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『日本の少子化をくい止めるにはーその1ー(前半)』三橋貴明 AJER2019.10.15

 

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三橋TV第152回【東京都民のための地方経済再生を!】

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 「新」経世済民新聞で取り上げましたが、「MMT 現代貨幣理論入門」において、ランダル・レイ教授は、自国通貨のことを「主権通貨」と表現しています。
 素晴らしい表現です。(というか、鈴木正徳氏の翻訳や、島倉原氏の監修が素晴らしいことですね)

 ちなみに、MMTが説明した(というか証明した)「財政破綻しない国」とは、主権通貨国でかつ「変動為替相場制の国」です。主権通貨ではない国(ユーロ加盟国)や、固定為替相場制の国、及び外貨建て国債発行国は、デフォルトリスクはゼロではありません。

 「現代貨幣理論入門」から引用します。
 
1.変動為替相場で主権通貨
 ⇒最も政策余地が大きい。政府は自国通貨で売られるものなら何でも購入できる「支出能力」がある。自国通貨におけるデフォルトリスクはない。政府支出が大き過ぎると、インフレや通貨安が起きる可能性がある。

2.管理された変動為替相場で主権通貨
 ⇒政策余地がやや小さい。政府は自国通貨で売られるものなら何でも購入できる「支出能力」がある。ただし、国内政策が通貨を望ましい為替レートの範囲から逸脱させる圧力を生んでしまう可能性があるので、為替レートに対する影響に注意しなければならない。
 
3.固定為替相場で主権通貨
 ⇒3つの中で最も政策余地が小さい。政府は自国通貨で売られるものなら何でも購入できる「支出能力」があるが、固定相場を維持するのに十分は外貨準備を維持しなければならない。状況次第で、これは国内政策余地に厳しい制約を与える可能性がある。外貨準備を失ってしまうと、固定レートで交換する約束について直ちにデフォルトとなる可能性がある。 
 
 変動為替相場制の主権通貨国は、政府の裁量が最も大きく、為替レートに政策が左右されることがなく、デフォルトの可能性はゼロです(※自国通貨建て国債について)。

 もっとも、固定為替相場制の主権通貨国であっても、「非・主権通貨国」よりはまだしも政府の裁量はあります。つまりは、ユーロとは政府の裁量を縛りに縛る、最悪の制度なのです。

 ちなみに、なぜ固定為替相場制の国は「自国通貨建て国債」であっても、デフォルトリスクがあります。理由は、まさに固定為替相場であるため、自国通貨建て国債が事実上の外貨建て(対ドル固定為替相場ならば、ドル建て国債)と等しくなってしまうためです。

 98年のロシアのデフォルトについて、「あれはルーブル建てだ!」と、自国通貨建て国債でもデフォルトする~、日本も財政破綻する~、と叫んでいる「知ったかさん」がいますが、当時のロシアは対ドル固定為替相場制でした。つまりは、ルーブル建てとは言えども、外国人が持つ国債は事実上のドル建て国債だったのです。

 この辺の話は「図」を多用しないと難しいので、いずれ別の機会にやりましょうかね。(先日、三橋経済塾では取り上げた)
 参考までに、「2」に該当するのが中国です。中国は管理フロート制であるため、国内政策が為替市場から完全に独立しているわけではありません。この辺の話も、三橋経済塾第八期第十回講義でやりましたので、よろしければご入塾ください。
 
 
【歴史音声コンテンツ 経世史論】
http://keiseiron-kenkyujo.jp/apply/
※10月1日から、長浜浩明先生の特別コンテンツ「日本人はどこから来たのか?」が視聴可能となりました。
 
『【G20関連】財政政策重視、金融政策頼みに限界 日本の対応注目
 今回の20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議では世界経済の悪化リスクに対処するため、公共事業などへ国の歳出を増やして景気を刺激する財政政策を重視すべきだとの意見が相次いだ。これまで各国は金融政策に頼ってきたが、限界や弊害が表面化してきたことが背景にある。今後はまず、消費税増税のタイミングに台風19号直撃が重なった日本の対応が世界の注目を集めそうだ。
 「政策手段を総動員し、強固で持続可能、バランスのとれた成長を目指すべきだ」。麻生太郎財務相は閉幕後の記者会見でこう訴えた。財務省高官によると、「初日の討議で、景気回復には金融政策だけでなく、財政政策も重要だとの発言が出た」という。(後略)』
 
 逆噴射を思いっきり吹かせている日本国とは異なり、世界は次第に正常化しつつあります。すなわち、金融政策の限界と、財政重視路線への転換が始まろうとしているのです。

 というよりも、「正しい財政政策」への転換でしょう。
 ケインズ的な、総需要管理政策です。
 
 総需要が足りないならば、政府が財政拡大をする。インフレ率が健全な水準を越えて上昇するならば、財政を抑制し(予算を増やさなければいい)、金融引き締めで需要拡大を抑え込む。
 ただ、それだけの話です。

 そして、「1」を読めば分かりますが、
・ 変動為替相場制の主権通貨国
・ 現在のインフレ率が低すぎる
・ 経常収支が恒常的に黒字で、外貨準備が十分で、対外純資産が大きく、通貨安のリスクが小さい
 国こそが、世界で最も財政拡大に際して予算制約がなく、政府の裁量が大きいということになります(除・基軸通貨国、でしょうけど)。

 さあ、世界で最も予算制約がなく、裁量が大きい国は「どこの国」ですか。もちろん、我が国です。

 しかも、災害続きで政府は防災投資を拡大「しなければならない」局面なのです。それにも関わらず、緊縮財政の放棄に踏み切れないとなると、我々は将来世代から「亡国の世代」と認定されること確定です。

 ちなみに、災害やG20を受け、安倍政権が「機動的な財政が必要だ」と言い出したとしても、信用してはなりません。

 安倍政権にとって、緊縮路線放棄は明確なのです。もちろん、プライマリーバランス黒字化目標の破棄です。
 PB目標破棄は、閣議決定のみで可能です。
 PB目標を破棄しない限り、安倍政権は国民の生命や安全を軽視し、世界の流れにすら逆らい、教条的な緊縮路線を貫いた亡国政権であると、歴史に刻まれることになります。というか、刻み付けてみせます。
 
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