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『政府、貨幣発行残高で破綻する(笑)(前半)』三橋貴明 AJER2019.8.20
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 何か問題の本質が分かっていない人が多そうなので書いておきますが、昨日の、
「トランプ大統領は、中国が買わないので、余ったトウモロコシを安倍首相に買ってもらう」
 の最大のポイントは、トランプ大統領が、総理は「日本の民間セクターがトウモロコシを買うとのことだ」と語った点ですよ。

 アメリカ様の属国として、日本政府が「財政」で穀物を買わされるのではなく、何しろ緊縮財政が国是の国ですので、総理は「民間セクターが買う」と発言しているわけです。

 つまりは、農協改革等の政治的圧力を利用して、
「全農株式会社化(等)に手心を加えて欲しかったら、アメリカ様のトウモロコシを買えや、こらぁ!」
 とやるのではないかと、懸念しているのです。
 
 全農でなくても、総理がもし「トランプ様と約束したからトウモロコシを買え」と、民間に強要した場合、憲法22条(1項)違反になります。日本の民間(※農協含みます)は、憲法により職業選択の自由を保障されており、同時に「営業権の自由」も保障されているとなっています。
 
 総理を懸命に庇おうとしている連中が、
「いや、トウモロコシを"日本"が買い、配合飼料にすれば、価格が下がるから、これは畜産業への一種の助成金」
 などと意味不明な寝言を言っていますが、それは「日本政府」が買った場合ですな。

 もちろん、日本政府が余剰トウモロコシを「買わされた」時点で、それを認めることは「属国民根性」丸出しということになりますが、加えて、総理が「民間にトウモロコシ購入を求める」のではないかという点が問題なのです。
 
 つまりは、総理はアメリカに対しては属国として振る舞い、国内民間(恐らく全農)に対しては「憲法違反」の営業権への介入をする可能性があるのですよ。

 これでも、総理を庇いますか? 属国根性丸出しのアベ支持派の皆さんは、属国日本の総理大臣を支持しますか?
 
 間もなく、ビジネス社から「国民を豊かにする令和の政策大転換」が刊行になりますが、本書のメインテーマにして、日本の問題は鳥瞰的に見ると、一つだけ。
 
【主流派経済学とケインズ系の経済学】
 
 図の左側の考え方に基づく経済政策(グローバリズムのトリニティ)を、日本は属国故に拒否できない、という点になります。
 
 つまりは、令和の政策ピボットは左の「主流派経済学」から、右の「ケインズ系の経済学」へと考え方をピボット(転換)するという話なのです。(中野先生の図と左右逆になっちゃいましたが、書籍では主流派経済学から説明しているため、左に持ってこざるを得なかったのです)

 そして、MMTは両軸のナショナリズムに沿いつつ、完全なる「ケインズ系の経済学」の後継です。
 
【歴史音声コンテンツ 経世史論】
http://keiseiron-kenkyujo.jp/apply/
※特別コンテンツ「邪馬台国はどこにあったのか?(長浜浩明先生」)が、リリースになりました! 超絶的に面白いです。是非、ご入会下さい。
 
『政府万能感に酔いしれるMMT批判者たち 話題のMMTブームの仕掛け人、評論家・中野剛志が緊急寄稿
■政府の管理能力を信用し過ぎているのは誰なのか
 七月にはステファニー・ケルトン教授(※参考【三橋貴明×ステファニー・ケルトン】概論、MMT(現代貨幣理論))が来日し、八月はL・ランダル・レイ教授の本の邦訳が刊行されるなど、相変わらず話題のMMT(現代貨幣理論)。
 MMTによれば、自国通貨を発行できる政府はデフォルト(財政破綻)しないので、高インフレでない限り財政健全化は「不必要」です。それどころか、デフレの時には、財政健全化はむしろ「不適切」な政策になります。適度なインフレになるまで、財政赤字を拡大すべきなのです(※参考『特別寄稿 中野剛志 消費増税も量的緩和も愚の骨頂!』)。
 これに対して、財政健全化論者たちは相変わらず、「過度なインフレになったら、どうするのだ」とMMTを批判しています。
 ケルトン教授も記者会見で、インフレ懸念の質問ばかり受けるものだからあきれ果て、「二十年もデフレの国でインフレ懸念の質問ばかりって、面白いわ」などと皮肉っておりました(※参考【記者会見】MMT提唱者 ステファニー・ケルトン ニューヨーク州立大学教授[桜R1/7/17])。
 それでもなお、財政健全化論者は、「政府はインフレを制御できない」と言い張り続けています。
 例えば、櫨浩一氏は、「MMT論者は、政府の管理能力を信用し過ぎだ!」と批判しています(※参考『MMT論者は政府の管理能力を信用しすぎている』)。
 このようなMMT批判が間違っていることについては、私はすでに何度か説明しましたので(※参考『ケルトン教授の来日を機に、日本史からMMTを考えてみました』)、ここでは省きます。
 今回論じたいのは、MMTを批判する財政健全化論者の方が、よっぽど政府の管理能力を信用し過ぎているということです。
 いや、もっと言えば、不可能なことまで政府に要求しています。
 つまり、「デフレ下で財政を健全化する」などという目標は、「不必要」であり「不適切」なだけでなく、達成「不可能」なのです。
 どうして「不可能」なのか。
 決して難しい話ではありませんので、順を追って説明しましょう。(後略)』
 
