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『MMTと令和の政策ピボット(前半)』三橋貴明 AJER2019.4.30
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一般参加可能な講演会のお知らせ。
【令和元年7月5日(金)三橋TV公開収録&懇親会】
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 平成政治からの決別を! 反・緊縮財政、反・グローバリズム、反・構造改革を基本方針とし、政策の「ピボット(転換)」を目指す国民プロジェクト「令和の政策ピボット」が始動致しました。
 コミットメントボードを追加いたしました。皆様、是非、ご自身の「コミット」を!
 
三橋TV第91回【男系の皇統を維持するために知るべきこと】
 
 改めて、話を整理したいと思います。

 2012年11月の総選挙で政権を奪い返した自民党のデフレ脱却策は、安倍総理大臣の下に岩田規久男教授、浜田 宏一教授など、「いわゆるリフレ派」の学者を入れ、
「日銀がインフレ目標を立て、量的緩和をコミットメントすれば、期待インフレ率が上がり、実質金利が下がり、消費や投資が増えてデフレ脱却できる」
 というものでした。

 自民党が野党時代、散々に「財政拡大無しでは、デフレ脱却できない」と安倍総理や麻生財相にインプットしていた我々は無視され、唯一、藤井聡先生のみが「国土強靭化」(※財政ではない)の担当として、内閣官房参与になられました。

 まあ、無視されるのは構わないのですが、安倍政権が緊縮財政路線を転換してくれるのでは、という期待は、2013年6月の骨太の方針に「プライマリーバランス黒字化目標」が入り、裏切られました。PB黒字化目標を短期で強引に達成しようとすると、デフレ脱却は無視され、当然ながら消費税は増税です。

 さて、いわゆるリフレ派ですが、一般の国民や政治家、さらにはいわゆるリフレ派本人たちまでもが、
「おカネを発行するのだから、物価は上がる」
 と、理解していたように思えます。
わたくし共は、
「日銀が当座預金を発行したところで、モノやサービスが買われないのでは、物価が上がるはずがない」
 と、主張しましたが、「ならば、100兆円のおカネを発行しても、三橋はインフレにならないというのか(笑)」という感じで嘲笑されたものです(「政府が緊縮路線を継続する限り、ならないよ」と、答えましたが)。

 実際には、100兆円どころか360兆円以上もマネタリーベース(ほとんどが日銀当座預金)が拡大されましたが、インフレ率はほぼゼロ。量的緩和とは、
「日本銀行が市中銀行から国債を買い取り、日銀当座預金と交換する」
 オペレーションの拡大に過ぎず、モノやサービスが買われるわけではないのです。
 
【図 日本のマネタリーベースとインフレ率】
 
 無論、岩田教授らは別に「おカネの量を増やせば、インフレになる」とシンプルな主張をしていたわけではないのですが、一般的には日銀が量的緩和拡大で「おカネの量>モノ・サービスの量」にすればインフレになると理解されたのは確かです(特に、政治家!)。

 まさに、おカネのプール論です。(この「おカネのプール論」というネーミングは、三橋作にしては流行りそうで嬉しいです。というか、流行らせて!)実際には、おカネのプールは存在し得ません。

 さらに、いわゆるリフレ派のロジックは、
「おカネを増やせば、貸し出しが増える」
 との前提になっており、責任を日銀に押し付けることが可能で、財務省が最も恐れる、
「貸し出しが増えれば、おカネが増える」
 さらには、
「政府が国債を発行すれば、預金が増える」
 という真実が露見することを防いでくれます。
財務省にとって、いわゆるリフレ派はむしろ「有り難い存在」だったのでしょう。
 
【歴史音声コンテンツ 経世史論 始動!】
※6月15日(土)まで、特別コンテンツ【MMTポリティクス~現代貨幣理論~第一回】をご視聴頂けます。是非、ご入会下さい。
 
『リフレ派が財政赤字容認の「現代貨幣理論」支持者と“同一視”される理由
「MMT(現代貨幣理論)」という言葉が、新聞やテレビでも取り上げられるようになっている。
 米国で、将来の民主党大統領候補ともみられる、29歳の気鋭の政治家オカシオコルテス下院議員が支持を表明したことで、がぜん、脚光を浴びた。
「通貨発行権を持つ国は、政府が膨大な借金を抱えても問題はない」というシンプルな主張が、デフレ脱却で大胆な金融緩和や財政出動を求めてきたリフレ派の主張と似ていることは確かだ。
 だが、理論の裏付けがはっきりしないMMTとリフレ派を同一視する風潮は意図的なものを感じざるを得ない。(中略)
 一方、日本では、MMTが、リフレ派と混同され同一視されることが少なくない。
 筆者を含め経済学者の一部はリフレ派といわれて、これまでも、政府と日本銀行を一体と考える「統合政府」では、財政再建の必要性はないとか、インフレ目標までは財政赤字を気にする必要ないなどと主張してきた。
 これは確かに、現在、MMT論者の主張とかなり似ている。(後略)』
 
 高橋洋一氏は、「数式モデルがない」と、MMTを否定する意味不明な態度をとっていますが、数式モデルとやらが存在する「いわゆるリフレ派理論」が過去六年間、日本で見事なまでの失敗を遂げたという「現実」を、いかに評価するのでしょうか。
 
 いずれにせよ、MMTとリフレ派は似ていません。ましてや同一視など、とんでもない話です。

 いわゆるリフレ派は、おカネのプール論「的」であるため、財務省的には歓迎できる考え方です。何しろ、真実を覆い隠します。

 数式モデルがあろうがなかろうが、現実ではないおカネのプール論を前提にしている「ように見える」時点で、いわゆるリフレ派は存在価値ゼロなのです。(岩田教授らの期待インフレ率云々は、非現実的なおカネのプール論と、MMTという現実の間を「強引に橋渡ししようとした」ように思えます)
 
 それに対し、MMTは、
「政府が国債発行すると、家計の銀行預金が増える」(政府は銀行預金を借りているわけではない)
 という、おカネのプール論を「事実」に基づき完全に否定する点に価値があるのです。

 財務省にとっては、「政府は国債発行で銀行預金を借りているわけではない」という現実が広まることこそが「致命傷」なのです。

 高橋氏は、
「財務省は消費増税のために理論武装が弱いMMTを標的にし、それとともにリフレ派も葬り去りたいのかもしれない。」
 などとコラムを結んでいますが、いわゆるリフレ派はとっくに「現実」により葬り去られましたから。しかも、いわゆるリフレ派の理論は財務省の「致命傷」を覆い隠してくれるため、むしろ財務省は「早く復活しろ」くらい思っていますよ。

 結局、おカネのプール論に基づく経済学は、いわゆるリフレ派を含めて天動説であり、現実を説明するに過ぎないMMTという地動説の前に右往左往し、自らの「間違い」を守るために攻撃的にならざるを得ないという話なのでしょう。

 いずれにせよ、いわゆるリフレ派など、もはや終わった話です。とにもかくにも、財務省にとって致命的な「政府は国債発行で銀行預金を借りているわけではない」という事実を、全力で拡散するのです。

 とういわけで、本日の「日本の未来を考える勉強会」の講師は、わたくし。
(※ちなみに、今日のエントリーを受け「同じくデフレ脱却を目指す仲間のリフレ派を批判する三橋はダメだ!もっと手を取り合うべきだ!」といった、謎の韓国式の三橋批判が来ると予想)
 
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