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『主流派経済学とデフレーション(前半)』三橋貴明 AJER2019.6.4
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三橋TV第100回【農協を守れ!】
 
 日本政府は本日、骨太の方針2019を閣議決定します。消費税率10%への引き上げが、決定というか、「延期・凍結等されないこと」が決定することになります。(消費税増税は法律で決まっている)
 
 また、自民党は今週、総務会で参院選向けの公約を決定しますが、
「増税をして、泥縄の景気対策をする」
 という路線が濃厚です。
 
 結局、大本の財務省の緊縮財政路線を覆さない限り、どうにもなりません。日本国はこのまま衰退し、国民は貧困化。将来的には、中華人民共和国倭族自治区でございます。
 
 いや、脅しではなく、このままだと、普通にそうならざるを得ないのです。何しろ、中国は明らかにMMTあるいは「経済力」について正しく理解し、モノやサービスの生産能力を高めるための投資、「設備投資」「人材投資」「公共投資」「技術投資」に邁進しています
 
 それに対し、我が国は「支出を必ず昨年よりも減らすこと」という、恐ろしいマイナス・シーリングの発想で財政運営がなされているのです。
 
 中国共産党「経済力>カネ」。日本国民「カネ>経済力」。
 
 国民(というか人民)レベルで見れば、中国人の方がもちろん「カネ、カネ、カネ」ですが、政府レベルでは間違いなく中国の方が正しく経済を理解している。カネなんぞ、政府がいくらでも発行できる。とはいえ、供給能力はそうはいかない。
 
 これが現実です。
 
 というわけで、中共はMMTの発想そのままに、「供給能力の強化が、「カネ(予算)」の限界を引き上げる」と、投資を蓄積していっています。それに対し、我が国は・・・・。
 
 もっとも、希望がないわけではありません。MMTに関して理解が(これでも)深まってきており、メディアでも「中立」の方に寄ってきているところがあります。
 
 皮肉なことに「朝日新聞を筆頭に」でございますが。
 
財務省の主張はウソか 異端理論「MMT」上陸で激論
 政府が自国通貨建ての借金をいくら増やしても財政破綻(はたん)せず、インフレはコントロールできる。もっと借金して財政出動すべきだ――。そんな過激な主張のアメリカ発の経済理論「MMT」(Modern Monetary Theory=現代金融理論、現代貨幣理論)。米国では経済学者を巻き込んだ大論争となり、日本でも議論を巻き起こしている。
 MMTの提唱者の一人、ニューヨーク州立大のステファニー・ケルトン教授は、政府債務が先進国で最悪の水準の日本でも、金融緩和で超低金利が続いていることが、「MMTのいい例証だ」と言う。主流派の経済学者からは異端視され、政策当局者からも「日本を(MMTの)実験場にする考え方を今持っているわけではない」(麻生太郎財務相)「MMTの考えているようなことをやっているということは全くない」(黒田東彦(はるひこ)・日本銀行総裁)と否定的な見方が出るような主張がなぜ今、注目されるのか。
 10月の消費増税を控え、景気や財政への関心が高まる中、国会でも議論が活発だ。最近の国会質疑で論戦を繰り広げた西田昌司(しょうじ)(自民)、大門実紀史(みきし)(共産)両参院議員と、元日銀審議委員の木内登英(たかひで)・野村総合研究所エグゼクティブ・エコノミストに、MMTに関する見方を聞いた。(聞き手・笠井哲也)
西田昌司・参院議員(自民)
◆財務省が言うのはウソ
 ――MMTが日本でも議論される背景は。
 「最近の世界経済は減速し、国内の景気も落ち込んでいる。ここで消費税を上げるわけにはいかない。積極的に財政出動しなければならない。ところが財務省はこれ以上の財政支出をすれば破綻(はたん)すると言う。今は民間にも家計にも貯蓄があるが、高齢化で貯蓄を取り崩すしかない。そうすると国債の消化ができなくなる、と財務省は言う。これはウソだ。このウソを正すために我々はMMTに賛同している」(後略)』
 
【歴史音声コンテンツ 経世史論 始動!】
※6月15日(土)まで、特別コンテンツ【MMTポリティクス~現代貨幣理論~第一回】をご視聴頂けます。是非、ご入会下さい。
 
 興味深いのですが、朝日新聞はMMTについて「現代金融理論、現代貨幣理論」と併記しています。どういういつもりなのかは、よく分かりませんが。
 
 西田先生が、
「現代金融理論ではなく、現代貨幣理論だ。どこの世界にMonetaryを「金融」と訳すバカがいるんだ、こらっ!」
 と、凄んだのかも知れませんが(※勝手な想像)。
 
