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『MMTとハイパーインフレ論者(その1)(前半)』三橋貴明 AJER2019.7.2
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7月16日(火) MMT国際シンポジウム
パネリスト:ステファニー・ケルトン(NY州立大学教授)、藤井聡(京都大学大学院教授)他

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三橋TV第111回【絶望の向こう側のチャンスを!】
 わたくしは、TPPやら農協改革やら種子法廃止やらについて、「アイコン」で批判したことはありません。中身で論評します。

 TPPならTPPの「中身の何が問題なのか。それが全体的に日本国民にいかなる悪影響を与えるのか?」を具体的に、データに基づいて解説した上で反対しました。

 農協改革でいえば、農協法のみならず、農地法や農業委員会法の改正まで克明に調べ上げ、問題点を解説する形で反対しました。(結果「亡国の農協改革」という一冊の本になってしまった)

 種子法廃止についても、モンサントビジネスについて詳細に調べ上げ、日本の食料安全保障、遺伝子組み換え、ラウンドアップとの組み合わせ、種子法による都道府県の圃場管理、原種・原原種の維持の重要性、地方交付税における予算確保の担保法(種子法)、F1品種の問題、そして種苗法で「守られているはず」の野菜のタネがどうなったか(何と九割が海外生産!)。全て調べ上げました(結果、やはり「日本を破壊する種子法廃止とグローバリズム」という一冊の本になった)

 すべて理解した上で、反対しているのです(だから、反対を始めるのが遅い)。

 それに対し、推進派は、
TPPは自由貿易です。自由だからやるのです(竹中平蔵氏が面と向かってわたくしに言い放った台詞)」
TPPはチュウゴクホウイモー
農協は既得権益。農協解体
「共産党が種子法廃止に反対しているから、種子法廃止に反対する奴は共産主義者
 といった、ワンフレーズ、レッテル貼りで攻撃してきたわけでございます。(つか、恥ずかしくないのかな・・・)

 どっちが、誠実? どちらが、国民や国民経済のことを真剣に考えている? どっちが「思考停止」に陥っていない?
 その程度のことすら理解できないならば、わたくしのブログを読むのはやめて下さい。

 MMTについても、元々MMT的な貨幣論は語っていましたが(こんな本も書いた→「日本人が本当は知らないお金の話」)、本格的に取り上げ始めたのは今年の3月からです。何故、遅いのかと言えば、先にも書きましたが「全て理解」しない限り発言しなと決めているからです。ちなみに「全て理解する」の基準は、だいたい「本一冊書けるか否か」です。

 というわけで、MMTについて全て理解し、「日本国民の豊かさにつながる」からこそ推進しているのですが、別にMMTというアイコンで語っているわけではありません。わたくしが常に「MMTの中身」を解説し、正しいことをデータに基づき証明していることは、お分かり頂けるかと存じます。

 それに対し、反対派はレッテル張り、曲解、「木を見せ森を見せないプロパガンダ」、ストローマン・プロパガンダで攻撃してくる。財政破綻論やグローバリズムとの戦いは、常にこの構造でした。
 
 この時点で、どちらが「誠実か」「国民のために語っているか」が分かると思うのですが。

 もっとも、MMTの「中身」を突っ込む批判はことごとく論破され、残るは、
「MMTでインフレ率をコントロールできなくなる~」
 という、ハイパーインフレーション論のみです。日本のデフレを問題視し、デフレ脱却を唱えていた「いわゆるリフレ派」までもがハイパーインフレ論を叫び、MMTに反対しているので、笑ってしまったのですが、実はここに話の本質があります

 つまりは、
「財政主権は国民にあり、デフレ脱却は財政のコントロールで実現するべき」
 という、ケインズ系あるいは「財政民主主義派」の考え方と、
「民主主義では財政をコントロールできない。PBや憲法化など、ルールで財政を統制しなければならない」
 という、主流派経済学あるいは「統制財政派」の対立です。これ以外の対立構造でMMTを批判している人は、問題を理解していないので無視しましょう。
 
 ちなみに、↑こういう書き方をすると「三橋もレッテル貼りしているじゃないか!」と、意味不明な批判をするバカがいますが、わたくしの「統制財政派」は単なる事実の説明です。別に、統制財政派という言葉に何らかの含意があるわけではないです。単なる価値観の違いであり、定義も明確です。統制財政派とは、「財政はルールで決め、民主主義は関与させるな」と主張する連中のことです。別に、
「この統制財政派が!」
 というワンフレーズで黙らせようとも思っていませんので、念のため。

 実は、財政民主主義派と統制財政派との争いは、1950年代から執拗に続いています。現在は、新古典派など「反ケインズ派」が主流派になっているため、PB黒字化目標などの「統制財政派」が政治力を高めています。
 
