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『現代貨幣理論入門ー税金の真実ー(前半)』三橋貴明 AJER2019.9.24

 

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三橋TV第143回【自己責任国家から脱却しよう!】

https://youtu.be/q9U2k6Rc4rA

 

京都大学レジリエンス実践ユニット主催「与野党全国会議員対象「MMT勉強会」」が開催されます。
http://mtdata.jp/mmt.pdf

 皆様、是非、ご地元の国会議員に紹介して下さいませ。特に、野党側の国会議員に、
「自民党を打倒したいなら、とりあえずMMTを学ぼう」
 と呼び掛ければ「効く」かもしれませんよ。

 今週は日本の経済政策を歪めている社会現象として、「合成の誤謬」「自己実現的予言」「集団的記憶喪失」「嘘つきたち」と、四回連続で取り上げて参りましたが、本日は「認識共同体」

 

 認識共同体については、中野剛志先生に、
【三橋TV第111回【絶望の向こう側のチャンスを!】
 で解説頂きましたが、本エントリーでは人間が「特定のコミュニティ」内でしか情報を得ようとしなくなり、結果的に判断を間違える「問題」と定義します。

 と言いますか、人間は誰でも何らかの認識共同体に属しており、制約を受けざるを得ません。皆さんにしても、絶対に「日本人」という認識共同体に属しています。

 ちなみに、「隣国」が常に「敵国」もしくは「仮想敵国」なのは、距離的に近いにも関わらず、「認識共同体としての国家」を共有できないためです。分かりやすく書くと、日本人は絶対に「韓国人」「中国人」は理解できないのです。(先方も同様です) 認識を共有できないからこそ、違う国なのです。

 それはともかく、いわゆるグローバリストは、国家という枠組みを超えた「グローバリストの認識共同体」に帰属しているというのが、中野先生の見解です(わたくしも同意しますが)。彼らは、エニウェア族(どこにでも住める)で、言語は英語。となると、当然、思考の枠組みも英語。所得は「現場の労働」ではなく、資本利益として得る。

 グローバリストは、同じ認識共同体に属するグローバリストとしか会話しません。当然ながら、彼らは「日本国に住み続ける日本国民(サムウェア族)」の感覚は理解できません。日本人が、韓国人や中国人を理解できないのと同じです。

 さて、来週火曜日に消費税が増税され、キャッシュレス決済のポイント還元制度が始まります。そこに、食料品(持ち帰りのみ)と新聞(配達のみ)の据え置き税率(軽減税率ではない)が加わるため、消費税率が事実上「5種類」になります。

 ポイント還元制度は、来年6月末までの限定措置で、2020年7月1日に、キャッシュレス決済をする国民は「再増税」になります。

 何で、こんなややこしい制度が導入されたのか。わたくしは、
キャッシュレス決済を導入したい経産省と、消費税増税が悲願の財務省とが取引した
 と、解説してきました。ちなみに、「法人税減税」と「消費税増税」が必ず組み合わせるのも、経産省と財務省のバーターです。
 
【歴史音声コンテンツ 経世史論】
http://keiseiron-kenkyujo.jp/apply/
※12月12-13日、邪馬台国視察ツアー「歴史に魅せられて、マイと辿る邪馬台国への道」開催決定!(三橋貴明、長浜浩明先生、高家望愛さんも同行します)
 
 田村秀男先生が、バーターについての記事を書かれています。(この種の記事を書く新聞記者は、田村先生だけです、ホント・・・)
 田村先生は、今回の「税率五種類」について「化け物のような税制」と表現されています。
 
二宮尊徳の「戒め」に反する消費税増税…実質賃金はマイナス
 幕末の篤農家、二宮尊徳は「暗君は取ることを先にし、国衰え、民は窮乏し、やがて国家は滅亡する」と、説いた(吉田寛著『市場と会計』春秋社刊から)。
 10月1日から消費税率が10%に上がるが、化け物のような税制と言っていい。キャッシュレス決済に伴うポイント還元と食料品などの軽減税率を合わせると、消費者が負担する実質的な税率は5通りと複雑で、現場では大混乱が必至だ。
 零細業者は廃業の動きが相次いでいる。ポイント還元制度はアマゾンや大手小売りが消費者サービス上、優位を競う。大型小売りの進出規制緩和後、地方の商店街が軒並みシャッター通りと化した悪夢を、性懲りもなく繰り返す。
 「軽減税率は同制度の導入を強く主張する公明党と日本新聞協会に譲歩した結果で、ポイント還元制度は首相官邸で強い影響力を持ち、キャッシュレス決済の普及を狙う経済産業省にすり寄ったため」と、知り合いの財務官僚OBは釈明する。要は財務省として消費税率10%という既成事実を作り上げたかっただけのことだ。(後略)』
 
 本日のポイントは、なぜ経産省が「キャッシュレス決済」を普及したいのか、という点です。あるいは、なぜ消費税増税のたびに、法人税減税がバーターされるのか。

 それはもちろん、経産官僚がキャッシュレス決済導入によるビジネス拡大や、法人税減税による純利益(及び配当金)拡大を望む財界人としか付き合っていないためです。

 つまりは、経産省の官僚たちは「自分たちの利益最大化」のみを目的とする人々の認識共同体に属しているのです。経産官僚が属する認識共同体では、日頃から、
「法人税率が高すぎる。このままでは日本でのビジネスができない」
「日本はキャッシュレス決済が普及していない、遅れた国だ」
 といった会話ばかりが交わされ、誰もが「うん、うん」とうなづく。

 というわけで、日本を「キャッシュレス決済が普及していない遅れた国」と認識した経産省が、消費税増税というショックを利用し、財務省とバーターした。これが、真相でしょう。

 もっとも、人間に何らかの認識共同体に「属するな」というのは無茶な話です。そもそも、人間は社会的動物です。

 各官僚が、それぞれの認識共同体に染まった意見を持っている。とはいえ、それはそれとして「国家国民のために、どうしたらいいのか?」を理解し、異なる視点、異なる「考え方」に基づき官僚をコントロールするのが「真の政治家」なのです。

 日本の衰退は、結局のところ「政治の劣化」に原因があるのです。そして、政治を強化するためには、国民一人一人が「日本を亡ぼす社会現象」を理解し、その上で政治を動かすしかない。

 政治を強化するためにも、政治が必要。厳しい時代です。とはいえ、諦めずに「言論」で戦うしかありません。
 さもなければ、今回のような「化け物のような税制」の政治が続きます。
 
 と言いますか、そもそもポイント還元以前に、消費税自体が「化け物のような税制」であるわけです。10月1日に始まるアベ・ショックを切っ掛けに、早期に「消費税廃止」を実現しない限り、我が国に繁栄の未来はありません。
 
「消費税廃止を求める」に賛同下さる方は、
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