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『MMTとハイパーインフレ論者(その2)(前半)』三橋貴明 AJER2019.7.9
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【三橋貴明×ステファニー・ケルトン】MMTポリティクス
 
 というわけで、スティファニー・ケルトン教授との対談最終回をお送りいたします

 今回の対談を受け、YoutubeやTwitterのコメントを見ていて思ったのは、
「おカネについて、商品貨幣論に囚われ、未だに信用貨幣論を理解していない人」
 が、あまりにも多いという点です。商品貨幣論というか、「おカネの種類は一種類」と思っている人

 例えば、
「MMTで財政出動をすると、国債金利が上がる!」
 まさに、おカネの種類を無視した「貨幣のプール論」が前提のクラウディングアウト論です。クラウディングアウトについては、ケルトン教授が第二回で全否定されました。
 貨幣のプールが存在しない以上、クラウディングアウトなど起こそうと思っても起こせません。

 となると、次に来るのが、
「インフレになると、国債金利が上がって破綻する!」
 でございます。そりゃまあ、インフレになれば金利は上がるでしょうが、国債金利が問題というならば、日銀が当座預金を発行し、国債を買い取れば終わりです。普通に買いオペをすればいい。

 となると、次に来るのが、
「日銀がおカネを発行し、国債を買い取ったら、インフレ率が制御できなくなる!」

 はい、この図でオシマイ。
 
【Japan’s monetary base (RHS) and inflation growth (LHS)】
 
 過去六年間で、日銀は370兆円ものMB(主に日銀当座預金)を発行し、国債を買い取りましたが、インフレ率はゼロ(消費税増税のときのみ上がった)。

 なぜ、日銀がおカネを発行し、国債を買い取ってもインフレにならないのか。理由は、日銀が発行できるおカネと、「インフレ」に繋がるおカネが「異なるおカネ」であるためです。具体的には、日銀当座預金と銀行預金です。

 日銀当座預金と銀行預金は、全く異なる世界のおカネであり、両者の間には「越えられない壁」があるのです。

 要するに、信用貨幣論を理解していないために、
「政府が財政出動するために国債を発行すると金利が上がり、金利を抑制するため日銀が国債を買い取ると、インフレ率上昇を止められなくなる」
 と、金貨銀貨の貨幣観で思考する人が、本当に多いという話でございます。

 現実の世界では、クラウディングアウトも、「MBを増やせばインフレ率上昇」も、共に起きません。日本の事例が証明しています。
 
【歴史音声コンテンツ 経世史論 始動!】
http://keiseiron-kenkyujo.jp/apply/
※6月16日(日)から、中野剛志氏との特別対談コンテンツ【歴史とナショナリズム】をご視聴頂けます。是非、ご入会下さい。
 
 何だろう? どうしても、
「日本に破綻して欲しい」
「日本に成長して欲しくない」
「日本のデフレは永久に続くべきだ」
 といった、強固な意志というか「結論」があり、頑張ってMMTを否定しようとしているのでしょうか。いわゆる、認●知的不協和?

 現実の日本は、シンクの排水管から水を抜くのを減らし(=減税)、政府が国債発行なりOMFなりで、じょうろで水をジャブジャブ注ぎこめば、普通にデフレ脱却し、経済成長しますよ。
 
【国民経済のシンク(水槽)】

 さらに、水が十分になれば(適切なインフレ率になれば)、投資と生産性向上でシンクの大きさがでかくなる(=経済成長する)ため、「ハイパーインフレーション(インフレ率を制御できなくなる)」などといった事態は起き得ません

 むしろ、このままデフレが続き、供給能力が毀損していった場合、大震災によりインフレ率が高騰するリスクが高まります。MMTを否定する者たちこそが、日本をハイパーインフレーションに導こうとしているのです。
 
『「日銀が国債全て買って大丈夫」 財政赤字を容認、「異端」MMT 提唱者ケルトン教授、来日インタビュー
 財政赤字の拡大を容認する「異端」の理論として議論を呼んでいる「MMT」(Modern Monetary Theory=現代貨幣理論)の提唱者の一人、ニューヨーク州立大のステファニー・ケルトン教授が来日し、朝日新聞の単独インタビューに応じた。「財政赤字は悪でも脅威でもない」というその主張は主流派経済学者から異端視されるが、支持する人も現れている。(後略)』
 
(引用)――積み上がった国の債務は返す必要がないのでしょうか。将来世代へのツケになりませんか。
では今の世代が前の世代の借金を返しましたか? その前の世代は? ノーです。国の『債務』という言葉を使いますが、これは見方を変えれば、国民の『貯蓄』です。単に国債という形で持たれている円(お金)です。国民の資産であり、富の一部です」
――債務が返されないのであれば政府の市場での信用が失われ、国債を買う人がいなくなるのでは。
「そうですか? それなら、日銀が全て買い上げればいいでしょう。大丈夫です。リスクはありません。実際、日銀はどんな年限の国債も無制限に買い入れますと公表することによって、短期国債だけでなく、長期国債の金利まで上手にコントロールしていますよね」”
 
 さすがに、わたくしの二倍(二十年!)も、間違った主流派経済学と戦い続けたケルトン教授だけあって、レトリックが見事なものです。参考にさせて頂きます。

 今後、
財政赤字は、国民黒字(厳密には民間黒字ですが)」
国の借金は、貨幣発行残高
プライマリーバランス黒字化目標は、国民赤字化目標
 といったレトリックを強調し、財政破綻論者や緊縮財政派の政治家に圧をかけていきたいと思います。
 
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