株式会社経世論研究所 講演・執筆依頼等、お仕事のご依頼はこちらから
三橋貴明のツイッターはこちら
人気ブログランキングに参加しています。

チャンネルAJER
『現代貨幣理論入門ー貨幣ピラミッドー(前半)』三橋貴明 AJER2019.9.17

 

◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

令和の政策ピボットの賛同人が2万人を突破しました。
また、メルマガ「令和ピボットニュース」が始まりました。皆様、是非とも、メルマガ登録を!

 

三橋TV第138回【“次”の消費増税への布石が打たれ始めた!?】

https://youtu.be/tUI-K7aaf70

 

 11月に訪英し、エジンバラからヨーク、マンチェスター、ロンドンと、鉄道で移動する海外視察が予定されているのですが、時期的に「ブレグジット」がどうなっているのか、微妙な状況になって参りました。
(ちなみに、ロンドンではロンドン塔とイングランド銀行だけは必ず訪れたいです。中入らなくても良いですが)

 そもそも、2016年6月23日に、イギリス国民は、
「EU(欧州連合)から離脱すること」
 は、国民投票で決めたものの、「いかにして離脱するのか?」について、事前に定まっていたわけではありません。

 というよりも、EUの各種条約(リスボン条約など)に、離脱の手続きが書かれているわけではありません。リスボン条約では、離脱通告後二年後に離脱できるとあるだけで、スキームは記載されていないのです。

 特に、イギリスは「グレートブリテン(ブリテン島)及び北アイルランド連合王国」で、アイルランド島にも領土があります。

 北アイルランドの連合王国からの離脱とアイルランド共和国統合を目指したテロリストIRAの脅威は、1998年のベルファスト合意まで続きました。

 現在、北アイルランドとアイルランド共和国間には事実上、国境がありません。連合王国がEUから離脱すると、2百数十キロのアイルランド国境に、まさしく「国境」を設けなければなりません。

 そんなこと、今更できるのか?
 
 というわけで、北アイルランドをEU関税同盟に暫定的に残すというアイデアが、いわゆる「バックストップ条項」ですが、これでは国境線が事実上、アイリッシュ海に移動してしまいます。

 日本で言えば、国境が津軽海峡となり、北海道が「別の国家」に帰属するようなものです。
「こんなもの、認められるか!」
 というわけで、ジョンソン首相誕生となったわけですが、今度は英国議会が10月末の「合意なきブレグジット」に反対し、9月9日に「EUとの交渉期限を求める新法」を成立させます。

 法律に従うならば、ジョンソン首相は10月末のブレグジットを諦めなければならないところですが・・・。
 
ジョンソン英首相「10月末に離脱」 EU委員長と初会談、延期否定
 英国のジョンソン首相は16日、欧州連合(EU)のユンケル欧州委員長とルクセンブルクで会談し、英国のEU離脱について、期限の10月末に実施する方針を示した。英首相報道官が同日、明らかにした。英国では期限延期を求める新法が9日に成立したが、ジョンソン氏は現段階で同法に従わない姿勢を貫いている。(後略)』
 
 こうなると、英国議会ではなく、EUの方がウンザリし、さっさと縁切りに走るかも知れません。そう意味で、ジョンソン首相は「巧い」と個人的には思っています。

 ところで、今回のブレグジットを巡る混乱は、
1.623国民投票の結果という「民主主義」に従い、ジョンソン首相が早期ブレグジットを図っている
2.国権を代表するイギリス議会が、合意なきブレグジットに反対している
 というわけで、民主主義的な正当性同士のぶつかり合いになっています。つまりは、両者ともに言い分にそれなりの説得力があるのです。
 要するに、グダグダでございますな。
 
【歴史音声コンテンツ 経世史論】
http://keiseiron-kenkyujo.jp/apply/
※12月上旬、邪馬台国視察ツアー「歴史に魅せられて、マイと辿る邪馬台国への道」開催決定!(三橋貴明、長浜浩明先生、高家望愛さんも同行します)
 
 
『英EU離脱の「グダグダ劇」を日本が笑えない理由 中野剛志:評論家
◆議会制民主主義の模範国はなぜ機能不全に落ったのか
 英国の議会は、近代の歴史において、議会制民主政治の模範とされてきました。その英国の議会が、2016年の国民投票によってEU離脱が決まってからというもの、ほとんど機能不全と言いたくなるような混迷に陥っているのです。
 このEU離脱を巡る英国の政治の混迷は、実は、我々日本人にとっても決して他人事ではない、ある歴史的に重大な問題を提起していると私は思います。それは、「民主主義が破壊される」という問題です。どうして、民主主義が破壊されるのでしょうか。大衆煽動的なポピュリスト政治によってでしょうか。違います。民主主義を破壊するもの、それは、グローバル化なのです。
 このことを理解する上では、米ハーバード大学のダニ・ロドリック教授の議論が参考になります。ロドリック教授はグローバル化、国民国家、民主主義の三つは「トリレンマ」の状態にあると論じました。「トリレンマ」とは、三つの選択肢のすべてがいっぺんに成立しない状態のことを言います。つまり、グローバル化、国民国家、民主主義の三つを同時に実現できないというのです。したがって私たちは、次の三つのうちのどれかを選ぶしかありません。(後略)』
 
 英国国民がブレグジットを望んだ理由は、まさに「主権」を行使することができなくなったためです。何しろ、EU加盟国はブリュッセルのEU官僚が決める法律に合わせ、国内法を変えなければならない。

 無論、移民制限など不可能でした。

 とはいえ、ロドリックのトリレンマがある以上、イギリスがグローバリズム(EU加盟)を選び、民主主義を維持したところで、主権を行使できなくなるのは自明の理だったわけです。

 ちなみに、グローバリズムを推進しつつ、主権を維持する方法が一つあります。もちろん、民主主義を否定することです。まさに、中華人民共和国でございますね。

 いずれにせよ、英国の事例は我が国がこのままグローバリズムを推進すると、やがては、
「民主主義があったとしても、国民は主権を行使できない」
 状況になるのは確実です。

 別に、民主制(正しくは民主主義ではなく「民主制」でしょう)が「最高の制度」とは言いませんが、それこそチャーチルではありませんが、他よりはマシです。というか、わたくしが「主権」を持ち続けるためには、民主制に機能してもらう他に手段がありません。

 もっとも、現代の日本は民主的に選ばれた政権がグローバリズムを推進している。つまりは、民主制を破壊していっているわけでございます。

 さらに言えば、常日頃は「民主主義!民主主義!」と煩いリベラル派、リベラル系新聞(朝日新聞など)が、民主制度を破壊するグローバリズムに反対しない。それどころか、彼らまでもがグローバリズム推進派。

 この恐るべき「構造」を理解し、グローバリズムのトリニティを止めない限り、我が国は国民が貧困化し、国力が衰退するのみならず、民主制度までもが失われることになります。末は、中華人民共和国の倭族自治区の人民というわけです。

 そんな未来は願い下げなので、一日本国民として「民主制度」の下で、決して諦めずに「言論」で戦っていくつもりでございます。
 
「日本の民主制度を守ろう!」に、ご賛同下さる方は↓このリンクをクリックを!
本ブログへのリンクは以下のバナーをお使いください。