 偶然ですが、中野先生も同じタイミングで資金過不足の式を使っています。
 
■ 国内民間部門の収支+国内政府部門の収支+海外部門の収支=0
 
 ちなみに、わたくしは、
 
■ 政府の収支+一般企業の収支+家計の収支+海外の収支=0
 
 と、表現しますが、理由は「資本主義経済において、投資拡大で収支が赤字になるべき企業」と、家計は分けた方が良いと考えているためです。

 上記の式はGDP三面等価の原則と同じく、単なる統計的な事実です。1+1は2ですよ、と言っているに過ぎません。つまりは、絶対成立します。

 そうである以上、「デフレ下のPB黒字化」を達成しようとすることは、
 
『(引用)要するに、デフレ下で民間部門が貯蓄超過である限り、財政赤字は減らない。それに、政府には支出の削減や税率の引き上げはできても、税収を意のままに増やすことはできない。
 したがって、デフレ下での財政健全化はどんなに高い管理能力がある政府であっても不可能なのです。
 過去二十年間、日本が財政健全化に失敗し続けてきたのも当然だったというわけです。
 というわけで、財政健全化を求めるMMT批判者の方が、よっぽど政府の管理能力に幻想を抱いているということがご理解いただけたでしょうか。(後略)』
 
 となります。
 厳密には、財政健全化を求めるMMT批判派に代表される「図の左側の経済学を信奉する連中」は、都合がいいときには「政府は小さくしろ!」と叫び、都合が悪くなれば政府の管理能力を肥大に主張します。

 ここでいう「都合」が何かといえば、単に自らの「ビジネスの利益」を最大化できるか、否か、です。

 FIT(再生可能エネルギー固定価格買取制度)で、普段は「市場!市場!」言っている連中が、カネになるとなれば、平気で「長期間の買取保障」という反・市場原理の政策に賛成したのは、ご記憶されているでしょう。

 厄介なのは、一般国民の多くが「自分の利益最大化」を目指すグローバリストのレトリックにころりと騙され、彼らもしくはアメリカ様の利益になる政策に賛意を示すことです。最近は、これでも相当に「マシ」になってきましたが、日本は長引くデフレと情報操作により、すっかり愚民の王国と化してしまいました。
 
 政治家が外国を叩き、「身を切る改革!」とか叫べば、貧困化しルサンチマンにまみれた愚民はすぐに支持をする。挙句、政治家に裏切られると、100%認●知的不協和に陥り、分けの分からない屁理屈をこねくり回し、懸命に庇おうとする。そして、ますます貧乏になる。国家の安全保障も壊れる。
 
 農業にしても、日本政府ほど農業を保護しない政府は無いにも関わらず、その手の事実は無視し、
「日本の農業は保護され過ぎている!」
 と、嘘八百を叫び、属国民として、アメリカ様の利益になるように叫ぶグローバリストにコロリと騙され、
「日本の農業は、付加価値を高め、世界に打って出ることを考えなければならない」
 などと、「まず、てめえでやってみろや、こらぁ!」と突っ込みを入れたくなることを平気で口にする政治家に対し、神妙にうなづき、
「その通りだ・・・、日本の農業は甘やかされている。農業の既得権益は壊さなければならない」
 などと、したり顔で口にする。まさに、愚民。

 いや、この国土的に厳しい日本国で、国民の農業を守ることがどれだけ大変か、一度、自分でやってみなよ。

 日米FTAの発足が決定的になりつつある以上、とにもかくにも日本国民が、
「日本ほど農業を保護していない国は無い」
「日本のような先進国が農業を守るためには、財政拡大で支えるしかない」
 という現実を理解しない限り、我が国の食料安全保障は"間もなく"失われることになります。
 
 というわけで、堂々と叫びましょう。
 日本国民と日本政府は、農業と農協を守らなければならない。
 
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