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『MMTとハイパーインフレ論者(その2)(前半)』三橋貴明 AJER2019.7.9
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三橋TV第113回【公開収録で安倍政権の緊縮財政を振り返ってみた】
 チャンネル桜「おおきなわ」に出演しました。
 
 先日のチャンネル桜の番組、
【Front Japan 桜】 MMTを最も活用している「中国共産党」(他)[桜R1/7/10]
 で、簡単に解説しましたが、実体経済における「負債」には三つの種類があります。

 すなわち、政府の負債、企業の負債、そして家計の負債です。厳密には「海外の経常収支赤字」という負債もあるのですが、今回は省略。

 上記三経済主体の内、最も脆弱な存在が家計です。家計が負債を増やさない、せっせせっせと借金返済や預金に励むことは合理的です。

 それに対し、昨日、解説した通り、政府の財政赤字は「貨幣発行量の増加」に過ぎません。自国通貨建てである限り、政府が「ざいせいはた~ん」などということは起き得ないため、最も強靭な経済主体です。

「国の借金で破綻する~っ!」
 などと主張している連中は、
「政府の貨幣発行量が増えれが破綻する~っ!」
「統合政府の定期預金(国債)というおカネが増えれば破綻する~っ!」
 と、叫んでいるのも同然です。つまりは、バカです。

 政府の財政赤字=貨幣発行量増加のボトルネック(制約条件)は、国民経済の供給能力、インフレ率のみです。

 問題は、「企業の負債」です。資本主義において、本来、企業は負債を増やし、投資を拡大するべき存在です。企業が負債返済や預金に邁進する経済は「異常経済」なのです。
 
【日本の一般企業、政府、家計、海外の資金過不足(兆円)】
 図の通り、98年のデフレ突入以降、日本は一般企業(非金融法人企業)が資金過剰の状態になっています。つまりは、負債を減らしているか、預金を増やしているのです。

 現在のデフレ日本では、もはや資本主義が成り立っていない証です。

 この状況で、愚か極まりない安倍内閣はPB黒字化目標を掲げ、政府の財政赤字(資金不足)を縮小するという狂気路線を採用。図の赤字を減らした分、民間の黒字が減りました。

 全体的に減っていく「民間経済の黒字」を、家計と企業が分け合う。本来、黒字(資金過剰)を出すべきではない企業が、家計とカネの奪い合いをするというバカげた状況になっています。

 当然の結果として、家計は次第に資金過剰(預金、借金返済)が難しくなっていっています。

 80年代前半、家計は毎年、20兆円強(92年に至っては50兆円!)の資金過剰、つまりは貯蓄ができていたのです。それが今や、10兆円もできなくなっている。

 資金過不足の統計を見れば、2013年以降の日本は、
「企業が資金過剰になるという異常状態が継続する中、政府が資金不足を縮小し、家計を貧しくした」
 ことが明々白々なのです。

 もう少し分かりやすく書くと、政府は「家計を犠牲にし、政府の黒字を目指した」というわけです。ここまで意味不明な政権は、過去に存在したことがありません。

 

【歴史音声コンテンツ 経世史論 始動!】
http://keiseiron-kenkyujo.jp/apply/
※6月16日(日)から、中野剛志氏との特別対談コンテンツ【歴史とナショナリズム】をご視聴頂けます。是非、ご入会下さい。
 
『<国民民主>「家計第一の経済政策」で消費を軸とした経済の好循環を
 国民民主党は、参院選で「家計第一の経済政策」への転換を訴える。
 アベノミクスは大きな企業を豊かにしたものの、その恩恵が家計や地域に及んでいない。今の日本には「消費を軸とした好循環を作り出す」ことが必要だ。さらに、「未来への大胆な投資」により、日本経済の閉塞(へいそく)を打ち破りたい。
家計消費の冷え込みが経済低迷の原因
 アベノミクスの最大の弱点は、国民総生産(GDP)の6割を占める消費が伸びていないことだ。では、なぜ消費が低迷したのか。それは家計の所得が増えていないからだ。
 GDPがピークだった1997年の日本の家計所得は378兆円。このうち、帰属家賃と事業主による社会保険料負担を除いた実際の所得は309兆円になる。2016年はそれが268兆円と、実に41兆円も減っている。家計の所得がこれほど落ち込んで、消費が伸びるはずがない。
 だからこそ今、一番大切なのは家計を豊かにし、消費を活発にすることだ。国民民主党は、家計を徹底的に応援し、地域を元気にする「家計第一の経済政策」を進め、内需中心の持続可能な成長を目指す。(後略)』
 
 というわけで、国民民主党が「家計第一」を訴えるのは、実に適切です。

 問題は、玉木代表はともかく、国民民主党の議員や候補が、
「日本は企業が資金不足(負債拡大)となり、投資を拡大し始めるまで、政府が財政赤字=貨幣発行量を増やさなければならない」
 という、マクロ的な「答え」を理解しているか否かです。(恐らく、ほとんどがしていないと思います)

 家計第一の経済、より具体的には「家計の資金過剰を大きくする」ためには、反対側で資金不足の経済主体が存在する必要があります。つまりは、国民民主党の家計第一を実現するためには、
「企業や政府の資金不足を拡大しなければならない」
 のです。そして、それで構わないのです。

 そもそも、企業が資金不足(負債拡大)・投資拡大で経済成長を牽引するのが資本主義です。さらには、政府の資金不足は「貨幣発行量の増加」に過ぎません。

 反・緊縮財政、反・グローバリズム、反・構造改革の戦いは、今回で終わりではありません。むしろ今回は、始まりです。

 別に、国民の多数派が理解できるとは思いません。とはいえ、せめて政治家の過半数が、上記の「資金過不足」の意味について理解して欲しい。

 そのために、できることは全てやっていきます。というわけで、明後日、MMTを主導する経済学者のお一人であるスティファニー・ケルトン教授が来日します。
 
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