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『MMTとハイパーインフレ論者(その2)(前半)』三橋貴明 AJER2019.7.9
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三橋TV第116回【資本主義は借金で成長するモデルなのだよ】
 MMTの議論を見ていて印象に残ったのは、批判派の不誠実さです。
 
【藤井聡】ケルトン教授の「誠実さ」が浮き彫りにした、「恥知らず」な現代日本。
(前略)あれこれとご一緒させていただいた中で
とりわけ印象深かったのが、
ケルトン教授の「誠実さ」でした。
昨今の筆者は、
政治家の方々やメディアの方々とのお仕事が増えた今、
「正確に語る」ことよりも
「分かりやすく語る」ことが求められる機会が
増えてしまっているのが実情です。
じゃぁ、学者と一緒にいれば、正確な議論ができるのかと言うと、
全く違うのが、今の日本の学術界。
日本のアカデミズム、とりわけ、経済学者のアカデミズムでは、
「知的誠実さ」を守ろうとする学者よりも、
「自分の立ち位置」を守ろうと学者が、
増えてしまっているのが実情です。
そんな中、ケルトン教授は、
正確に、しかも、可能な限りゆっくりと分かりやすく、
誠実に語ろうとされている姿に、
心が洗われる様な、
すがすがしい気持ちになりました。(後略)』
 
 三橋TVのケルトン教授との対談の字幕版をチェックして気が付いたのですが、ケルトン教授の英語は実に分かりやすい。

 もちろん、専門用語を共有しているという理由もあるのでしょうが、藤井先生が書かれているように、「正確」に「ゆっくりと」かつ「噛み砕いて」説明されており、大変、感銘を受けました。

 それに対し、日本のMMT批判派の不誠実さときたら・・・・。ケルトン教授の発言を自己流で勝手に解釈し、攻撃する「ストローマン・プロパガンダ」、文脈的には間違っていない発言の極一部のみを抜き出し、批判する「木を見せ森を見せないプロパガンダ」、当然ながら、レッテル貼り(ラベリング)、ルサンチマン・プロパガンダ、権威プロパガンダ(権威に訴える論証)、恐怖プロパガンダ(恐怖に訴える論証)。

 過去、十年以上、わたくし共が受けていたプロパガンダ攻撃の総出演という感じでした。

 しかも、面白いことに、普段は日本のマスコミを「マスゴミが!」などと攻撃している人たちが、マスコミが多用する上記プロパガンダを平気で自分も使う。藤井先生ではないですが「恥知らず」としか表現のしようがありません。

 そもそも、MMT批判派は「何」を望んでいるのでしょうか。

 わたくしは、明確です。
 日本経済がデフレから脱却し、国民全体の所得が拡大し、誰もがそれなりに豊かになり、安全な暮らしが守られ、国力が強化されていく日本国を取り戻すことです。

 そのためにMMTの「現代貨幣の説明」が使えるから、使っているわけで、「経済学的なMMT」には興味ありません。そもそも、不確実性の山である現実経済を、特定の普遍的な「学問」で説明できるはずがありません。

 主流派経済学は経済を自然現象として捉え、不確実性を排除しようとするからこそ、もう徹底的に間違っている。

 MMTは、不確実性を許容し、「人間の営み」「民主主義」「政治の裁量」など、現実に存在するツールを用い、経済を成長させようとしている点が、「主流派経済学と比べて相対的に正しい」に過ぎず、経済分野で「完璧な学問」「普遍的なロジック」「精緻なモデル」を求める時点で、
「ああ、こいつは世の中のことを何も知らないんだなあ・・・」
 と、嘆息せざるを得ないのです
 
【歴史音声コンテンツ 経世史論 始動!】
http://keiseiron-kenkyujo.jp/apply/
※6月16日(日)から、中野剛志氏との特別対談コンテンツ【歴史とナショナリズム】をご視聴頂けます。是非、ご入会下さい。
 
 それはともかく、MMTが「経世済民」のために有効なのは、ただひたすら「現実」「現実」の分析に基づいているためです。主流派経済学のように、基盤が「仮定」ではなく、「現実」であることが、MMTを(主流派にとって)脅威たらしめている最大の理由だと思います。
 
