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7月16日(火) MMT国際シンポジウム
パネリスト:ステファニー・ケルトン(NY州立大学教授)、藤井聡(京都大学大学院教授)他
 
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【三橋貴明×玉木雄一郎】地方のインフラ整備と教育と科学技術にカネを使おう!
 
 主流派経済学者、財務省、財政破綻論者、御用学者、エコノミスト、アナリスト、経済評論家など、財政破綻を煽ってきた連中が、今回のMMTという黒船で決定的にダメージを受けたのは、
「クラウディングアウト論の嘘を暴かれた」
 ことです。

 クラウディングアウト論とは、
「政府が国債を発行すると、金利が上昇し、民間がおカネを借りられなくなり、投資が抑制され、経済が成長しなくなる」
 という、国債発行を妨害するレトリックでございます。ちなみに、マンデル・フレミング・モデルとやらも、クラウディングアウト論の延長です。

 この「国債発行で金利が上がる」を見事に否定してしまったのが、MMTというよりは我が国の事例。すなわち、経済学者の悪夢。
 
【日本政府の長期債務残高(左軸、兆円)と長期金利(右軸、%)】
 日本政府は長期債務を1970年比で155倍にした。それにも関わらず、長期金利は下落していき、現在はマイナス。
 なぜ?

 そりゃまあ、国債発行残高と金利が無関係だからです。

 そもそも、金利とは、「おカネのプールに溜まったカネを奪い合う結果、決まる」わけではありません。銀行が貸し出しに際して、銀行預金というおカネを発行する際に決めます。
「すでに存在するおカネの貸し借り」
 で決まるわけではなく、
「新たに発行されるおカネの貸し出し」
 の際に決まるのです。既存の負債(国債発行残高)は関係ないのでございます。

 現在、貸出約定平均金利を見ると、国内銀行の長期貸出金利は0.7%程度。国内銀行は長期渡り、0.7%以上のインフレにはならないと考えていることになります。(インフレ率が1%とかに上昇してしまうと、銀行が損をしてしまいます)

 つまりは、日本の低金利の大本にあるのは、「デフレ予想」なのです。無論、量的緩和による金融市場からの国債枯渇の影響は否定しませんが、少なくとも銀行がおカネを貸し出す際に、
「あ、国債発行残高がここまで積み上がっているんだ。じゃあ、金利を上げなきゃ」
 などとやっていない
ことは間違いありません。

 というわけで、おカネのプール論が成立しない以上、クラウディングアウトなど「妄想」に過ぎないことになります。この妄想を、過去、延々と信じ込んできた連中は、今後、どうすればいいのでしょう。

 センメルヴェイス反射に陥られると迷惑なので、「しれ~」と、
「え? クラウディングアウト? おカネのプールがあるわけじゃないんだから、そんなの起きるはずがないじゃん」
 と、過去の自分をなかったことにしてしまえばよろしいのではないでしょうか。
 
【歴史音声コンテンツ 経世史論 始動!】
http://keiseiron-kenkyujo.jp/apply/
※6月16日(日)から、中野剛志氏との特別対談コンテンツ【歴史とナショナリズム】をご視聴頂けます。是非、ご入会下さい。
 
ある真実を人々が真実だと認めるまでにはいつも3つの段階を通過する。
第一段階では、嘲笑する。
第二段階では、激しく反対する。
第三段階では、当然のこととして受け入れる。
(アルトゥル・ショーペンハウワー)
 
『"異端"の経済理論が「デフレ脱却を目指す日本は、財政赤字をむしろ拡大すべき」と説く理由 - 「文藝春秋」編集部
「自国通貨を発行する政府は、高インフレの懸念がない限り、財政赤字を心配する必要はない」
 こう説くMMT(Modern Monetary Theory「現代貨幣理論」)が話題となっている。
 もしこの理論が正しければ、10月に予定されている「消費増税」はもちろん、長らく日本の課題とされてきた「財政赤字の健全化」など、不要となるからだ。
メディアでは「異端の経済理論」として紹介
 MMTの提唱者、米ニューヨーク州立大学のステファニー・ケルトン教授は、「政府債務は過去の財政赤字の単なる歴史的記録です。これによってわかるのは、これまでの赤字財政で日本経済の過熱を招くことはなかったということです」として、「理論を実証してきた」日本を「成功例」として挙げている。
 一方、「財政規律の軽視」につながる議論としてMMTを警戒する財務省は、「MMT反論資料」を作成し、財政制度等審議会に提出した。
 財務省だけではない。多くのメディアでは、MMTは「異端の経済理論」として紹介され、経済学者やエコノミストの多くが「トンデモ理論」と斬って捨てている。
 しかし、MMTは「最近、にわかに登場したトンデモ理論」とは決して言えないのだ。
 2016年刊の大著『富国と強兵』(東洋経済新報社)で、日本でいち早くMMTを論じた評論家の中野剛志氏はこう述べる。
「最近になって登場した感があるが、実は、20世紀初頭のF・G・クナップ、J・M・ケインズ、J・A・シュンペーターらの洞察を原型とし、A・ラーナー、H・ミンスキーなどの業績も取り込んで、1990年代に、L・ランダル・レイ、S・ケルトン、W・ミッチェルといった経済学者、あるいは投資家のW・モズラーらによって、MMTという名で成立していた理論である」(後略)』
 
 後略部で、中野氏は「貨幣」について説明していますが、まさしくMMTは「貨幣」について説明しているだけで、特定の政治的意図があるわけではありません。

 というか、わたくしに言わせれば、主流派経済学の「クラウディングアウト」や「財政均衡主義」の方に、特定の、かつ邪な政治的な意図を感じます。

 国民民主党の玉木代表との対談の二回目、
【三橋貴明×玉木雄一郎】構造改革って考え方が古いよね
 で、議論していますが、特定の誰かのビジネスにおける利益を最大化する構造改革(規制緩和、民営化、自由貿易)を進めるためには、緊縮財政が必須なのです。
 
「国の借金で破綻する。財政は均衡させなければならない。もはや政府は公共サービスに支出できない。民間活力の導入を。規制緩和、自由化、民営化、外資歓迎!」
 上記が「グローバリズムのトリニティ」のレトリックです。安倍政権の構造改革が、ほぼ全て上記のレトリックで進められたことに気が付くはずです。

 MMTは既存の頭の悪い経済学者や財政破綻論者のみならず、竹中平蔵氏に代表されるグローバリスト、国民の豊かさや安全保障など「どうでもい。そんなことより俺にカネを寄越せ」というレントシーカー、政商たちとも敵対せざるを得ないのです。

 MMTで日本がデフレ脱却を果たしてしまうと、レントシーキングを続けている政商たちは店じまいです。

 つまりは、MMTは経済学者にとっての悪夢であり、緊縮財政のみならず、日本国を弱体化させた「構造改革」をも破壊する考え方なのです。だからこそ、拡散し、広めなければなりませんが、逆に「抵抗」も凄まじいものになることを覚悟しなければなりません。

 まあ、それでもやるんですけどね。
 

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