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『主流派経済学とデフレーション(前半)』三橋貴明 AJER2019.6.4
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 最近、消費税増税を控えて、「記念碑」として保存しておきたい記事が少なくないわけですが、まさにグロテスクな喜劇の国。
 
消費増税凍結、格下げの覚悟必要=麻生財務相
 麻生太郎財務相は3日午前の参院決算委員会で、消費増税の凍結論について「そのような意見があるのは承知している」としつつ、「国債の格付けに影響が出る可能性があり、格下げの覚悟も必要」と指摘した。西田昌司委員(自民)への答弁。
 西田氏はことし1─3月の国内総生産(GDP)1次速報が2期連続のプラスは維持したものの、主な要因は輸入の減少で消費が弱いとして増税凍結の必要性を強調し、麻生財務相に答弁を求めた。
 麻生氏は「個人消費と設備投資が伸びていないため、政府支出を増やすことでGDPを維持しないといけない状況に陥っている」と現状分析し、安倍晋三政権の6年間は積極財政政策を展開しており、「財政緊縮という方向ではない」と説明した。(後略)』
 
 とりあえず、過去に麻生財務大臣が何を言っていたか。
 
『Aaa(トリプルA)」を取得したことについて、「(南アフリカの)ボツワナより日本の国債が低いと出したのは確かムーディーズじゃなかったか。その程度のところ(が出した格付け)だと思っている。他に興味はない」。
(2017年6月30日 産経新聞「AIIBの最上位格付け、「興味ない」と一笑に付す 麻生財務相」)
 
格下げで(長期)金利がどれだけ上がったか。市場は反応していない。格付け会社の影響力がなくなった。
(2015年9月19日 朝日新聞「麻生氏「格付け会社、影響力なくなった」 国債引き下げ」)
 
 いやあ、晩節を汚すとはこのことでございますね。自分の言葉に責任を持てず、財務省の飼い犬と化した労害としか表現のしようがない政治家に落ちぶれてしまいました、麻生太郎財務大臣

 現実問題として、自国通貨建て国債しか発行していない日本において、格付けなど「どうでもいい話」です。
 
 わたくしは菅直人という政治家が嫌いですが、彼が総理の時代に格下げされた際に、記者団に、
「(格付けとか)そういうことには、うとくって」
 と答えたのだけは、評価しています。格付けなど、日本経済には何の影響もありません。

 ちなみに、麻生財務大臣の、
「(安倍政権は)積極財政政策を展開しており、財政緊縮という方向ではない」
 は、これは明確な嘘です。
 
【歴史音声コンテンツ 経世史論 始動!】
http://keiseiron-kenkyujo.jp/apply/
※6月15日(土)まで、特別コンテンツ【MMTポリティクス~現代貨幣理論~第一回】をご視聴頂けます。是非、ご入会下さい。
 
 2013年6月に骨太の方針2013が閣議決定され、プライマリーバランス黒字化が目標に定められて以降、我が国はバリバリの緊縮財政を推進してきました。
 
【日本のプライマリーバランス(対GDP比%)】
 リーマンショックを受け、正気だった頃の麻生総理(当時)はプライマリーバランスの赤字を拡大。日本のPB赤字は対GDP比7%、約35兆円に達しました。

 誰かの黒字は、誰かの赤字。政府の赤字は、民間経済の黒字。

 麻生政権のPB赤字拡大により、民間経済は35兆円の黒字になったのです。あの時期、政府のPB赤字の拡大がなければ、日本経済はとんでもないことになっていました。PB赤字が拡大しても、とんでもないことになりましたが、それ以上のカタストロフィになったこと疑いありません。

 その後、民主党政権期もそれなりのPB赤字を維持しましたが、安倍政権下で14年以降に明確に「削減」。つまりは、緊縮財政。
 
 政府がPB赤字を削減すれば、その分、民間経済の黒字が減る。これは、地球上に住む限り、逃れられない法則です。

 消費税を増税し、公共投資、科学技術予算、防衛費を横ばい(もしくは減額)しておいて、「財政緊縮という方向ではない」など、明確な嘘を口にする。(ちなみに、地方交付税は、大幅に削減)

 それにしても、国民生活に大打撃を与える消費税増税が、「何の影響もない格付け」を理由に推進される。グロテスクな喜劇の国。

 別に、消費税増税を延期なり凍結し、格下げされたとしても、財務省がまた「意見書」を出せばいいでしょ。
 
 その上で、2002年と同じように、
 
『貴社による日本国債の格付けについては、当方としては日本経済の強固なファンダメンタルズを考えると既に低過ぎ、更なる格下げは根拠を欠くと考えている。貴社の格付け判定は、従来より定性的な説明が大宗である一方、客観的な基準を欠き、これは、格付けの信頼性にも関わる大きな問題と考えている。
 従って、以下の諸点に関し、貴社の考え方を具体的・定量的に明らかにされたい。
(1) 日・米など先進国の自国通貨建て国債のデフォルトは考えられない。デフォルトとして如何なる事態を想定しているのか。(後略)』
 
 と、啖呵を切れば済む話です。
 
 我が国は、消費税を増税できる環境ではありません。そもそも、消費税は欠陥税制であり、廃止するべきですが、タイミングも最悪です。
 
 そして、経済環境の悪化は安倍政権が緊縮財政を推進し、「安倍デフレ」を引き起こした結果なのです。

 この現実すら目に入らず、我が国はひたすら亡国路線を突き進む、グロテスクな喜劇の国なのでしょうか。今は確かにそうかもしれませんが、これからもそうとは限りません。

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