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『現代貨幣理論入門ー税金の真実ー(前半)』三橋貴明 AJER2019.9.24

 

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三橋TV第142回【いわゆるリフレ派政策の終焉】

https://youtu.be/SPlZT4Y76uU

 

 8月20日のエントリー「ドイツの失速とアベ・ショック」で、
『消費税増税やPB黒字化目標、政府支出削減で内需を痛めつけ、そこに米中覇権戦争、欧州経済失速の影響が覆いかぶさり、
「アベ・ショック」
 と、歴史的に呼ばれることになる経済危機に陥る
わけですが、それでも財務省や政権は自らの緊縮財政の責任は一切認めず、
「米中覇権戦争や欧州経済危機の影響で、日本経済も失速した」
 と言い訳をかます確率100%なのです。』
 と書きましたが、藤井聡先生は「新」経世済民新聞で、上記を「令和元年九月の予言」と表現されていました。
 
【藤井聡】【令和元年9月の予言】これから、多くの政治家・有識者達は令和初頭の経済低迷は消費税でなく「米中経済戦争」や「五輪終焉」等が原因だと主張し始めます。
(前略)これから日本経済は、奈落の底へと確実に、転落していくのですが・・・その時、政府は何と言うでしょうか?
 彼らは「万全の対策を行う」という事になっているはずですから、100%間違い無く、「米中経済戦争と五輪終焉のせいだ!」なぞと強弁するでしょう。
 そして、「空気」ばかりを気にする多くの学者やコメンテーター達が、
「19年から20年の景気低迷を、消費増税のせいだっていう人がいますけれど、あれは完全に間違いです。政府は、増収分以上の支出を行ったんですから。真犯人は、消費税じゃなくて、米中経済戦争と五輪終焉です!
 と口にすることでしょう。
 それは、1997年の消費増税で、日本経済は大打撃を受け、以後、デフレになったのですが、その原因を、ほとんどの経済学者達は、「あれを、消費税のせいだという人がいますが、違います。アジア通貨危機が原因なのです。」と、エラソーに未だに言い続けているのと、全く同じです。
 筆者が、そうした一般的な見解が100%間違いであり、消費増税こそが疑いようのないデフレを導いた真犯人だ、と言う話は、拙著の中で詳しく論じた通りですが、彼らは、未だにそうした説を、口にし続けています。
 あの97年の増税ですら経済学者達は増税のせいでないと言い続けているのですから、「万全の対策」と称して、消費増税ショック対策を行う以上、(それは本当は「焼け石に水」なのですが)彼らはますます「空気」を読んで、来週以降の経済停滞を、消費増税が原因だとは言わなくなるでしょう。
 政府に関わる経済学者のほとんどにはもはや、学者の良心も見識も無いのです。
 ですが、我々は、彼らがそういうであろうことを、今からしっかりと予期しておき、彼らがそうした愚かな挙にでれば、この増税前に書かれたこの記事を是非、送りつけていただきたいと思います。
 そして、「この経済停滞の原因は間違いなく消費増税だった」のだという真実を、指摘してやってください。(後略)』
 
 さて、一昨日から、日本のデフレ脱却を妨げる「社会現象」として、合成の誤謬、自己実現的予言について解説して参りましたが、本日は三つ目。集団的記憶喪失。

 そもそも、プロパガンダとは「集団的に思考を操作する洗脳」です。もっとも、日本人は特にプロパガンダを仕掛けられたわけではないのですが、とある概念について 集団的に記憶を失ってしまっています。

 そもそも、なぜ、
「人口が減ったら経済成長できない」
「生産年齢人口が減ると経済成長できない」
 などと、現実を無視した(しかも論理的にも間違っている)思い込みができるのか? 理由は、生産者(働く人)一人当たりの生産量を「一定」と勝手に決めつけているためです。

 すなわち、生産性「一定」という奇想天外な思い込みをしている国民、政治家、学者、財界人、ジャーナリストが本当に多いのです。そりゃまあ、生産性が変わらないならば、労働力の減少=経済成長率の低迷になります。

 とはいえ、現実の経済成長は生産年齢人口、総人口との相関関係はほとんどありません(ゼロではない、程度です)。
 
【歴史音声コンテンツ 経世史論】
http://keiseiron-kenkyujo.jp/apply/
9月30日、長浜浩明先生「邪馬台国はどこにあったのか?」が視聴終了となります。10月1日からは、同じく長浜浩明先生「日本人はどこから来たのか?」が視聴可能となります。
 
【高度成長期の生産年齢人口・実質GDP成長率(単位:%)】
 例えば、日本の高度成長期の生産年齢人口の増加率は、年平均で精々1.7%。それに対し、経済成長率は「実質」で10%でした(名目だと15%超)。

 生産性が変わらない場合、高度成長期の日本の経済成長率は、年平均で2%未満でなければなりません。

 高度成長を日本にもたらしたのは、生産性向上と、それを実現するための投資(設備投資、公共投資、人材投資、技術投資)なのです。

 と書くと、またまた「成長否定論の知ったかさん」が、
「いやいや、高度成長期の日本はまだ発展途上国だったから、成長余地が云々」
 と、懸命に自己正当化を始めるのですが、アホか! 生産力に乏しい発展途上国が、世界最強のアメリカ合衆国とガチで大戦争ができるか!

 というよりも、むしろ日本は元々インフラや技術、人材、資本という蓄積が十分だった先進国だったからこそ、高度成長期に、
「需要拡大⇒インフレギャップ(供給能力不足)⇒投資⇒生産性向上⇒実質賃金上昇⇒需要拡大」
 という、経済成長の黄金循環を回すことができたのです。発展途上国の場合、需要が拡大しても、供給能力が拡大せず、挫折します。
 というわけで、経済成長とは「投資+生産性向上で起きるのです。それが、資本主義です。

 昨日のラトビア、リトアニア、ジョージアなどが、生産年齢人口が激減しているにも関わらず、目覚ましい経済成長を遂げているのは、投資拡大で生産性が上がっているためなのです。

 資本主義経済は、投資の拡大と生産性向上で成長する。この基本を、多くの日本国民が忘れ去ってしまった。まさに、集団的記憶喪失。

 だからこそ、生産年齢人口比率の低下を受け、人手不足が始まると、せっかくの生産性向上の機会であるにも関わらず、
「人手不足は移民で解消!」
 などと、生産性低下と実質賃金低迷をもたらす「悪政」を平気で推し進める

 各種の悪政で実質賃金が上がらず、結婚が「贅沢品」と化し、少子化が進み、生産年齢人口が減ると、せっかくの投資のチャンスに、
「日本は生産年齢人口が減っているから、もう経済成長しないよ。投資を減らそう」
 と、(昨日の)自己実現的予言の世界に突入する。

 いい加減にしましょう。

 資本主義とは、人手不足・供給能力不足を「投資と生産性向上」で埋めることで、経済成長の黄金循環を回す経済モデルなのです。日本が経済成長しないのは、集団的記憶喪失に陥り、資本主義の基本を忘れ去ってしまっているためなのです。

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