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『MMTとハイパーインフレ論者(その2)(前半)』三橋貴明 AJER2019.7.9
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三橋TV第116回【資本主義は借金で成長するモデルなのだよ】
 資本主義を、実体経済面と金融経済面の双方から説明します。

 まずは、企業Aが生産している製品Bの需要が膨大。工場はフル稼働しているにも関わらず、需要に追い付かない。

 つまりは、作れば売れる。とはいえ、稼働率100%で、これ以上の生産増は不可能。となると「儲け(利益)」を逃してしまいます。

 当然、製品Bの工場を新設しようという話になるのですが、手元に資金がない。

「じゃあ、工場を建設する資金を貯めるか~」
 などとやっていた日には、商機を逃してしまいます。将来的に工場を建設しても、製品Bの需要があるかどうか分からない。

 というわけで、銀行からおカネを借り、「今」工場を建設し、製品Bを生産して儲ける。利益の中から、企業は金利を銀行に支払う。支払われた金利が銀行の「所得」になります。(借入金の返済は減価償却で費用計上)

 とはいえ、主流派経済学の「商品貨幣論」では、銀行は融資を求められた際に、
「わ、分かりました。ならば、今からちょっくら、どっかからカネを調達してきますから」
 などとやった日には、やはり商機を逃すかも知れない。しかも、銀行が首尾よくおカネを調達できるかどうかは分からない。

 もっとも、現実の世界は信用貨幣論です。銀行は与信に基づき、企業Aの通帳の残高を増やすことで、おカネを貸しつけることが可能です。

 借り入れたおカネで企業Aは工場を建設する、つまりは建設会社や資材会社、設備会社への支払いをする。

 これが、資本主義です。つまりは、資本主義とは信用創造と企業の負債拡大(資金過不足では資金不足拡大)が前提の経済モデルなのです。
 
【日本の一般企業、政府、家計、海外の資金過不足(兆円)】
 恐ろしいことに、97年のデフレ化以降、日本企業は資金過剰(負債返済+預金増加)に陥ってしまっています。2006年までは、ひたすら負債返済。その後は、預金を増加させ、「内部留保が~」と批判される事態に至っています。

 つまりは、現在の我が国では資本主義が成立していないのです。

 政府は、企業が安定的に資金不足(しつこいけど、損益計算書上の赤字ではありません)になるまで、財政赤字を拡大しなければならないのです。

 家計にとって、負債拡大は恐怖です。何しろ、脆弱な個人が所得を稼ぎ、返済することが前提です。
 
 それに対し、企業の負債拡大は、減価償却と利益の源です。企業と家計の負債を同一視する時点で「頭がおかしい」のですが、それ以上に政府の負債は違います。

 政府の負債拡大とは、「政府貨幣発行残高の増加」を意味しているに過ぎません。これは概念的な話ではなく、日本の統合政府で考えると、
・ 日本銀行の保有する国債=現金・日銀当座預金
・ 日銀以外が保有する国債=保有者の定期預金
 であるため、会計的にも、実体的にも「クニノシャッキ~ン」は、政府貨幣発行残高です。
 
【歴史音声コンテンツ 経世史論 始動!】
http://keiseiron-kenkyujo.jp/apply/
※6月16日(日)から、中野剛志氏との特別対談コンテンツ【歴史とナショナリズム】をご視聴頂けます。是非、ご入会下さい。
 
 というわけで、日本経済に対する処方箋は、
企業が安定的に資金不足(負債拡大)に至るまで、民間黒字(財政赤字)を拡大し、政府貨幣発行残高(政府の負債)を積み上げる
 これしかないのです。

 しかも、政府貨幣発行残高の増加は、「インフレ率」が適正な水準以下に維持される限り、「何の問題もない」というのが真実なのです。ちなみに、インフレ率が適正水準を超えた場合、単に政府貨幣発行残高の増加速度が速すぎるという話であり、いずれにせよ、「財政破綻」の可能性はゼロです。

 ところが、現実の日本は・・・。
 
「消費税は社会保障財源」「国民に理解求める」岡本薫明財務次官インタビュー
 5日付で留任し、異例の2期目に入った財務省の岡本薫明(しげあき)事務次官が26日、産経新聞のインタビューに応じ、10月予定の消費税税率10%への引き上げに関し「増収分もすべて社会保障の財源にあてられる」と意義を強調した。公文書改竄(かいざん)などの不祥事を受けた組織改革も「継続的な取り組みを進めていく」とした。(後略)』
 
 恐ろしくレベルの低い「家計簿」以前の「お小遣い帳発想」で、財務省が国民を騙し、
「社会保障を守りたいならば、消費税増税を受け入れなければね」
 と、脅迫的に亡国の緊縮路線が続けられています。

 政府の緊縮路線が続く限り、財政赤字は「企業が資金不足に転換する」までの拡大は不可能で、デフレが続き、GDPが伸び悩む中、「政府貨幣発行残高」が増え続け、
「国の借金がGDPの250%を突破した! 財政破綻する! 緊縮だ! 消費税増税だ!」
 という悪循環が延々と続くことになります。

 日本国は、早急に資本主義を取り戻さなければなりません。そして、それが可能なのは政府しかいないのです。
 
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