【歴史音声コンテンツ 経世史論 始動!】
http://keiseiron-kenkyujo.jp/apply/
※6月16日(日)から、中野剛志氏との特別対談コンテンツ【歴史とナショナリズム】をご視聴頂けます。是非、ご入会下さい。
 
参院選が近づく中、MMT批判の恐ろしさに震え上がりました
 昨今人気のMMT(現代貨幣理論)について、法政大学教授の小黒一正先生が批判しています。
 MMTというのは、ごくごく簡単に言うと「自国通貨を発行できる政府は、財政破綻しないので、高インフレでない限り、財政赤字を拡大してよい」という理論です。
 小黒先生は、2010年に『2020年、日本が破綻する日』(日本経済新聞出版社)という本を出された方ですから、MMTを批判するのも当然ですね。
 ちなみに、2020年って、来年ですが・・・
 その小黒先生が言うには、MMTはアメリカで提唱されたが、日本では、私が「MMTを日本に紹介するため、『目からウロコが落ちる 奇跡の経済教室【基礎知識編】』(ベストセラーズ)等を出版し、一部の間で話題となっている模様である」のだそうです。
 でも、お読みいただいた方はお分かりでしょうが、あの本は「MMTを日本に紹介するため」に書いたのではありませんが・・・
 それはともかく、小黒先生は、MMTを次のように批判しています。
「一方で、アメリカのハーバード大学のケネス・ロゴフ教授やサマーズ元米財務長官といった主流派の経済学者は、「MMTは様々なレベルで間違っている」とし、MMTの理論的な妥当性を強く批判している。
 どちらの見解が正しいのだろうか。中野氏の書籍を読むと、MMTが正しいと判断する読者もいようが、ロゴフ教授やサマーズ氏らの指摘のほうが正しい。理由は、MMTは、財政の民主的統制の難しさを深く考察していないためである。」
 「財政の民主的統制の難しさ」とは、何でしょうか。
 小黒先生によれば、「財政赤字が害をもたらすとわかれば、その時点で適切な水準に財政赤字を縮小すればよいという発想だが、民主主義の下で政府支出の削減や増税を迅速かつ容易に行うのは極めて難しい」ということです。(後略)』
 
 わたくしは、小黒氏のMMT批判について、
三橋TV第108回【反MMT派は民主主義を否定する連中です】 
 で褒めましたが、それは氏が問題の本質から「逃げていない」ためです。MMTを批判する者は、「反・民主主義者」「統制財政派」であることを自ら宣言したのも同然なのです。

 小黒氏は、反・民主主義者の典型であるブキャナンを持ち出し、堂々と論陣を張ったからこそ、評価しているのです。

 さて、財政統制派のMMT批判は、
「MMT派は財政を拡大し、インフレ率が上昇したら増税や政府支出削減をすればいいというが、実際にはできない」
 というものです。

 ということは、あれですか。我々国民は、財政について財務省やら特定の御用学者やら、そういう連中が勝手に定める「ルール」に委ねなければならないという話ですか? つまりは、主権を放棄しろ、と。

 放棄しろ、というのが、ブキャナン、小黒一正氏、いわゆるリフレ派含む「ハイパーインフレ論者」たち、財務省、そしてPB黒字化目標を掲げる全ての政治家の主張なのです。

 はい、PB黒字化目標も、間違いなく我々日本国民に「財政の主権を放棄しろ」と求める考え方になります。というか、実際に我々は財政主権をPB黒字化目標により放棄させられています。
 
『(再び中野氏の寄稿から引用)
小黒先生は、「社会保障費の削減や増税が政治的に容易に可能ならば、今ごろ日本では財政再建が終了しているはずである」などと、恐ろしいことを書いています。
 なにが恐ろしいかって?
 社会保障費の削減や増税とは、国民から所得を奪うということです。
 財政再建のために、財政赤字を約30兆円削減するということは、国民から所得を約30兆円奪うということを意味します。
 デフレの時に、そんなことをやったら恐慌(大デフレ不況)になり、失業者や生活貧困者が大量に発生するでしょう。自殺者も間違いなく増える。
 こんな恐ろしい政策が断行されることは、民主主義が健全に機能している限り、まず、あり得ません。
 国民が選んだ政治家が、失業や貧困に苦しむ国民の声を無視することはできないからです。
 つまり、デフレ下での財政再建の強行などという恐ろしい政策を阻止しているのは、財政民主主義だということになります。』
 
 実際の日本は、財政民主主義が機能していないが故に、デフレが続き、デフレ下の緊縮財政が強行され、国民が貧困化し、死んでいます。
 
 以前から「財務省から主権を取り戻せ」と、主張してきましたが、MMTの普及により、いよいよ「最終的な対立構造」が明らかになったと思いませんか。緊縮財政の破棄と、デフレ脱却、国民が豊かになる経済を求める我々は、民主主義により「統制財政派」と政治闘争を繰り広げている、繰り広げてきたというのが真相なのです。
 
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