 財務省の「ウソ」が何かといえば、

『高齢化で貯蓄が取り崩されるということはある。でもその貯蓄は何らかの消費に使われ、誰かの収入になり、その誰かの貯蓄が増える。いったん増えた貯蓄が減ることはない』
『最大の問題は、貯蓄が投資に使われないということ。だから需要をつくらなければならない。アベノミクスは、日本銀行の異次元緩和でデフレは解消し、インフレになるはずだといっていたが、私は異を唱えていた。まずやるべきは財政出動だった』

 だそうです。
 
「政府が国債発行すると、銀行預金が増える」
「政府はそもそも新規国債発行で国民の貯蓄は借りていない」
 を西田先生が言わないはずがない(国会では言っている)ので、この決定的な「財務省の嘘」については、朝日新聞が「忖度」したのかも知れません。
 
 いずれにせよ、
「高齢化で貯蓄が取り崩されて国債の消化ができなくなる」
 にしても、バカバカしい限りです。高齢化で国民が預金を取り崩して「使った」ところで、おカネが消えるわけありません。モノ・サービスを売った企業のBSの借方に移るだけです。(この件、昔、大阪のTV番組で竹中平蔵氏に突っ込んだ記憶がある。竹中氏は、反論しませんでした。できるわけないですが)
 
 興味深いのは、西田先生の次に、共産党の大門実紀史参院議員がインタビューを受けているのですが、MMTについて「MMTを支持する人々にシンパシーは感じる」と言いつつ、
 
『ゼネコンが熱望する公共事業を増やすためにも、MMTでもっと国債を発行しろ、と言う流れがある』
『ゼネコン型の大型公共事業や防衛費拡大の理屈に利用される危険性だ』

 と、昭和・平成期同様に、
「政府の財政支出はゼネコン、公共事業、無駄遣い!」
「政府の財政支出は防衛費増強! 戦争になる!」
 的な、陳腐な批判を繰り返している点です。あれかな、テンプレでもあるんかな? 大門議員というか共産党は「地域経済への効果も高い身近な公共事業は否定しない」そうなのですが、日本国の経済力強化のために、新幹線などの交通インフラを建設することが、何か問題なのでしょうか?
 
 あるいは、全国的な防災インフラを強化することは? 日本海側に第二国土軸を建設し、大震災に対する強靭性を確保することは?
 
 これらは「ゼネコン型の大型公共事業」ということで、財政的な予算制約がなかったとしても、やってはならないのでしょうか。つまり、共産党は、
「国民を救う大型公共事業は断固反対! 大震災のときは、国民は死ね!」
 と、言いたいのでしょうか。公共事業を「ゼネコン型」「大型」というだけで反対する以上、「共産党は国民に死ねと言っている」と受け止められても仕方がありませんよ。
 
 別に、貧困化した若者、非正規雇用、シングルマザー、貧困女子、貧しい高齢者、親の所得が理由で教育を受けられない子供たちを救うために財政出動することには反対しません。というか、やるべきです。
 
 とはいえ、話はトレードオフではないのです。MMTは政治的に中立であり、さらに財政制約を左右関係なく取り払います。
 
 MMTで貧困化した国民を救い、国土を強靭化し、防衛力を強化しましょう。それで、いいじゃないですか。食料安全保障も強化し、食の安全を取り戻し、子供たちに安全な食べ物を余計な不安なく食べさせることができる国に戻りましょうよ。国際リニアコライダーを建設し、再び科学技術大国を目指しましょうよ。
 
 全部、やりましょうよ。
 
 もっとも、財務省の緊縮財政至上主義を打破できない限り、全ては絵に描いた餅です。
 
 政治家の皆さん。皆さんはそれぞれ、やりたいことがあるから、政治家になったのでしょう? できますよ、財務省の緊縮至上主義を壊せれば。
 
 逆に、財務省の緊縮至上主義が続く限り、何をやろうとしても「財政が~」で、結局は何もできません。
 
 とにもかくにも、財務省の緊縮財政を潰さなければならないのです。そのためには、「予算制約が無くなった際に何をやるか」は、とりあえず置いておいて、対財務省で連帯しなければならないのです。是非とも、以下の動画をご覧ください。40分強で、MMTの骨子は学べます。
 
【「日本の未来を考える勉強会」ーMMTポリティクス〜現代貨幣理論と日本経済】

 そして、共産党関係者の皆さん、
「弱者救済はいいけど、大型公共事業や防衛力強化はダメ」
 という姿勢は、まさに財務省やグローバリストが好む「選択と集中」でございますよ。選択の理由が異なるだけで、結局、共産党もグローバリズムと同じことをしているという現実を、そろそろ理解しましょうよ。
 
 同じ名前がついている「中国共産党」を、少しは見倣ったらどうですか?
 
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