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『MMTとハイパーインフレ論者(その2)(前半)』三橋貴明 AJER2019.7.9
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※「知識ゼロからわかるMMT入門」は、ケルトン教授招聘プロジェクトに寄付してくれた方及び月刊三橋会員の皆様に、月末に特別価格でご案内が参ります。上記からのご購入はお控え下さい。
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【三橋貴明×ステファニー・ケルトン】MMTと日本経済の謎
昨日は、三橋経済塾第八期第七回の講義開催日でした。ゲスト講師は施光恒先生でした。
インターネット受講の皆様は、しばらくお待ちください。
インターネット受講の皆様は、しばらくお待ちください。
施先生が、講義の中で生徒さんの相川氏が作成された一枚の図を見せてくれました。これは、恐怖のグラフです。
同時に、日本が「何をやらなければならないのか」を明確に示してくれているのですが、恐怖のグラフについては、明日、取り上げます。
本日は参議院選挙投票日です。
いかなる結果になるかは分かりませんが、今回の参院選は「始まり」に過ぎません。祖国を「緊縮財政の呪い」から解き放つための戦いは、今後、確実に激化していくでしょう。
ケルトン教授来日を受け、MMTに関する議論が本格化しましたが、興味深いことに、「信用貨幣論」「租税貨幣論」といったMMTの論理、というかMMTが説明してしまった現実については「反論」はほぼありません。批判が、
「MMTでインフレ率が上がる!」
だらけであることは注目に値します。
いや、今の日本はデフレで、日本経済は「デフレ脱却」を目指さなければならなかったんじゃないの?「デフレ脱却」を訴えていた連中までもが、
「MMTでハイパーインフレーションになる(=インフレ率をコントロールできなくなる)」
と叫んでいるのは、滑稽極まりないでございますよ。この、藤巻の同類共が!
そもそも、インフレ制御の方法は金融政策含めて多数あり、過去の我が国は実際に何度もインフレを制御した「実績」があるわけでございます。
『ケルトン教授の来日を機に、日本史からMMTを考えてみました
◆MMT(現代貨幣理論)のブームが続いています。
7月16日には、MMTの提唱者のひとり・ステファニー・ケルトン教授が来日して、シンポジウムが開催されました。
もっとも、日本では、相変わらず、MMTの批判の声ばかり。
MMTは「自国通貨を発行できる政府はデフォルト(財政破綻)しないので、高インフレでない限り、財政赤字を拡大してよい」と論じています。
もっとも、これは、単なる「事実」を語っているに過ぎません。
通貨を発行できる政府が、自国通貨建ての国債を返済できるなんて、当たり前の「事実」です。アルゼンチンなどデフォルトの事例はありますが、それは外貨建て国債に関するものです。
ちなみに、財務省ですらも、この「事実」を認めています。
平成14年、財務省は、日本国債の格付けを引き下げた海外の格付け会社に対して、質問状を発出しました。そこには、こう書かれています。
(1) 日・米など先進国の自国通貨建て国債のデフォルトは考えられない。デフォルトとして如何なる事態を
想定しているのか。(※財務省HP参照) https://www.mof.go.jp/about_mof/other/other/rating/index.htm
MMTは、この「事実」を指摘しただけなのです。
MMT批判者たちも、さすがに「事実」を否定するわけにもいかない。
そこで、彼らは、まるで示し合わせたかのように、こうMMTを批判し始めました。
「いったん、財政赤字の拡大を許したら、インフレが止まらなくなる。その時、政府は、インフレを制御できなくなる。なぜなら、増税や歳出削減は、政治的に難しいからだ。それが、歴史の教訓だ!」
みんなで口をそろえて、こう批判するものですから、「確かに、そうかもしれないな」と思った方もおられるかもしれません。
しかし、実は、この「財政赤字を拡大したら、インフレが制御できなくなる」というのもまた、「事実」に反しているのです。(後略)』
【歴史音声コンテンツ 経世史論 始動!】
中野先生が「歴史的な事実」で示している通り、「財政赤字の拡大」によりハイパーインフレになった国など存在しません。ハイパーインフレは、国民経済の供給能力の崩壊以外の理由では起きません。
かつてのドイツ(戦争とフランス・ベルギー軍によるルール地方の占領)、ハンガリー(王政崩壊と共産化)、ジンバブエ(狂気のムガベ大統領による白人追放)など、いずれも「異常事態」が原因で、財政拡大とは何の関係もありません。
さらに、日本の事例からも、
『(引用)政府債務残高の数値の大きさ自体は、インフレとは関係ない』
ことが分かります。
70年代のオイルショックによる物価高騰(CPIが20%に上昇。いわゆる「狂乱物価」)も、金融政策引き締めと財政支出抑制により二年で鎮静化しました。しかも、オイルショックという異常事態を受けてさえ、高々20%のインフレになったに過ぎず、はいぱ~なんちゃらではありません。
上記が「事実」であるにも関わらず、インフレを理由にMMTに難癖をつける連中は、ことごとく「日本のデフレ脱却を阻む敵」でございます。
極めて興味深いことに、「日本のデフレ脱却を阻む敵」は、中野先生も書いていますが、
「財政赤字の拡大がインフレ制御を不可能にするのは歴史の教訓だ!」
と叫んでいるのですが、その「歴史」が、いつの時代の、どこの国の話なのか、誰も事例を示したことはありません。理由は、そんなものは存在しないためです。
選挙の結果を受け、特に10月の消費税増税が決定的になった場合、我が国は緊縮財政の呪いによりデフレ深刻化という、最悪の局面を迎えることになります。国民が貧困化し、自殺が増え、供給能力が破壊され、衰退途上国から「衰退国」へとモデルチェンジすることになります。
デフレ脱却を阻む敵を打倒し、緊縮財政の呪いから逃れるためには「事実」を大勢の国民が知らなければならない。ただ「事実を知る」だけで、状況を打破することはできるのです。
国民が「事実」を知るために有効な多くのレトリック、ツールを提供して下さったケルトン教授に、改めて感謝の意を表したいと思います。同時に、日本のデフレ脱却は、「主権者」である我々国民の手で成し遂げなければならない。日本国民以外に、日本国を救うことが可能な存在はいないということを、心に焼き付ける必要があります。
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