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『政府が国債を発行すると家計の預金が増える①』三橋貴明 AJER2019.2.26

https://youtu.be/mBjN9lCa2h8

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三橋TV第66回【寛容の精神が寛容な国家を壊す】
 
 先日、経済動向塾で岩田規久男教授にご講演頂いた際に、教授が、
「2014年の消費税増税の影響は、97年以上に酷かった」
 と、解説され、96年10-12月期と13年10-12月期、つまりは消費税増税前の駆け込み消費の「前の四半期」を1とし、その後の実質消費の推移を見たグラフを見せて下さいましたので、わたくしも作ってみました。

 正直、衝撃です。

 本グラフでは、X軸(横軸)は四半期です。20四半期分なので、消費税増税前後から五年間の値を見ています

 また、わたくしは実質の消費として、実質GDPの「持ち家の帰属家賃を除く家計消費支出」を使っています。理由は、もちろん持ち家の帰属家賃を含むと実態が見えないためです。

 GDP統計や消費者物価指数では、持ち家に対する「架空の家賃」が帰属家賃としてカウントされています。帰属家賃が何かといえば、実際には家賃を支払っていない住宅(持ち家など)について、通常の借家や借間と同様のサービスが生産され、消費されるものとみなし、市場価格で評価した計算上の家賃のことです。つまりは「架空家賃」でございます。

 というわけで、実際には支払われなかった帰属家賃を除き、実質消費の推移を比較しました。
 
【97年増税期と14年増税期の実質消費の推移を比較(96年Q4、13年Q4を1)】
http://mtdata.jp/data_63.html#9714
 
 97年よりも14年の方が、駆け込み消費の規模も、同時に「駆け込み消費後の落ち込み規模」も大きくなっています。ここまではいいです。

 問題は、97年増税期は、12四半期後、つまりは三年後に増税前の水準を回復し、さらには増税前の駆け込み消費の水準を上回るところまで実質消費が「拡大」したにも関わらず、14年時は全く見られないという点です。

 信じがたい話ですが、14年増税時は、5年後(18年10-12月期)に至っても、増税前の駆け込み消費「前」の水準(13年10-12月期)にすら戻っていないのです。

 一応、97年時は消費が4年以上かけて戻っていますので、「U字型」。それに対し、14年は「L字型」です

 実質消費の落ち込みは、14年時の方が97年時よりも酷いのです。つまりは、97年以降は「今」よりもマシでした。
 
 とはいえ、97年の消費税増税ですら、日本をその後、長期のデフレに叩き込みました。その97年時よりも、14年の方が実質の消費は落ち込んでいるのです。

 この状況で、もう一回やるのか!!!
 
 
消費税引き上げへ 商品の価格表示見直す動き相次ぐ
 およそ半年後に迫った消費税率の引き上げに向けて、外食や小売の業界では商品の価格表示を見直す動きが相次いでいます。
 牛丼チェーンの「吉野家」は、今月から国内すべての店舗で価格の表示方法を改めました。
 これまでの表示は税込み価格だけでしたが、新たに税抜きの価格も併せて表示するようになりました。
 ことし10月の消費税率の引き上げに伴う軽減税率の導入で、同じ牛丼でも店内で飲食する場合は10%、持ち帰りの場合は8%と、税率が変わります。
 一方で、税込みの価格を同じにすることも認められていて、10月以降の対応を検討する中で、試験的に表示方法を改め、利用客の反応を見極めたいとしています。(後略)』
 
 生産性や労働分配率が低迷し、実質賃金が上昇していない(=販売数量が増えていない)状況での値上げは、単にさらなる実質消費の減少を引き起こすだけです。

 しかも、各社の値上げは、需要増によるものではなく、消費税増税に備えてのものです。つまりは、コストプッシュ型インフレです。

 というか、14年の消費税増税により実質消費が減少してしまったことこそが、安倍政権下の実質賃金の低迷の主因なのです。

 このまま19年10月に増税を強行すると、さらなる実質消費の縮小、生産性の低迷、実質賃金の低下、実質消費の縮小という悪循環に「確実に」突っ込みます

 安倍政権は、少しでも国民のことを考えているならば、消費税増税の延期(せめて延期)を決断しなければなりません。

 それにしても、消費税増税の根拠は、財務省の「PB至上主義」ですが、藤井先生に「財務省はPB黒字化を恐ろしく正確に実施している」ことを示すグラフを見せてもらい、そのあまりの精緻ぶりに衝撃を受けたので、明日、取り上げます。

 大げさでも何でもなく、財務省がやっていることは「狂気の沙汰」です。

 そして、安倍政権がこの状況で消費税増税を強行しようとしていることもまた、狂気の沙汰です。我が国は、狂気の国と化してしまいました。
 
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