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『MMTとハイパーインフレ論者(その2)(前半)』三橋貴明 AJER2019.7.9
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三橋TV第123回【ボトムアップが日本を救う】
先日、次期アメリカ大統領選挙における、エマーソン大学の調査結果をご紹介しました。2020年大統領選挙で最も重視する項目として、移民政策が24%で、堂々の1位となったのです。
すでに、トランプ政権は移民に対する「規制強化」を進めていっています。
『米、合法移民の永住権認めず 生活保護利用なら
米トランプ政権の最終的な移民関連規則によれば、今後は合法移民でも生活保護制度を利用した場合は永住権を取得する資格がなくなる。また、渡航前の領事館面接で公的扶助を利用しないと担当官を説得できない場合は、入国が許可されないようになる。
この規則は国土安全保障省が12日公布。政権当局者のほか、規則に反対している移民の権利団体などによれば、トランプ政権の移民政策の中でも最も野心的で包括的な内容だ。
米国では反移民感情が動機とみられる銃乱射事件がテキサス州エルパソで起きたばかり。また先週は移民税関捜査局(ICE)がミシシッピ州の食肉加工場で移民の一斉摘発を実施しており、トランプ政権があらためて移民擁護派の批判を浴びるのは必至とみられる。(後略)』
米トランプ政権の最終的な移民関連規則によれば、今後は合法移民でも生活保護制度を利用した場合は永住権を取得する資格がなくなる。また、渡航前の領事館面接で公的扶助を利用しないと担当官を説得できない場合は、入国が許可されないようになる。
この規則は国土安全保障省が12日公布。政権当局者のほか、規則に反対している移民の権利団体などによれば、トランプ政権の移民政策の中でも最も野心的で包括的な内容だ。
米国では反移民感情が動機とみられる銃乱射事件がテキサス州エルパソで起きたばかり。また先週は移民税関捜査局(ICE)がミシシッピ州の食肉加工場で移民の一斉摘発を実施しており、トランプ政権があらためて移民擁護派の批判を浴びるのは必至とみられる。(後略)』
生活保護を利用した場合、合法移民に対する永住権を認めないとは、ある意味で日本より厳しい移民規制です。日本で言えば、生活保護を受給している在日韓国・朝鮮人の特別永住許可を取り消すようなものです。
いや、もちろん、それ以前に特別永住許可を「世代を超えて継承している」日本の在日朝鮮人、在日韓国人が変なのです。移民一世はともかく、二世以降は普通に「帰化」すれば話は終わるわけですが、我が国は朝鮮戦争の際に朝鮮半島から流入してきた移民問題を未だに抱え続けています。
ちなみに、アメリカの「移民問題」と聞くと、
「いや、お前ら殆どが元々移民じゃないか」
といった疑問を抱くかも知れませんが、アメリカでは少なくとも移民二世以降は完全なる「アメリカ人」になります。無論、移民一世が生まれ故郷のアイデンティティを持ち続けるのは仕方がないのですが、彼らの子供たちは初めからアメリカ人なのです。
「いや、お前ら殆どが元々移民じゃないか」
といった疑問を抱くかも知れませんが、アメリカでは少なくとも移民二世以降は完全なる「アメリカ人」になります。無論、移民一世が生まれ故郷のアイデンティティを持ち続けるのは仕方がないのですが、彼らの子供たちは初めからアメリカ人なのです。
イギリスからの移民が、ジョン・ロック的な思想に基づき人工国家を建国したのがアメリカ合衆国です。移民国家でナショナリズム(国民意識)を醸成するため、アメリカ政府は新たな移民に対し、「アメリカ英語を話す」「星条旗に忠誠を誓う」「アメリカを守るための徴兵に応じること」ことを強制しました。
一世に対してすらそうなのですから、二世以降は普通にアメリカ人です。逆に言えば、アメリカで「移民」と言えば、移民一世なのです。
