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『MMTとハイパーインフレ論者(その2)(前半)』三橋貴明 AJER2019.7.9
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7月16日(火) MMT国際シンポジウム
パネリスト:ステファニー・ケルトン(NY州立大学教授)、藤井聡(京都大学大学院教授)他

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三橋TV第112回【公開収録でグローバリズムの歴史を語ってみた】

https://youtu.be/elbKhuXDqaE

 

 時局 2019年 08 月号に、連載「三橋貴明の経世論 第29回 「MMT」対「主流派経済学」」が掲載されました。
 
 チャンネル桜「Front Japan 桜」に出演しました。
 グローバリズム政権が「安全保障を強化する」「安全保障を守る」ことは、あり得ません。理由は単に、グローバリズムが「政府を小さくする」思想であるためです。

 そして、安全保障は政府しか守れません。理由は、安全保障は、「あるかないか分からない非常事態に備える」という性質を持つため、経済学のいう「効用」が適用されないためです。

 つまりは、安全保障は効用が発生しない、「何事もない」のが最善なのです。ということは、効用に対するFeeを稼げない。

 要するに「儲からない」のが安全保障なのでございます。儲からない事業は、民間にはできません。だからこそ、政府がやるのです

 というわけで、グローバリズム路線を邁進する安倍政権は「安全保障重視」の政権ではあり得ません。少なくとも、「安全保障政策がまとも」という理由で自民党に投票するのは間違っています。

 ところで、先日のチャンネル桜の討論で池戸さんが出した「日米中の政府債務(いわゆる「国の借金」)の推移」が面白かったので、自分でも作ってみました。

 ついでに、最近多用する政府「支出」についても、日米中で推移を見てみましょう。あと、インフレ率も。
 
【日米中の政府支出・政府債務・インフレ率の推移】
◆日米中の政府支出の推移(2001年=1)
◆日米中の政府債務の推移(2001年=1)
◆日米中のインフレ率(対前年比%)
※21世紀の平均インフレ率は中国が2.3%、アメリカが2.1%、日本が0.1%
 
 上図というよりは「データ」が示す通り、2018年の政府支出を2001年と比べると、日本が1.1倍、アメリカが2.1倍、中国が15.7倍。
 政府債務は、同じく2001年比の2018年の数値で日本が1.7倍、アメリカが3.9倍、中国が16.5倍。
 インフレ率は、21世紀平均で日本が0.1%、アメリカが2.1%、中国が2.3%。

 愕然とせざるを得ないのは、上図が「事実」であるにも関わらず、日本には、
「日本は国の借金を増やし過ぎだ。日本政府はムダ遣いをし過ぎだ」
 と、信じている国民が多数派であることです。

 事実は、日本政府は「デフレーション=総需要不足」という問題を抱えていながら、政府の負債を増やさず、支出(需要)も創出しなかった。結果的に、GDPが成長せず、国民が貧困化してしまった、です。
 
 昨日のFront Japan 桜でも語りましたが、中国共産党はMMT的に、
「自国通貨建て国債の発行は、単に自国通貨建て「貨幣」を増やしているに過ぎない」
 という事実、及び、
「経済で最も大切なのはカネではなく、モノやサービスを生産する力」
 を明確に理解している可能性が濃厚なのです。だから、まずい。

 日本国が「国の借金で破綻する~っ!」というプロパガンダに支配され、適切な政府債務拡大(=貨幣総量拡大)や支出増による需要拡大に踏み切れなかった場合、我が国には「中華人民共和国 倭族自治区」の運命が待ち受けています。

 これが「現実」であるにも関わらず、相変わらず「国の借金プロパガンダ」は終わらない。反MMTプロパガンダも続く。
 
【歴史音声コンテンツ 経世史論 始動!】
http://keiseiron-kenkyujo.jp/apply/
※6月16日(日)から、中野剛志氏との特別対談コンテンツ【歴史とナショナリズム】をご視聴頂けます。是非、ご入会下さい。
 
『賛否両論「MMT」は「日銀・財務省」失策の劇薬となるか
 現代貨幣理論(MMT:Modern Monetary Theory)という新たな経済理論が、世界の経済関係者の間で話題となっている。MMTの最大の特徴が、「財政赤字に問題はなく、政府が財政再建を行わなくとも、財政破綻をすることはない」という考え方で、その成功例として、政府債務がGDP(国内総生産)の240%にも達しながらインフレにも陥らず、財政破綻もしていない“日本”が取り上げられているためだ。
 そもそもMMTは、米国の経済関係者の間で大きな議論を巻き起こした。MMTの提唱者の1人である米ニューヨーク州立大のステファニー・ケルトン教授は、バーニー・サンダース上院議員が2016年の米大統領選民主党候補指名争いに立候補した際、経済アドバイザーとなったことで注目された。さらに、2018年11月の選挙で、米国で史上最年少の女性下院議員となった民主党のアレクサンドリア・オカシオ・コルテス議員が支持したことで、MMTは脚光を浴びることになった。(後略)』
 
 記事の後半に、
『しかし、その半面、日本は巨額の財政赤字を抱えるほどの財政出動を行い、さらに、少子高齢化の影響もあり、人手不足でほぼ完全雇用が達成されている状況にもかかわらず、物価が上昇しインフレとなる兆しもない。こうした状況を考えれば、MMTが日本にあてはまるという点は、いささか疑問を持たざるを得ない。』
 とありますが、意味不明。

 物価が上昇し、インフレになる兆しがないということは、なおさら政府が財政拡大で需要を創出して構わないことを意味しているに過ぎません。

 しかも、日本は未だに完全雇用ではない。完全雇用ならば、間違いなく投資が増え、生産性が高まり、実質賃金が上昇する。
 
 現在の日本は、単に、
「低賃金で働く奴隷的労働者が不足している」
 に過ぎません。

 また、
『独裁政権ではなく、国家が議会制を採っている場合には、MMTが経済政策の手段としてあげる財政支出や税率の柔軟な変更は、かなり困難だ。財政は年度予算として議会の承認を得ており、たとえば日本の場合には、景気対策の補正予算ですらかなりの時間をかけて議会の承認を得る必要があるし、物価のコントロールのために税制や税率を変更しようとすれば、それ以上の議論と時間が必要となるだろう。』
 に対しては、
「中国は二十一世紀に政府債務を16.5倍、政府支出を15.7倍にしたわけだが、インフレ率は平均2.3%に過ぎない。お前(寄稿者)は、一体、日本の政府債務や政府支出を何倍にするつもりなんだ?」
 と、問いかけたい。
 
 加えて、国家が議会制度で予算コントロールするのは、民主主義国なんだから当たり前だろ。お前は、国会や民主主義が財政をコントロールすることを否定する反・民主主義者、統制財政派だ。むしろ、堂々と、
「財政は民主主義でコントロールしてはならない」
 と、主張しろ、この偽善者が。いかにも正義面して「物価や税制の制御は難しい・・・」と、露骨に民主主義を否定すんな。
 という言葉をプレゼントしよう。
 
 いずれにせよ、今回の記事からもMMTの議論が、
「民主主義で財政をコントロールするべきと主張する財政民主主義派と、民主主義を否定する統制財政派」
 との闘争であることが分かるでしょう。他の論点は、もはや何もありません。

 統制財政を主張する反・民主主義者共を黙らせるには「事実」を突き付けるのが一番です(彼らが改心することはまずありません。黙らせるしかない)。というわけで、今後も様々なデータ、グラフをご提供していきますので、ご活用下さいませ。
 
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