バカですから。

 この手の無責任な公共事業否定論者が、印象論、抽象論で防災投資拡大を批判し、財務省が主導する緊縮財政が進められる。

 財務省としては、防災投資が増えるのは仕方がないにしても、
1.長期的予算を回避し、補正予算で逃げる
2.防災投資を増やした分、他の予算を削り、PB目標に影響を与えない
 という、二つの路線で「長期的な防災予算の『追加的』な拡大」を潰そうとしてくるでしょう。

 防災予算について「追加的」に拡大する、国民の声を高めなければなりません。具体的には、PB目標からの建設国債排除でOKです(とりあえずは)。

 さもなければ、我々は殺され続けます。

 さらには、土木・建設の供給能力が回復しない場合、将来世代までをも殺し続けることになるのです。
 地元の国会議員に、声を上げて下さい。お前たちの仕事は、俺たちを殺すことではなく、守ることだ、と。
 
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