日本人の多くは、アメリカが常に移民を受け入れ続けてきたと思っており、まあ、正しいのですが、移民人口比率は変動を続けています。
【歴史音声コンテンツ 経世史論 始動!】
【アメリカの移民人口と移民人口比率】
第二次世界大戦以降、、アメリカの移民人口比率は下がり続け、1970年代は4%にまで低下。その後、第二次グローバリズムにより、移民人口比率は上昇していきました。
しかも、1980年代以降、英語をしゃべらないヒスパニック人口が増え始めました。現在のアメリカが抱える移民問題は、少なくとも1980年代以降に勃発した「新たな問題」なのです。
アメリカ移民関税捜査局(ICE)は、8月8日、ミシシッピ州各地の食品加工工場を立入捜査し、適切な入国許可を持たないとして労働者約680人を検挙しました。もっとも、不法移民の多くは子供連れで、拘束後の取り調べに際し、各自が電話で子供の世話の手はずをすることを認め、さらに子供の安全確保が難しい不法移民300人を釈放するなど、「人権問題」という現実がある以上、ICEはなかなか苦労させられているようです。
以前、月刊三橋のシンポジウムで堤未果氏にお話し頂いた際に、
「アメリカでは低賃金労働者として移民が喜ばれる。でも、それ以上に低賃金で使えるのが不法移民」
と、解説して頂いたことを思い出します。
安い、奴隷的労働者を求める「邪(よこしま)」な経営者にとって、不法移民こそが「理想の労働者」という話になってしまうわけです。
移民法で本格的に移民受入を始めた我が国でも、同じ問題が頻発することになるでしょう。すなわち、不法滞在となった移民を、むしろ経営者が「歓迎」するという状況です。
ところで、アメリカに入る移民の多くは、もちろんメキシコ国境を通ります。すでに、メキシコ側も南国境(対グアテマラ)の警備を強化しています。アメリカとメキシコの両国は、アメリカへの移民流入阻止の取り組みを強化することで合意しているのです。
というわけで、現在、ホンジュラスなどの中南米の移民送り出し国の移民たちは、メキシコーグアテマラ国境で足止めを食らっています。リビアから地中海を渡るアフリカ移民同様に、悪質なブローカーや「誘拐屋」などば跋扈し、悲惨な状況で足止めされている移民が少なくありません。
しかも、何とかメキシコに入国できたとしても、アメリカに渡れるとは限りません。さらには、絶大な幸運により、アメリカで「不法移民」として職を得たとしても、当局の取り締まりに怯え、経営者から搾取され続ける「労奴」になるしかありません。
それでも、本国で暮らすよりはマシと、中南米の人々は「北」を目指す。救われない世界です。
さらに、アメリカに不法移民が大量流入すると、「アメリカ人の労働者」が低賃金競争に巻き込まれ、実質賃金が上がらない。結果、多くの国民が貧困に苦しむ反対側で、一部のグローバリスト、投資家、経営者たちだけが肥え太っていく。
1980年代以降、アメリカの格差はひたすら拡大し、例えば所得上位1%が所得全体に占めるシェアは、1980年には10%だったのが、2008年には21%に増加しました。これは、大恐慌前の1920年代と同じレベルです。
資産格差はさらにすさまじく、上位1%層の資産だけで、全米の33.8%を占めるという恐ろしい事態になっています。逆に、下位50%層の資産シェアは、何と2.5%。アメリカの1億5千万超の人々の資産が、全体の2.5%を占めるに過ぎない。凄まじいとしか表現のしようがない格差社会です。
アメリカは「そこまで行って」ようやく民主主義による反乱が本格化しました。我が国はどうでしょうか。
以前も書きましたが、移民問題は「これから」の話ですが、すでに貧困化は相当に深刻化しています。
そして、10月の消費税増税で、多くの国民が更なる貧困化に突っ込むことが確実なのです。次なる経済ショックを利用し、反・緊縮財政、反・構造改革、反・グローバリズムという「政策ピボット」を実現できるか。
実現できなかった場合、現在のアメリカは日本の未来です。
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