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『政府、貨幣発行残高で破綻する(笑)(前半)』三橋貴明 AJER2019.8.20
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 三橋TV「【三橋貴明×山本太郎】Part1 絶対にTVでカットされる国債の真実」の方は、視聴54万に達していますが、れいわ新撰組や山本太郎元参議院議員が話題になっておりますので、分からなくもありません。

 ピンでMMTを説明した動画が30万越えというのは、これは注目すべき現象だと思います。

 上記を踏まえて、本日の話。

 何度か話していますが、いわゆる「戦後」の歴史学は、経済学を上回るほどに「出鱈目」「嘘」「詭弁」「詐欺」がまかり通っており、正直、絶望心が沸き起こってくるほどです。

 特に酷いのが、古代史と近代史でございます。
 
 近代史は、多くの「保守的言論人」が問題視していますが、わたくしは経世史論で「皇統論」をやっている関係で、より「古代史の嘘」に注目しています。

 嘘というか、とにかく捏造、想像、妄想ファンタジーの嵐でございまして、その最大の理由が、
「日本の歴史学者や考古学者は古事記や日本書紀を無視する」
 ことなのでございます。厳密には、都合が良いときは記紀から拝借し、不都合になれば「出鱈目な記述である」と、根拠なしで断定するのです。

 結果的に、日本の古代史を調べると、いわゆる歴史学者はもちろん、考古学者、遺伝工学者、植物学者など、関係者が何らかの「嘘」をベースに語る事態になっています。

 代表的な「嘘」を上げておくと、
 
● 神武天皇から開化天皇までは「架空の天皇」
● 「紀元前300年頃、数百万の渡来人が日本列島を訪れ、水田稲作を伝えた」論
● 邪馬台国は「存在しなかった」論(※「シナの歴史書など信じられるか!」というスタイルで、いわゆる保守派に多い)
● 邪馬台国東遷論
● 「天照大神=卑弥呼」論
● 神功皇后は「架空の皇后」論(皇后の新羅遠征(いわゆる三韓征伐)の全否定)
● 「神功皇后=卑弥呼」論
● 聖徳太子は「いなかった」論
 
 などになるのですが、古代史に関して書物を記す人のほぼ全員が、上記の「いずれかの嘘」に縛られてしまっており、書いていることに不整合が生じるのです。(逆に、そこが面白かったりする)

 いや、とりあえず普通に古事記や日本書紀を読み、素直に遺跡を評価し、外国の書籍と付け合わせましょうよ。ついでに、古代史は様々な分野から鳥瞰的に理解を深めなければ、真実は分からんでしょうが。
 
【歴史音声コンテンツ 経世史論】
http://keiseiron-kenkyujo.jp/apply/
※特別コンテンツ「邪馬台国はどこにあったのか?(長浜浩明先生」)が、リリースになりました! 超絶的に面白いです。是非、ご入会下さい。
 
 などと考えていたところに、藤井先生のコラム。
 
『【藤井聡】MMT理解のコツ(理論編):「政府が貨幣の供給者だ」という一点を知るべし
(前略)最近の学者、インテリ達の多くは、皆、些末な理屈を「こねくり回す」ことには慣れていますが、「大局的に把握する」ことが苦手な専門家に過ぎないので、MMTが提示する大局的認識を理解できないのです。(後略)』
 
 経済分野だけではなく、歴史分野も、もろに↑こうなってしまっています。

 究極の「古代史の妄説」は、文句なしで江上波夫の「騎馬民族征服王朝説」です。
 
 騎馬民族征服王朝説では、崇神天皇(崇神大王)が朝鮮半島南部から九州に渡り、応神天皇が九州から畿内を征服したということになっています。

「日本における統一国家の出現と大和朝廷の創始が、東北アジアの夫余系(ふよけい)騎馬民族の辰王朝(しんおうちょう)によって、4世紀末ないし5世紀前半ごろに達成された」
 と、江上は自著の「騎馬民族国家」で書いているのですが、これはもはや奇想天外なファンタジーとしか言いようがないのです。何しろ、日本人は伝統的に「去勢」を知らない。家畜を去勢しない遊牧民など、考えられません(遊牧民の男は、普通、去勢馬に乗る)

