株式会社経世論研究所 講演・執筆依頼等、お仕事のご依頼はこちらから
三橋貴明のツイッターはこちら
人気ブログランキングに参加しています。

チャンネルAJER
『政府、貨幣発行残高で破綻する(笑)(前半)』三橋貴明 AJER2019.8.20

 

◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

令和の政策ピボット呼びかけ人に琉球大学の辻和希教授が加わって下さいました。
また、メルマガ「令和ピボットニュース」が始まりました。皆様、是非とも、メルマガ登録を!

 

三橋TV第134回【将来世代✕✕✕を残すな???】

https://youtu.be/nhCvFKtKKhk

 

 現在の日本は、つくづく「強者に優しく、弱者に冷たい」社会になり果てたなあ、と日々、感じています。厳密には、日本国民が、というよりは、日本政府がそういう社会を望んでいるわけですが。

 例えば、消費税。
 
 そもそも、消費税自体が、消費性向により税負担に差が出る、具体的には、
「消費性向が高い低所得者層は直撃を受け、消費性向が低い高所得者層には何てことない税金
 でございます。支払った消費税対所得比率を見ると、低所得者層の方が「圧倒的に税負担が重い」のです。

 その上、日本の消費増は法人税減税とセットです。低所得者層に負担が重い消費税を増税し、法人税率を引き下げ、純利益を拡大し、配当金・自社株買いという形で投資家に所得移転する。

 加えて、あきれ返ることに、今回は消費税増税の「対策」までもが、強者に優しく、弱者に冷たいのです。

 そもそも、今回の消費税増税は軽減税率ならぬ「固定税率」の商品区分がややこしく、トラブルが多発しそうですが、その上で、経産省がキャッシュレスのプラットフォーマーのために実施するポイント還元があります。
 
キャッシュレス決済のポイント還元、参加店舗は3割
 10月1日からの消費増税にあわせて始まるキャッシュレス決済へのポイント還元策について、経済産業省は6日、参加を申請した中小店舗が全国で約58万店(5日時点)になったと発表した。制度開始時に参加するには6日までの申請が必要で、約60万店でのスタートになる見込みだ。全国の約200万店が参加可能とされ、その3割にとどまることになる。(後略)』
 
 ポイント還元の仕組みですが、大手スーパーや百貨店を除く小売店が、キャッシュレス決済をした際に金額の2%(コンビニなど)、5%(その他)のポイントを還元する、「政府が負担する」という話です(要は、値引きし、値引き分を政府が持つのです)

 問題は色々あるのですが、とりあえずポイント還元制度は来年6月までの限定です。東京五輪が開催される頃には、政府のポイント還元はなくなっています。

 加えて、参加企業はキャッシュレス事業者と契約するなどの仕組みを整え、経産省の審査を受ける必要があります。

 逆に言うと、キャッシュレス決済を導入することが困難な「弱小」の小売店は、ポイント還元の対象にならないわけです。
 しかも、ポイント還元の小売店は、インターネット上の地図で検索できるようになります。

 普通に、
「消費税増税を利用し、プラットフォーマー(キャッシュレス事業者)とIT会社が、自分たちのビジネス拡大を図ったな」
 という感想しか出てこないのでございます。

 期間限定でございますので、税率が下がることに煩い財務省も、
「まあ、期間限定だし、念願の消費税の増税を達成できるから、いいか」
 経産省も、
「自分たちの「顧客」であるプラットフォーマーやIT企業のビジネス拡大に貢献できるから、いいか」
 と、政治的な妥協が図られたのでしょう。
 
【歴史音声コンテンツ 経世史論】
http://keiseiron-kenkyujo.jp/apply/
※特別コンテンツ「邪馬台国はどこにあったのか?(長浜浩明先生」)が、リリースになりました! 超絶的に面白いです。是非、ご入会下さい。
 
 問題はさらにあります。消費者側の「強者と弱者」です。

 クレジットカードを所持しておらず、各種キャッシュレス決済の知識がない人は、ポイント還元の恩恵を受けられない。今回の消費税増税対策は、明らかに「強者」に優しく、「弱者」に冷たい政策なのです。

 法人税については、経団連の「2020年度税制改正の提言案」に、
「(法人税の実効税率を)経済協力開発機構(OECD)主要国平均、アジア近隣諸国の水準を踏まえ、25%程度とすべきだ」
 とありますので、近いうちに経産省と財務省の取引がなされ、さらに引き下げられることになるでしょう。

 問題は、上記の「強者に優しく、弱者に冷たい」政府の構造について、日本国民がよく理解していないことです。

 落ち着いて考えてみれば、日本政府の政策がほぼ全て「特定の誰か」のための政策であり、国民からの所得移転であること、つまりは大多数の国民を貧困化させる政策であることが分かります。
 
 もっとも、日本の問題が深刻なのは、安倍政権の「強者に優しく、弱者に冷たい政策」を批判するのが、個人的に「反日本」「反国家」にしか見えない、いわゆるサヨクが中心ということです。(他の国の真っ当な左派と区別するために、サヨクと書きます)
 しかも、日本はサヨクにしても緊縮思考で、トレードオフの発想しか出てきません。
 
 いわゆる保守派は、サヨクの反日を批判するため(気持ちは分かる)、相対的に「強者に優しく、弱者に冷たい」安倍政権を庇わざるを得ない。サヨクはサヨクで、安倍政権批判を反日的に叫ぶため、多数派の支持は得られない。彼らが勝ったところで、緊縮思考は同じなので、民主党政権期同様に、構造改革が普通に進む。
 
 韓国問題を見ていれば分かりますが、「外交」で保守派とサヨクが激しく争い、国民が分断され、反対側で容赦なく構造改革が進む。
 いやあ、救われませんね。

 救われるためには、上記の「構造」を国民が理解し、政治を動かす必要があります。多くの国民が「構造」を理解し、「国民のための政府」を取り戻さない限り、我が国の未来は暗澹たるものにならざるを得ないのです。
 
「国民のための政府を取り戻そう!」に、ご賛同下さる方は↓このリンクをクリックを!
本ブログへのリンクは以下のバナーをお使いください。