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『政府、貨幣発行残高で破綻する(笑)(前半)』三橋貴明 AJER2019.8.20
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 人間は一人で非常事態(大災害、経済危機、戦争、医療崩壊など)に立ち向かうことができません。だからこそ、人間は「今を生きる同じ国民として助け合う共同体」の単位として「国家」を形成します。

 これを、横軸のナショナリズム(国民意識)と呼びます。
 
 さらに、我々の生活は、過去の先人の努力の上に成り立っています。すでにこの世を去った先人に恩を返すことはできません。だからこそ、我々は将来世代に、過去の先人から受けた恩を返さなければならない。

 これを、縦軸のナショナリズムと呼びます。

 図で表現すると、こんな感じです。
 
【縦軸のナショナリズム、横軸のナショナリズム】
 
 ピンときた方がいるかも知れませんが、MMT(現代貨幣理論)は両軸のナショナリズムに沿った発想です。

 国民の供給能力が十分であれば、
「国民の安全保障を強化し、困窮した国民を救う」
 ために、国債発行やOMFにより「貨幣」を発行し、政府は支出して構わない。それが、経済のインフレ率を適正水準に保つのであれば、「むしろ積極的にやるべき」ということになります。

「インフレ率が高ければどうなるんだ!」
 と、面倒くさいことを言う人が多いですが、そのときは官民挙げて投資を拡大し、生産性向上のために国民一丸となって努力するのです。高度成長期の日本人は、まさにこれをやった結果、我が国は世界第二の経済大国に成長したのでございます。

 インフレを退治するため、あるいはデフレ下で苦しんでいる国民を救うため、「(政府含む)国民が一丸となる」わけで、まさにMMTは横軸のナショナリズムです。

 ちなみに、JGP(Job Garantee Program)は、
失業率を引き上げ、国民を苦しめることでインフレを抑制するのではなく、雇用のバッファーを利用し、インフレをコントロールしよう
 というわけで、まさに横軸のナショナリズム的な発想です。

 同時に、MMTは縦軸のナショナリズムでもあります。
 
 政府の支出や徴税は、あくまで「経済の均衡(予算の均衡ではなく)」を維持するために行われます。なぜ、経済の均衡が必要なのかと言えば、もちろん「将来の成長」のためです。

 そして、なぜ経済成長が必要なのかと言えば、自分たちはもちろん、将来世代をも含めて「豊かに、安全に暮らす」を実現するためなのでございます。
 
 自分たちもそうですが、それ以上に子供たち、孫たち、その先の世代に「豊かで安全に暮らせる日本」を残すために、現在の経済のバランスを追求するわけです。
 
 というわけで、MMTは現在の国民はもちろん、将来の国民をも救う。インフレ率の限界に突き当たるまで、政府は支出を拡大し、減税して一向に構わない。インフレ率が高まったら高まったで、国民一丸となって生産性向上のために努力しようよ。

 何が問題なんだ?
 
 という話なのですが、なぜか日本ではMMTがなかなか受け入れられません。何しろ、MMTは単なる「現代の貨幣の説明」であり、誰にも否定できないにも関わらず、反射的に反発というか「嫌悪感」を表明するバカ愚者が少なくないわけです。

 お前ら、今の国民や将来の国民が豊かになるのが、嫌なの? 経済成長を否定するの?

 いや、彼らは経済成長を正面から否定するわけではありません。単に「政府の財政出動による経済成長」が嫌なだけなのです。

 

【歴史音声コンテンツ 経世史論】
http://keiseiron-kenkyujo.jp/apply/
※特別コンテンツ「邪馬台国はどこにあったのか?(長浜浩明先生」)が、リリースになりました! 超絶的に面白いです。是非、ご入会下さい。
 
 なぜなのか。
 
『【藤井聡】MMT理解のコツ(理論編):「政府が貨幣の供給者だ」という一点を知るべし
(前略)
MMTを理解するためには、国家とは何なのか、国民と政府との関係はどういうものなのかを俯瞰的な視点から、大局的に理解している必要があるのです。
ここに、MMTが現代日本で嫌われる最大の理由があります。
戦後日本には、(戦争の反省の下)国家を否定するイデオロギーが蔓延しています。
その結果、MMTが主張する『貨幣の本質は、国民・政府の間の「国家的関係」に裏打ちされている』という構図を、認めたくないという強い潜在意識を持っているのです。(後略)』
 
 MMTは、貨幣と国家の関係性を重視します。租税貨幣論である以上、当たり前なのですが。

 というわけで、MMTは「国家が貨幣を発行し、支出し、国民を救う」ことは、インフレ率が許す限り普通にできますよ、と「事実」を述べているわけですが、これが戦後日本の「国家否定主義者」たちには気に入らないわけです。

 あるいは、自らのビジネス拡大のために「小さな政府」を望み、
政府の財政で成長するなど甘えている! というか、政府の財政で成長するなどできない!
 などと、無茶苦茶を言い出す。

 藤井先生の解釈に付け加えるとすると、日本の場合は戦後の戦争否定に始まる国家否定主義と、外国から流れ込んだ「小さな政府路線」つまりはグローバリズム、新自由主義、あるいは現在の主流派経済学がガッチリとタッグを組んでいます

 戦後の政治史を振り返ると、やはり大平正芳内閣が分岐点だったのだと思います。大平が主導した財政均衡主義を含む「小さな政府」路線と、戦後大衆の国家否定の感覚がピタリとはまったのです。

 結果、四十年、同じ路線が続いている。特に、97年の橋本政権以降の強烈な緊縮路線は、日本を現実に亡ぼしつつあります。

 縦軸のナショナリズムを失うと「今だけ」になる。横軸のナショナリズムを失うと「自分だけ」になる。そして、両軸のナショナリズムを喪失した人間の価値基準は「カネだけ」になる。

 今だけ、カネだけ、自分だけ。鈴木宣弘先生の言葉は、両軸のナショナリズムを失った日本国民の現状を見事に表現しています。

 ところで、デフレで貧困化し「自分だけ」の人間が増えた、つまりは横軸のナショナリズムを日本国民は見失いましたが、縦軸のナショナリズムが無くなってしまったのはなぜなのでしょうか。

 ずばり、「歴史の喪失」です。

 我が国では、戦後に歴史学者が「嘘」をつくようになり、出鱈目な説が蔓延。祖国の誇りある歴史を奪われていくことになりました。
 
 ちなみに、日本の歴史学会では確たる根拠なしで神武天皇から開化天皇までを「架空の天皇」と断定します

 出鱈目説の代表的なのが、「邪馬台国は大和王朝の起源説」です。この説がいかに出鱈目かは、長浜浩明先生に「経世史論」で解説して頂きました(「邪馬台国はどこにあったのか?」)ので、是非とも、ご入会、ご視聴下さい。

 明日は、二つ目の歴史捏造(というか歴史ファンタジー)である江上波夫の「騎馬民族征服王朝説」について触れたいと思います。実は、この出鱈目説が広まった理由を理解すると、日本国民が両軸のナショナリズムを取り戻すための「ヒント」を得られるのです。
 
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