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7月16日(火) MMT国際シンポジウム
パネリスト:ステファニー・ケルトン(NY州立大学教授)、藤井聡(京都大学大学院教授)他
 
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【三橋貴明×玉木雄一郎】地方のインフラ整備と教育と科学技術にカネを使おう!
 
 来週から7月に入りますが、7月は5日に三橋TV公開収録(&懇親会)があり、16日にステファニー・ケルトン教授を招いたシンポジウム(わたくしは別会場でパブリックビューイング担当)、翌日、ケルトン教授の三橋TV出演と、大イベントが続きます。

 わたくしも忙しいですが、社員もパニック寸前でございます。イベント会場で見かけたら、ねぎらってあげて下さいね。
 
 さて、共産党の小池晃参議院議員の質問に、安倍総理が答える動画が、何と450万回を超す視聴となり、話題になっています。
 
 
『安倍首相「消費税上げても大企業・富裕層に増税はダメ」443万回再生の動画が暴露、年金の「国家的詐欺」
 金融庁のワーキンググループが「平均的な高齢者が退職後の30年間を生きる場合、年金収入だけでは2000万円不足する」「自助の充実が必要」との報告書をまとめた問題で、小池晃参議院議員(共産)が、安倍晋三首相を追及する動画がネット上で話題となっている。この動画は、大企業や富裕層への税率を上げ、それを財源に年金制度の立て直そうという国会でのやり取りを紹介したもので、今月10日にツイッターに投稿されてから、既に443万回以上、再生されている。 (後略)』
 
 動画の要旨ですが、小池議員が、

「だから、私たちはこれをしっかり底上げしようではないかと言っている。財源も、法人税について、大企業にせめて中小企業並みの基準で法人税の負担を求めれば、これ4兆円出てまいります。それから、株で大変なもうけを上げている富裕層の皆さんに平等に所得税を払ってもらう、そして所得税の最高税率を上げていく。これで3兆円の財源出てまいります。こういった財源を私ども示して、年金の底上げをやろうじゃないかということを提案していますから」

 と、年金不安解消のために法人税や所得税を引き上げろと主張したのに対し、安倍総理が、

ただいまの財源については、それは全く私は信憑性がはっきり言ってないと思いますね、全然、それは。日本の経済自体が相当のダメージを私ははっきり言って受けると思います。言わば、経済は成長どころかマイナス成長になるかもしれない」

 と、所得増税(最高税率引き上げや累進強化)や法人税増税について「経済がマイナス成長になる」と反対したのです。
 
 とりあえず、共産党に、
「防衛安全保障強化か、年金か、といったトレードオフ思考はいい加減にやめろ」
 と、突っ込みつつ、より重大な総理の答弁。

 要するに、安倍総理は典型的なトリクルダウン思考になっているわけですが、これは「おカネのプール論」です。

 トリクルダウン理論とは、実際には理論でもなく「妄論」でございますが、具体的には、
「富裕層や大企業に所得を多く残すと、それが「投資」として滴り落ち(トリクルダウン)、国民経済が成長する」
 という理屈になっています。

 つまりは、富裕層や大企業に「残った所得=貯蓄」から、投資資金が融通されるという考え方になっているのです。ね? おカネのプール論でしょ?

 実際には、課税強化で富裕層や大企業の貯蓄が激減したとしても、「投資資金」は普通に銀行から貸し出されます。単に、銀行が通帳のお預かり金額に数字を書くだけで。

 もはや、人類の愚かさに絶望したくなってきますが、人々の多くは、
「富裕層や大企業が貯蓄を増やせば、おカネのプールのおカネの量が増えるから、当然、そこからおカネが貸し出され、投資が増える」
 という、バカバカしいおカネのプール論
を信じているのです。
 
 現実を見てみろ! 銀行はおカネを貸し出す際に、「どこかから資金を調達」しているのか!!!(していません)
 
【歴史音声コンテンツ 経世史論 始動!】
http://keiseiron-kenkyujo.jp/apply/
※6月16日(日)から、中野剛志氏との特別対談コンテンツ【歴史とナショナリズム】をご視聴頂けます。是非、ご入会下さい。
 
 97年以降の日本は、
「大企業は法人税が激減し、所得1億円以上の高所得者層は分離課税で税額を減らし、反対側で消費税を増税し、負担を国民全体に押し付ける」
 ことを繰り返してきました。

 ちなみに、大企業の多くは、弊社よりも法人税率が低いです。さらに言えば、わたくし個人の所得税率は、上場企業への株式投資&配当金で巨額の所得を稼いでいる連中の「二倍以上」です。あ~、腹立つわ!

 というわけで、共産党方式のルサンチマンの煽りが「効く」のは、無理もない話なのです。何しろ、現実がそうなのだから。(とりあえず、所得税の分離課税だけは本当にやめて欲しい

 それはともかく、安倍総理の考え方は決定的に間違っており、企業は、
「法人税率が低く、内部留保が貯まった! やったあ! 投資しよう!」
 などという投資行動は絶対にとりません。
内部留保があろうが、法人税率がどうだろうが、「需要」があり、儲かるというならば、銀行からおカネを借り入れ、投資をするだけです。

 無論、銀行の与信材料にはなるのでしょうが、本質的には「企業の内部留保がゼロ」であっても、儲けるためにおカネを借り入れ、投資をするのです。それが、資本主義です。

 というか、現実の日本では、企業の現預金を増やしてやっても、投資は増えていないし、経済も成長していないじゃん!
 
【日本の民間非金融法人企業の現預金(億円)】
 恐ろしいことに、日本の民間非金融法人企業の現預金は、2012年末と比較し、19年3月末までに、何と80兆円!も拡大しました。この現実が見えないのか、安倍総理は。というか、どんだけ企業優遇しているんだ!
 
 要するに、安倍政権は単純に、
「大企業や富裕層の所得を増やし、負担を貧困層を含めた国民全体に押し付ける」
 という考え方で経済政策を行っているわけです。分かりやすいといえば、分かりやすいですが。

 それにしても、MMTやおカネのプール論(の間違い)を理解すると、クラウディングアウト、マンデルフレミングモデル、トリクルダウンと、経済学者が振りかざす「妄論」の嘘が簡単に見抜けるのです。面白いでしょ?

 やはり肝は、「銀行預金」というおカネ発行の仕組みだと思います。というわけで、わたくしはMMTの解説において、必ず「ゴールドスミス」から話を始めます。

 とにかく、銀行預金が「貸し出しの際に、書くだけで生成されているおカネ」であることが分からないと、話になりません。つまりは、経済学者や政商、政治家、官僚らの「妄論」に騙されるのです。

 念のため、再掲しておきます。
「日本の未来を考える勉強会」ーMMTポリティクス〜現代貨幣理論と日本経済〜
 何気に、こんなお堅いMMT解説動画の視聴者数が14万を超えています。「変わり始めている」のは間違いないのです。 
 

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