 そもそも、古事記にも日本書紀にも、馬に乗った天皇の姿は描かれていない。天皇は、古来から徒歩か船で移動します。

 ついでに、Y染色体のハプログループの構造(D1bが三割超。D1bは日本人以外には見られない)が、日本が一度も「征服」されたことがないことを証明しています。

 それにも関わらず、江上は自説を声高に叫び、特に去勢の問題については、江上は、
「純粋な遊牧民は去勢をしない。農耕民と接触するところで去勢する、農民から遊牧民が分かれたとき去勢を捨てた。日本に入って来た騎馬民族は純遊牧的な人間だったと思う」
 と、史実も現実も無視した「詭弁」を展開しました

 去勢無しで、どうやって牡馬を乗りこなすのか、家畜の品質管理をするのか「謎」としか言いようがありませんが、この手のいい加減な江上の妄想説が日本人に受け入れられ、彼は1991年に文化勲章を受章してしまいます。

 問題は、出鱈目な上に奇想天外な江上の騎馬民族征服王朝説が、なぜ日本人に受け入れられたのか、です。

 すでに鬼籍に入られた国立歴史民俗博物館の副館長だった佐原真氏が、「騎馬民族は来なかった(NHKブックス)」のラストに、大変印象的な説明を書いています。

『戦時中には、日本神話が史実として扱われ、神武以来の万世一系の歴史が徹底的に教えこまれました。江上説には、それを打ち壊す痛快さ、斬新さがあり、解放感を招く力がありました。また、人びとの心の奥底では、日本が朝鮮半島や中国などに対して、近い過去に行ってきたことの償いの役割を、あるいは果たしたのかもしれません。』

 つまりは、大東亜戦争を日本国民は皇国史観の下で戦い、敗北した。戦争に敗れたという「ショック」に加え、様々な情報操作により、国民に「加害者意識」が形成され、万世一系の皇統を否定し、朝鮮、中国を優位に置く論調を知ることが「気持ちよくなってしまった」という話なのだと思います。(同じ流れで、神功皇后の新羅遠征(いわゆる三韓征伐)も全否定され、それどころか神功皇后が「架空の人物」という話になってしまった)

 だからこそ、天皇は朝鮮半島出身で、万世一系の皇国史観は嘘だったことを「証明」してくれた騎馬民族征服王朝説がウケたのです。
「ああ、やっぱりそうだったんだ」
 という話ですね。

 つまりは、敗戦により日本国民に「皇国史観を否定したい」という需要が存在し、そこに供給がなされたのです。いくら荒唐無稽であろうとも、江上が間違いを指摘されるたびに詭弁で逃げたとしても、そんなことは関係ない。

 需要に対し、供給がなされた、という点が重要なのです。

 ということは、今後、MMTという「正しい貨幣観」が日本国民に広まるか否かは、結局のところ「日本国民に需要があるか否か」にかかっていることになります。そして、安倍政権(というか自民党)の失政、緊縮財政の継続により、大変残念ながら「需要」は生まれ、広がりつつあります。

 だからこその、冒頭の視聴者数なのです。 

 そして、さらに重要なポイントは、騎馬民族征服王朝説のような妄想ファンタジーであっても、江上によって繰り返し叫ばれることで次第に力を得ていった、という点です。

 繰り返しましょう。こちらは、江上のように「嘘」を叫ぶ必要はありません。正しい貨幣の理論に基づく、正しい経済政策を繰り返すだけで良いのです。それこそが、我々が両軸のナショナリズムを取り戻す、唯一の道です。
 
※邪馬台国東遷論の嘘について知りたい方は、経世史論 特別コンテンツ「邪馬台国はどこにあったのか?(長浜浩明先生)」をご視聴下さい。
 
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