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『政府、貨幣発行残高で破綻する(笑)(前半)』三橋貴明 AJER2019.8.20

 

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三橋TV第135回【ドケチではなく太っ腹な国家を目指そうぜ!】

https://youtu.be/_FgBMsTAPac

 

 MMT関連の講演が続いているのですが、何というか、
「新しい理論を理解するよりも、すでに頭に植え付けられた理論を捨てる方が難しい」
 と、どなたかが言っていたことは本当に「その通り」だと思います。

 MMTについて、ある程度理解した人であっても、質問や感想が「商品貨幣論」に基づいてしまうケースが実に多い(恐らく、無意識)。人間とは、そう簡単に思考の前提を捨てられるものではないという話です。

 つまりは、一般的に、
「借金は悪! 預金が善!」
 と、思っている国民が多数派の状況で、政府の財政を拡大路線に転じさせることが、本当に難しいことが分かるのです。

 しかも、厄介なことに、「家計」にとって「借金は悪」は、必ずしも間違ってはいないわけです。

 とはいえ、同じく「借金」あるいは「負債」と呼ばれていても、現実世界には三つの種類があるわけです。
 
1.家計の負債:個々人が稼ぐ所得から返済しなければならない借金
2.企業の負債:投資のための原資。資本主義経済では、企業の負債が増え続けるのが普通。
3.政府の負債:貨幣
 
 一般の国民が上記の「違い」を理解していないのは仕方がありませんが(何しろ、誰も教えない)、政治家までもが全く知らないとなると、これは悲劇です。国家の運営、すなわち「政治」のレベルが極端に低くなります。

 結果、国民は貧しくなり、安全保障も崩壊。やがて、亡国に至る。

 日本はまさに、その過程にあります。

 というわけで、何とかしなければなりません。とりあえず、上記の「負債の違い」を理解し、説明し、広めていくしかありません。

 財務省は、国民の「負債の違い」に関する無理解を利用し、
「家計にたとえると~」
 のレトリックで、財政破綻論を広げてきました。

 家計の負債と、企業・政府の負債は意味が違う。企業の負債と、政府の負債も全く違う。
 分かりやすく書くと、家計の負債は借金、企業の負債は投資、政府の負債は貨幣。

 もっとも、「政府の負債は貨幣」(というか「貨幣」が政府の負債)であることは、人類が数千年間、勘違いしていた話なので、日本国民が知らなくても無理もありません。

 とはいえ、資本主義国の国民ならば、せめて経営者だけでも、「企業の負債は投資の源泉」という当たり前の事実を思い出す必要があります。
 
【日本の一般企業、政府、家計、海外の資金過不足(兆円】
 
 上記を理解すれば、現在の日本がいかに異様な状況になっているかが分かります。何しろ、企業が常に資金過剰状態になってしまっているのです。
 日本の企業は投資のためのカネを借りず、預金ばかりを貯めこんでいる。資本主義が成り立っていません。

 

【歴史音声コンテンツ 経世史論】
http://keiseiron-kenkyujo.jp/apply/
※特別コンテンツ「邪馬台国はどこにあったのか?(長浜浩明先生」)が、リリースになりました! 超絶的に面白いです。是非、ご入会下さい。
 
『企業の内部留保が過去最高の463兆1308億円
 財務省が発表した2018年度の法人企業統計で企業の内部留保にあたる利益剰余金は463兆1308億円となり、前の年度に比べて16兆6000億円余り増加しました。7年連続で過去最高を更新しています。2018年度は企業の売上高が0.6%のマイナスとなって3年ぶりの減少に転じたものの、経常利益は0.4%のプラスで9年連続の増益でした。(後略)』
 
 おいおい・・・。売上高がマイナスで、経常利益がプラスとは・・・・。
 相変わらず、日本の企業は売り上げが低迷する中、容赦なく「コスト」を削減していることになります。

 それはともかく、財務省発表の「内部留保」とは、実のところ「資金調達の手段」の一つに過ぎません。というわけで、
「内部留保が増えているとは言っても、設備投資に回った分も含まれる!」
 という反論が可能なので(事実でもある)、わたくしは「民間非金融法人企業の現預金」で状況を見ます。
 
【日本の民間非金融法人企業の現預金(億円)】
 
 というわけで、日本の民間非金融法人企業の現預金の額は、19年3月末時点で273兆円(!)。第二次安倍政権が発足した2012年12月末と比較し、何と80兆円の増加。
 
 安倍政権は消費税を増税し、法人税を減税。かつ、様々な労働規制の緩和で費用の削減を推奨し、純利益を最大化。株主への配当金、自社株買いが増加し、余った分が企業の現預金として積み上がっていっているわけです。

 こんなものは、資本主義ではありません。

 もっとも、だからと言って「企業の内部留保に税金を掛けろ」というのは、これは私有財産権の否定であり、看過できません。やるならば、普通に法人税を増税すればいいのです。

 法人税を引き上げ、過剰な利益に対する罰金を増やし、逆に消費税という消費に対する罰金は廃止。

 消費に対する罰金が無くなれば、民間最終消費支出という需要が増える。
 法人税を増税すれば、利益に対する罰金が増えるため、企業は費用を増やす。人件費を、減価償却費を(投資)、交際費を増やす。結果、需要が増える。

 デフレ脱却を真に望むならば、日本には「消費税廃止+法人税増税」以外の選択はないのです。
 
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