主流派経済学や政策当局の主張とは正反対のことをやるべき。これが、MMT(現代貨幣理論)から導き出される政策提言だ。
 最近、MMT(現代貨幣理論)なる経済理論が大きな話題となっている。というよりは、大半の主流派経済学者や政策当局者によって「馬鹿げている」「トンデモ理論だ」と激しく攻撃されている。
 このMMTなる代物、どうしてこんな大騒動を巻き起こしたのか。
 MMTとは、その名のとおり、現代における貨幣についての正確な理解を基礎とする経済理論である。実のところは、その中身は、次のように、あっけないほど簡単である。
 今日、「通貨」と呼ばれるものには、「現金」と「銀行預金」がある。「銀行預金」が「通貨」に含まれるのは、我々が給料の支払いや納税などのために銀行預金を利用するなど、日常生活において、事実上「通貨」として使っているからである。ちなみに、「通貨」のうち、そのほとんどを預金通貨が占めており、現金通貨が占める割合は、ごくわずかである。
◆MMTの基本は単なる「事実」!
 問題は、通貨のほとんどを占める「銀行預金」と貸出しとの関係である。
 通俗的な見方によれば、銀行は、預金を集めて、それを貸し出しているものと思われている。主流派経済学もまた、そのような見解に立っている。しかし、これは銀行実務の実態とは異なっているのである。
 実際には、銀行の預金が貸し出されているのではなく、その反対に、銀行が貸出しを行うことによって預金が生まれているのである。これを「信用創造」と言う。例えば、A銀行がα企業に1千万円を貸し出す場合、A銀行は手元にある1千万円を貸すのではない。単に、α企業の銀行口座に1千万円と記帳するだけである。
 銀行は預金を元手に貸出しを行うのではなく、その反対に、銀行による貸出しが預金を生む。したがって、原理的には、銀行は手元資金の制約を受けずに、借り手さえいれば、いくらでも貸出しを行うことができる。驚かれたかもしれないが、これが紛れもない「事実」である。主流派経済学は、信用創造の理解を間違えているのだ。(後略)』
 
 MMTの代表的な「事実の説明」は、信用創造とスペンディング・ファースト。

 銀行は、貸し出しにより保有する資産と無関係に銀行預金という貨幣を発行している。
 政府は「徴税して支出する」のではなく、まずは支出があり、ビルトイン・スタビライザー、所得再分配、政策的税制(炭素税など)、そして貨幣流通の理由として税金がある。

 特に、後者は一般の方にとっては「驚天動地」な事実でしょうが、まさしく「事実」です。

 上記の延長線上に、「財政赤字=民間黒字」「国の借金=政府貨幣発行残高」があり、日本の財政破綻やハイパーインフレーションを「全否定」するのがMMTというわけです。

 MMTを広め、とにもかくにも緊縮財政を打破する。その後は、国民を救い、国民を守るためにおカネを使い、経世済民を目指す。

 ただ、それだけの話なのですが、主流派やマスコミは、
「インフレ率のコントロールができなくなったらどうするんですか!」
 などと、恐怖プロパガンダで煽り、正しい政策を妨害する。

 いや、とりあえず「デフレ脱却」しようよ。他の国と同じ程度のインフレ率にしようよ。国民の実質賃金が上昇し、生産性が向上する普通の国民経済を取り戻そうよ。

 という話に過ぎないにも関わらず、「その先の確率がゼロに近い問題(はいぱ~何とか)」を持ち出し、国民の恐怖を煽り、正しい政策(緊縮財政からの転換)を妨害しようとしてくるわけで、
「ああ、こいつらはとりあえず自分が食えているので、貧困で苦しむ同胞や、将来の国家の安全保障とかはどうでもいいんだなあ
 との感想を抱かざるを得ないのです。

 とにもかくにも、まずは緊縮財政とデフレから脱却しよう。中野先生が書かれている通り、我々には「事実」という味方が付いているのです。
 
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