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『MMTとハイパーインフレ論者(その2)(前半)』三橋貴明 AJER2019.7.9
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<字幕版>MMTと日本経済の謎+三橋・高家の感想戦
三橋TV第119回【ケルトン教授の経済のシンク(水槽)】
 MMTと敵対というか、MMTを攻撃しており、やがては「主流派」の地位を追われることが確実主流派経済学は、経済を「自然現象」として捉えます

 これはかなり重要な事実で、主流派経済学は経済学を「自然科学」として認識していることになります。つまりは、経済は物理学などと同じように「自然の法則」があるという話です(実際の経済は不確実で、普遍的な法則はありません)。

 というわけで、経済学は「セイの法則」「一般均衡理論」」「リカードの比較優位論」「クラウディングアウト理論」「マンデル・フレミング・モデル」「トリクルダウン理論」などなど、「法則」「論」が大好きです。

 とはいえ、何しろ人間の営みでございますから、経済は常に不確実です。上記二並べた「法則」は、全て嘘っぱちでございます。厳密には、成立する時もあるかも~、程度の妄論に過ぎません。

 しかも、経済学の原則は商品貨幣論に基づいています。おカネの量が一定、あるいはおカネの量に限界があるという前提になっているのです。

 そりゃ、間違うでしょ。

 経済学者は法則、原則、理論、モデルが大好きであるため、前提条件として成立しない現実の現象を嫌います。具体的には、
「民間経済において、おカネは銀行融資により発行される。銀行が融資判断するか否かは、誰も事前に分からない
「企業は銀行融資を受け、投資により生産性を向上させる。企業経営者がいかなるロジックで投資をするのか、普遍的な原則はない
「企業が投資をしたとして、どれだけ生産性が向上するか、事前には誰にも分からない。国家、社会、企業、人材など、条件が違えば生産性向上の効果は変わる」
 などです。

 主流派経済学が信用貨幣論という「現実」に背を向けるのは、「ようわからん」ためなのです。ようわからんと、モデルは作れません。万有引力の法則のような「法則」を発見するのも無理です。

 そして、主流派経済学は生産性向上も嫌いです。理由はこれまた「ようわからん」ためです。潜在GDPを決める三つ「労働投入量」「資本投入量」「全要素生産性」の内、後ろの二個が「ようわからん」要素になります。

 というわけで、主流派経済学は経済成長や人手不足の解消法として「移民」を言い出すのです。何しろ、生産現場に外国の労働者を投入するという話なので、統計が取れます。

 そして、この主流派経済学の考え方が、
「安い奴隷的な労働者が欲しい。生産性向上のための投資というリスクを冒したくない」
 という、邪な経営者、ビジネス、財界のニーズとマッチすることになるのです。結果的に、先進国で移民受入が進んだ。

 もっとも、移民受入という「国民国家の破壊」は、移民国家であっても国民に苦痛を与え、諸外国は移民制限に舵を切りました。「国民」がそれを望んだためです。
 
【歴史音声コンテンツ 経世史論 始動!】
http://keiseiron-kenkyujo.jp/apply/
※6月16日(日)から、中野剛志氏との特別対談コンテンツ【歴史とナショナリズム】をご視聴頂けます。是非、ご入会下さい。
 
2020年米大統領選挙の世論調査、経済より移民政策を重視(米国)
 米国エマーソン大学が7月30日に発表した世論調査結果(注1)によれば、ドナルド・トランプ大統領と各民主党候補者との直接対決を想定した問いに対して、ジョー・バイデン氏、バーニー・サンダース氏がトランプ氏の支持を上回る結果となった(表1参照)。
 「今日選挙が行われれば、民主党の予備選挙で誰に投票するか」という問いに対しては、バイデン氏が33%と1位を維持した。2位のサンダース氏の支持率は20%で前回調査の15%(2019年7月10日記事参照)から5ポイント伸びた。エリザベス・ウォレン氏(14%)、カマラ・ハリス氏(11%)が続いた。
 また、大統領選挙で最も重視する項目としては、移民政策が24%で1位となり、前回まで1位を占めていた経済が2位(22%)に後退した(表2参照)。これまで下位だった大統領の弾劾が12%に上昇し、これまで上位だったヘルスケア、社会問題が低下してともに10%だった。民主党支持者は大統領の弾劾(19%)を、共和党支持者は移民政策(40%)を最も重視する結果となった。(後略)』
 
 興味深いのですが、欧米諸国では過去に移民として入国した移民一世までもが、「新たな移民」を嫌います
「いや、お前も移民だろ」
 という突っ込みは通じません。何しろ、先進国に移民し、十年以上暮らした人にとって「安全で平和で豊かな国で暮らす」ことが既得権になってしまっているのです。

 もちろん、全員が全員、そうというわけではありません。人によって違います。つまりは、移民国家において国民や「既得移民」が何を考えるかは、不確実なのでございます。

 結果、移民受け入れ国は、国民対移民、移民に味方する国民対反対する国民、移民対移民(母国の敵対感情を持ち込む)、さらには移民対既得移民、移民に味方する国民対既得移民などなど、様々な対立が生まれ、収拾がつかなくなります。

 国家で暮らす人々が移民問題を巡りいがみ合い、ぶつかり合い、憎しみあい、やがては民主主義が成立しなくなります。民主主義は、選挙で敗れたとしても、
「まあ、同じ国民が決めたことだから」
 と、納得する(いわゆる敗北宣言)こと無しでは成立し得ません。移民は、デフレ同様に民主主義を破壊するのです。

 というわけで、欧米諸国では反・移民が政治力を持ち始め、イギリスのブレグジットに繋がり、アメリカの大統領選挙をも左右することになるわけです。

 もっとも、移民国家と化してしまった欧米が、真っ当な国民国家を取り戻せるのか否かは、分かりません

 我が国はデフレで国民が貧困化し、民主主義が破壊されつつある状況で移民国家に舵を切りました。つまりは、安倍政権は最悪の選択をしました
 
 もっとも、最近まで、
「日本はこのまま移民国家化し、欧米のように手遅れになるまで反グローバリズムへの方向転換ができないのではないか」
 と、絶望していたのですが、あまりにもデフレと国民貧困化が続き、さらには消費税増税、五輪不況、米中覇権戦争による外需縮小と「ショック」が連続することが確実で、
「これ、もしかしたらあまりにも経済ショックと貧困化が一気に進み、移民国家として手遅れになる前に、方向転換できるのでは?」
 と、考えるようになりました。

 いずれにせよ、わたくしたちの子供たち、孫たち、その先の世代に「貧困化した元先進国の移民国家」を引き渡すという最悪の未来を防ぐために、やれることは全てやりましょう。日本は「まだ」間に合います。
 
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