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『日本の少子化をくい止めるにはーその2ー(前半)』三橋貴明 AJER2019.10.22

 

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令和の政策ピボットの呼びかけ人に、経済評論家・株式会社クレディセゾン主任研究員の島倉原氏が加わって下さいました。
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三橋TV第156回【日本国民の敵 日経新聞の久保田啓介編集委員】

https://youtu.be/29i_vLenzpc

 
 チャンネル桜「Front Japan 桜」に出演しました。
 
 来週土曜日からイギリス視察で日本を離れます。さすがに、11月に入れば「ブレグジット以降」になると思っていたのですが、現実は違いました
 
『英離脱、来年1月末まで延期 EUが合意
 英国の欧州連合(EU)離脱を巡り、EUは28日、10月31日としていた離脱期限を最長で2020年1月31日まで3カ月延期することで合意した。英国に時間の猶予を与え、社会や経済に混乱をもたらす「合意なき離脱」の回避を優先する。長期の延期に慎重姿勢を示していたフランスも、英国で総選挙の可能性が高まっているとして方針を転換した。(後略)』
 
 問題は、三か月延期したところで、ブレグジットの難問「アイルランド国境問題」は消滅しないという点です。

 もっとも、ジョンソン首相とEUが合意している新離脱案では、問題のバックストップ条項は排除されています。

 バックストップ条項とは、
「北アイルランドがブレグジット後もEUの関税同盟に残る」
 というもので、これでは連合王国(イギリス)の国境がアイルランド海に(事実上)移行してしまうことになります。
 
 ジョンソン首相は、新合意案でバックストップ条項を廃止したことについて、
「非民主的なバックストップは廃止した。北アイルランドの人たちは自分たちの暮らしのよりどころとなる法律を自分たちで決めるし、バックストップと異なり、北アイルランドの人たちは自分たちがそう望むなら、特別な取り決めを終わらせることができる。」
 と、ツイートしています。

 とはいえ、与党(保守党)に閣外協力している北アイルランドの民主統一党(DUP)は、それでも「支持できない」と表明しています。保守党は、下院の単独過半数を持っていないため、DUPの支持なしで、EUとの協定案を成立させることができるのか、微妙なところです。

 新合意案では、北アイルランドがこれまで通り物品を中心にEUの規制の対象となり、同時にイギリスの関税地域に留まるという、実に「玉虫色」的な案になっています(そうするしかなかったのでしょうが)。何しろ、EUとの「単一市場」と銘打ちながら、VAT(付加価値税)についてはイギリス政府の要望に答えなければならないわけですから、なかなか意味不明です。

 北アイルランドはEUに残るのか、イギリスと共にEUから離れるのか。この点を、恐らくは故意に曖昧にし、とりあえずブレグジットを実現し、その後は試行錯誤的にEU離脱を完了させようという意図なのだと思います。

 北アイルランドは、四年ごとに同地域にEU規則を適用するかどうか、決定できるものとなっています。
 
 つまりは、とりあえず新合意案でブレグジットを実現し、北アイルランドとアイルランド共和国との国境は復活させず、四年間で最終的にどうするのか模索する

 現状のイギリスが置かれた状況からすると、とりあえずの落としどころとしては「あり」だと思いますが、DUPは納得しないでしょう。
 
 イギリスは、まだまだ揉めそうです。その最中に、訪英することになります。
 
【歴史音声コンテンツ 経世史論】
http://keiseiron-kenkyujo.jp/apply/
※長浜浩明先生の特別コンテンツ「日本人はどこから来たのか?」が、明日(30日)で視聴終了となります。ご留意ください。
 
 ところで、ジョンソン首相のツイートは、ハッシュタグが「#GetBrexitDone #TakeBackControl」となっています。日本語に訳すと、「#ブレグジットを実現しよう #決定権を取り戻そう」です。

 つまりは、EUに加盟しているイギリスあるいは「イギリス国民」には、「決定権」がない、と。
 
 まさに、この点が世界的な現在の「反・グローバリズム」のポイントで、「財務省から財政主権を取り戻そう」と我々が主張しているのも、根っこは同じ話なのです。

 グローバリズムのトリニティ(緊縮財政、規制緩和、自由貿易)を推進する図の左側の勢力は、裁量的な政策を嫌悪します
 
【主流派経済学とケインズ系の経済学】
 
 無論、経済学的な「思想」の問題もありますが、それ以上に重要なのは、
「グローバリズムを政府に強要し、国民に主権を行使させないことで、自分たちのビジネスの利益最大化が達成できる
 という点です。

 何しろ、「自分の利益最大化のみ」を実現する政策は、普通は国民の多数派の賛同を得られません。結果、民主主義により否定される。
 
 それを防ぐために、情報をコントロールし、○○会議の民間人が、国会をパススルーして政策を決定し(※日本)、ロビイストに大金を払い(アメリカ)、あるいは国際協定で縛る(EU、ユーロなど)

 結果的に、
「自分の国の政治を、自分たちで決められない」
 ことにウンザリした国民が、反乱を起こしているというのが、現在の世界なのだと思います。
 
 日本の場合、イギリスとは異なり、別に国際協定で緊縮財政をコミットしているわけではありません。それにも関わらず、情報をコントロールされ(「財政破綻論」の蔓延)、財務省の飼い犬の「会議」(財政制度等審議会、経済財政諮問会議など)が「緊縮あるのみ」の世論を推進し、消費税は増税され、国民の生命や財産を守るための予算も増やせず、貧困は放置され、PB黒字化路線が堅持されている。

 事の本質は、国民が「主権」を取り戻せるか、否か、なのです。この「本質」が見えれば、現時点で「右だ! 左だ!」で争い続けることが、どれほど愚かしいかが理解できるはずです。

 令和の政策ピボット呼びかけ人のお一人である、堀茂樹先生(慶應義塾大学名誉教授)の言葉を再掲します。

「今や世界の趨勢はポスト・グローバリゼーションです。日本はここで適応を誤るわけにいきません。国民国家の再建が急務です。もはや、右翼と左翼で対立している場合ではありません。新自由主義グローバリズムに蝕まれてきたのは、ナショナルな価値とソーシャルな価値の両方なのですから。国境を否定すれば社会的連帯は不可能です。社会的連帯のためでなければ国境に存在意義はありません。これ即ち、できるだけ広範な層の「愛国者」の結集を呼びかける所以です。」

 日本国は、明らかに「ナショナルな価値」と「ショーシャルな価値」の双方を失う道を驀進しています。
 
 イギリスは混迷していますが、明らかに「国民国家」として正しい道を歩もうとしていると信じます。我々も、イギリスに倣い、「自分たちが決定権を持つ国家」を取り戻しましょう。
 
「国民が決定権を持つ国家を取り戻す!」に、ご賛同下さる方は、
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