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『政府、貨幣発行残高で破綻する(笑)(前半)』三橋貴明 AJER2019.8.20

 

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三橋TV第134回【将来世代✕✕✕を残すな???】

https://youtu.be/nhCvFKtKKhk

 

 ランダル・レイ教授のMMT 現代貨幣理論入門は、日本人に「経済(経営、ビジネスではなく)」を正しく理解する上での切っ掛けをもたらす「可能性」があります。

 WiLLで連載していたとき、冒頭に必ず、以下の国民経済の原則を掲げました。
 
-国民経済の原則-
◆国民経済において、最も重要なのは「需要を満たすために供給する能力」である。
◆国民経済において、お金は使っても消えない
◆国民経済において、誰かの金融資産は必ず誰かの金融負債である。
◆国民経済において、誰かの黒字は必ず誰かの赤字である。
◆現代世界において、国家が発行する通貨の裏づけは「供給能力」である。
 
 当時は、誰からも何の反応も得られなかったのですが、一応、「日本人の経済に対する誤解」を正すべく、ポイントを羅列したつもりだったのでございます。

 レイ教授のMMT 現代貨幣理論入門の冒頭では、いきなり上記の「原則」が「事実」であることが、滔々と解説されます。

 なぜ、わたくしとレイ教授が同じポイントに注目したのかと言えば、要するに上記の発想、「バランスシートの発想」と呼ぶべきでしょうか、現在の経済学者が持っていない。結果、多くの国民が理解していない。結果、
「国の借金で破綻する~」
「国の借金は将来世代へのツケの先送り」
「国の借金は税金で返済する必要がある」
 といった誤解が広まり、経済政策を著しく歪めているためです。
 
日本が返せるはずのない借金を重ねる根本原因
■高齢化に伴う「大盤振る舞い予算」が当たり前に
 2019年度に当初予算で初めて100兆円の大台に乗せた日本の歳出だが、今後も増大を続けそうだ。
 8月末に厚生労働省がまとめた2020年度予算の概算要求額は、32兆6234億円と、今年度当初予算に比べて2.1%、6593億円増え、要求段階で過去最大となった。政府は「高齢化」に伴う社会保障費の自然増を5300億円と見込んでおり、これを上回る「大盤振る舞い予算」が続くことになりそうだ。(後略)』
 
 上記、磯山友幸の寄稿は、タイトルの問いかけ時点で間違っているため、読む必要もないのですが、日本人は「ここまでバカ」なんですよ。

 例えば、1970年以降の政府の長期債務残高の推移を見るだけで、
 
【日本政府の長期債務残高(左軸、兆円)と長期金利(右軸、%)】
 
 政府の負債は「増えて当たり前」であることが分かります。何しろ、政府の長期債務残高は、1970年比で155倍になっているのです。

 日本は「国の借金」では破綻しませんし、将来世代へのツケの先送りとは、政府負債ではなく、
「供給能力がボロボロになった日本」
 を引き渡すこと
であり、「国の借金」とやらは税金で返済するどころか、返済する必要はないのです。

 というか、返済してはまずいのです。理由は、政府の負債(いわゆる「国の借金」)は政府貨幣発行残高であるためです。
 政府が負債を返済すると、冗談でも何でもなく、本当に「貨幣」が消えます。
 
【歴史音声コンテンツ 経世史論】
http://keiseiron-kenkyujo.jp/apply/
※特別コンテンツ「邪馬台国はどこにあったのか?(長浜浩明先生」)が、リリースになりました! 超絶的に面白いです。是非、ご入会下さい。
 
 MMT 現代貨幣理論入門の中盤に、「貨幣ピラミッド(著作では負債ピラミッド)」の図がありました。
 
【貨幣ピラミッド】
 
 貨幣(あるいは負債)は上記のピラミッド構造になっており、例えば、我々一般人も「小切手」という貨幣を発行できますが、小切手は上位層である市中銀行の当座預金(という負債)が担保になっています。

 そして、市中銀行の銀行預金(という貨幣、あるいは負債)は、いつでも「現金紙幣」という統合政府発行の貨幣に交換できるからこそ、我々は「貨幣である」と認識しています。

 最上位の統合政府は、現金紙幣、日銀当座預金、国債といった「貨幣」を、ただ「決断」するだけで発行できます。何しろ、金銀などの物体が担保になっているわけではなく、「貸借関係」として貨幣を発行しているのです。

 貸借関係に、上限はありません。

 というわけで、政府は「決断」」のみで貨幣を発行できるのですが、無制限というわけではありません。総需要に対し、供給能力が不足し、インフレ率が健全な水準を越えて上昇していくならば、緊縮路線(あるいは財政抑制路線)に転じなければなりません。

 だからこそ、
◆国民経済において、最も重要なのは「需要を満たすために供給する能力」である。
◆現代世界において、国家が発行する通貨の裏づけは「供給能力」である。
 なのでございます。

 冒頭の「原則」は、ごくごく当たり前の話なのですが、日本では全く広まりませんでした。それが、MMTにより一気に普及しつつある。大変、有り難いことです。

 同時に、「日本が返せるはずのない借金を重ねる根本原因」といった、根本から間違っている記事を書く磯山友幸のような人物が、言論的な影響力を持っている現実を認識する必要があります。

 磯山に代表される荒唐無稽な財政破綻論が蔓延した結果、我が国は正しいデフレ対策が打てず、虎の子の「供給能力」が毀損していっています。つまりは、将来世代に「供給能力が崩壊した日本」という形でツケを残そうとしているのです。

 さらには、「三橋TV」で池戸万作氏が指摘している通り、デフレ継続、実質賃金低下は若い世代から「結婚する機会」を奪い、少子化の背中を押しています。

 磯山らの言論活動は、まさに「将来世代を残すな」なのです。将来世代を残さないための言論で、飯が食える。国民経済の破壊者たちが、「それ」でカネを稼ぐことができる。
 この恐ろしい現実を理解した上で、磯山ら頭がおかしい財政破綻論者たちを、容赦なく批判し、黙らせる必要があると思うのです。
 
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