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『日本の少子化をくい止めるにはーその1ー(前半)』三橋貴明 AJER2019.10.15

 

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三橋TV第152回【東京都民のための地方経済再生を!】

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 昨日は三橋経済塾第八期第十回講義開催日でした。上島先生、二次会までお付き合い頂きありがとうございます。
 インターネット受講の皆様は、しばらくお待ちくださいませ。
 
 メルマガ「週刊三橋貴明 ~新世紀のビッグブラザーへ~」の最新号「Vol543 インフラ投資と国富」で、防災投資による「国富創出」と「我々の財産(預金)創出」についてバランスシートで説明したところ、かなり好評でした。
 本件に関連した記事がいくつかありましたので、ご紹介。
 
台風を期に公共投資「所得倍増」を!「伊勢湾台風」型の進路が示唆するもの
(前略)先ほども述べたように、伊勢湾台風が日本全国を襲ったのが1959年、このときの内閣総理大臣は岸信介でした。現在の上皇・上皇后夫妻が結婚、前回の東京オリンピックの開催が決まったのも同じ年のことです。
 また「60年安保」で政治が大荒れに荒れたのもこの頃のことで、翌60年の6月15日には東京大学に在学していた女子学生、樺美智子さんが亡くなり、岸政権は新安保条約批准ののち総辞職、池田勇人内閣が成立します。
 直後の10月、日本社会党の浅沼稲次郎委員長が、17歳の少年山口二矢に刺殺されるなど、別の意味での嵐の季節でもあった。
 そんな中で誕生したのが、池田内閣の目玉政策となった「所得倍増計画」でした。(後略)』
 
対策遅い「災害大国」 借金ばかり心配する財務省、国民の命を守るための公共投資増やせ
(前略) 財務省は口を開けば「赤字削減」を唱える。だが、建設国債で河川対策費用を賄えば、借金が増えたとしても、同時に河川の価値も高まる。国のバランスシートで見れば、資産と負債が両建てで増えるだけだ。負債から資産を引いた純債務は変わらない。借金の大きさだけを問題にする財務省の理屈が、そもそも間違っているのである。
 別の言い方をすれば、いくら政府の借金が増えようと、それで治水対策が進んで、国民が災害から免れるなら、結構な話ではないか。政府の仕事は「国民の命と暮らしを守る」ことだ。それができないのに、借金を心配するのは本末転倒である。
 折から臨時国会が開かれている。政府は大型補正予算を組んで、無電柱化の推進はじめ、抜本的な災害対策を進めるべきだ。米中対立の激化など世界経済の行方が不透明になるなか、災害対策は景気対策にもなる。まさに一石二鳥ではないか。(後略)』
 
 台風15号、台風19号という連続的な災害襲来は、確かに日本国の「空気」を変えつつあります。

 以前は、堂々と「公共投資の拡大を」と主張していたのは、我々くらいなものでした。財政面の話はとりあえず置いておいて、とにもかくにも、
「政府は公共投資、防災投資で国民の生命や財産を守らなければならない」
 という、当たり前の話が理解され始めたのだと思います。

 記事において、伊東乾氏は「公共投資と所得」、長谷川幸洋氏は「公共投資と純資産」の話を書いていますが、まさにこれが「Vol543 インフラ投資と国富」のテーマでした。ちなみに、長谷川氏の言う「純資産」は、別名「国富」と呼びます。
 
【歴史音声コンテンツ 経世史論】
http://keiseiron-kenkyujo.jp/apply/
※10月1日から、長浜浩明先生の特別コンテンツ「日本人はどこから来たのか?」が視聴可能となりました。
 
 というわけで、日曜日で、じっくりとエントリーを読み込むことが可能な方も多いでしょうから、防災投資による「国富」と「所得(我々の現預金)」の増加のプロセスについて解説しておきましょう。
 
 バランスシートを使った細かい説明は、「Vol543 インフラ投資と国富」をご覧ください。バランスシートを使うと、さすがに置き去りの読者が激増しそうなので、本エントリーではやりません。
 
 例えば、政府が10億円の建設国債を発行し、ダムを建設したとします。
 
(1) 政府の建設国債発行
 市中銀行の資産、日銀当座預金10億円が、国債10億円と引き換えに、政府に移ります。
 市中銀行の資産として、政府の負債である国債10億円が計上されます。
 
(2) 企業のダム建設と、政府の支払い。
 事業を受注した企業がダムを建設すると、政府は市中銀行に指示し、支払いをします。
 具体的には、市中銀行に持つ企業の銀行預金口座の「お預かり金額」に、10億円が打ち込まれます。(銀行が印字するだけ)
 ご存知の通り、預金は市中銀行にとって負債です。政府指示で負債(銀行預金)を増やさせられた市中銀行は、決済をしてもらわなければなりません。 
 また、この時点で政府の固定資産として「ダム 10億円」が出現しています。
 
(3) 市中銀行が企業への支払いについて、政府と決済。
 日本銀行は、政府が国債発行で借りた日銀当座預金10億円を「消し」、市中銀行の日銀当座預金10億円を「増やし」ます。(キーボー打つだけですが)
 これで、政府-銀行間決済は完了です。
 
 普通の公共投資は、これで終わりですが、「国の借金、国の借金」煩いので、政府が最初に発行した国債10億円を貨幣化してしまいましょう。
 
(4) 国債の貨幣化
 日本銀行が、市中銀行の国債を買い取り、日銀当座預金を発行。
 具体的には、銀行の資産から国債10億円が消滅し、代わりに日銀当座預金10億円が増えます。
 日銀の資産として、国債10億円が出現します。
 
 最終的に、国債が貨幣化されたため、政府の債務的な負担(利払い・償還)は消滅しました。

 その上で、一連のプロセスを経て、
1.企業の生産活動により、所得創出が行われ、銀行預金10億円という「資産」が生まれた
2.政府にダム10億円という「資産」が生まれた
 ことが理解できるはずです。この「ダム10億円」こそが、国富に該当します。(生産資産という名の国富です)

 つまりは、政府の10億円の防災投資(&貨幣化)により、
「国富10億円が生まれ、国民の所得(預金)が10億円増え、さらに政府の実質的な債務返済負担は生じない」
 ということになるわけです。
 
「そんな巧い話があるか!」
 と反発するおバカさんが「現実に」多いのですが、事実がこうである以上、仕方がありません。巧い話は、普通にあるんですよ。
 すると、
「そんな巧い話があるのに、なぜ政府は公共投資を減らし続けているんだ!」
 と、妙な反発をされるのですが、そりゃあ、国民や政治家が、アンタ同様にバカだからだよ、としか言いようがないのです。
 
 問題はむしろ、日本の企業に「ダムを建設する能力があるか、否か」です。国民経済の五原則の1を思い出してください。
「1、国民経済において、最も重要なのは「需要を満たす供給能力」である。」
 つまりは、政府が防災投資を怠ることは、上記のメリットが生じない上に、虎の子の「土木・建設の供給能力」を毀損していく事態になってしまうのです。

 さて、ここまで「国民のメリット」を説明しても、我が国の公共投資否定論は終わらないでしょう。彼らを潰すためには、公共投資肯定論で国民世論を埋め尽くす必要があります。

 自分や家族、同じ国民の生命を守るため、あらゆる角度から切り込み、公共投資否定論を潰さなければなりません。切りつける際の「刀」の一つを、本日、ご紹介いたしました。
 
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