株式会社経世論研究所 講演・執筆依頼等、お仕事のご依頼はこちらから
三橋貴明のツイッターはこちら
人気ブログランキングに参加しています。

チャンネルAJER更新しました。

『政府が国債を発行すると家計の預金が増える①』三橋貴明 AJER2019.2.26

https://youtu.be/mBjN9lCa2h8

◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

 

◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆ 

 
三橋TV第64回【マレーシアの移民と若年層雇用の話】

https://youtu.be/UUhEB7aIMko

 

 イギリス議会は、EUからの離脱について、6月末までの延期を求める動議を賛成多数で可決しました。
 
 EUと合意した離脱案について、20日までにイギリス議会が承認した場合、6月末まで延期し、その間に法整備を行うとなっています。

 もっとも、離脱案が否決された場合は、どうなるか分かりません。EU側は、「とにかく延期してくれ」は認めないとしています。
 
 まさに、メイ首相はギリギリの折衝、交渉を続けることになります。
 
 さて、昨日に続き、MMT。
 
 MMTが興味深いのは、ほとんどの記事が「日本の事例」を取り上げていることです。
 
『「現代金融理論」、にわかに脚光-米財政赤字拡大や「AOC」効果で
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2019-03-13/PO8TL46JIJUW01
 過去30年ほどを振り返ると、「現代金融理論(MMT)」について無名のブロガーがあしざまに言うことはしばしばあった。だが、パウエル米連邦準備制度理事会(FRB)議長やブラックロックのラリー・フィンク最高経営責任者(CEO)といった人物が話題にすることはなかった。
 MMTを発展させた経済学者は学会でもインターネット上でもおおむね非主流派として活動してきた。しかし今や、彼らの考えはにわかに脚光を浴びている。ウォール街の大物や政策当局の重鎮がMMTについて意見することのない日はほぼ皆無で、否定的な見解が示されるのが通常だが、支持が寄せられるケースもある。
 何年も無視されてきたMMTが、なぜ今になって突如、米国の経済論議の焦点となったかを巡っては当然、疑問が生じる。次に幾つか考えられる答えを挙げてみる。
 MMTの論旨は、自国通貨を持つ政府の支出余地は一般的に想定されるよりも大きく、全てを税金で賄う必要はないというものだ。この見解によれば、米国はいかなる債務返済に必要な貨幣も創出できるため、デフォルト(債務不履行)に追い込まれるリスクはゼロということになる。(後略)』
 
 そもそも、政府の負債を「税金」から返すという発想が、わたくしに言わせれば、17世紀のゴールド・スミスの銀行業成立や、1694年のイングランド銀行「設立前」の考え方です。

 つまりは、
「国の借金は税金で返す」
「国の借金は将来世代へのツケの先送り」
「銀行はおカネをどこかから調達して、貸している」
 などと主張している連中は、17世紀を生きていることになります。300年以上も、遅れとるわ!
 
 そもそも、イングランド銀行はイングランド王国政府の公債買取目的で設立されました。イングランド銀行が公債を引き受け、イングランド銀行券を発行する。いわゆる財政革命です。
 
 財政革命により、イングランド王国は「インフレ率を無視する限り」政府は予算制約から解放されました。イングランド銀行に銀行券(現金紙幣)を発行させ、軍備増強。フランスとの第二次百年戦争につぎ込みます。

 結果、どうなったか。
 
 イギリスが、覇権国となったのです。
 
 歴史的に、「おカネは単なる債務と債権の記録」であり、自国通貨を持つ政府は(インフレ率を無視する限り)予算的な制約がないにも関わらず、後略部にもありますが、
「財政赤字は金利をずっと高く押し上げるだろう」(ブラックロックのフィンクCEO)
 ↑プゲラ m9(^Д^)プゲラーーッ 状態になっている人が続出。

 あるいは、失業率が下がれば、インフレ率が上昇し、財政的な限界が見えるといった「ロジック」を展開し、結果的に「現実に裏切られる」状況になっています。

 特に、日本のケースで見れば、安倍政権が財政赤字を削減するという最悪の政策を採っているとはいえ、一応、政府の負債残高が増えています。ところが、国債金利は十年物でマイナス金利、インフレ率はゼロ。失業率は2%台という、「人類が経験したことがない状況」になっているのでございます。
 
 
● 政府の負債残高が積み上がっていっているにも関わらず、国債金利が世界最低水準(世界最低はスイス)
● 中央銀行が国債を買い取っているにも関わらず、インフレ率が上がらない。
● インフレ率はゼロ近辺で低迷しているにも関わらず、失業率は2%台
 
 上記の日本の現実を「説明」できないのが、現代経済学です。
 
 無論、我々は簡単に説明できます。政府の負債残高が上昇するにも関わらず、金利が上がらないのは、単にデフレで、国民に資金需要がないためです。(しかも、財政赤字幅を縮小する緊縮財政)

 中央銀行が国債を買い取ったところで、我々が使えない日銀当座預金が増えるだけで、消費や投資は増えません。需要が増えない以上、資金需要は高まりません。

 そして、インフレ率と失業率の同時低下は、人口構造の変化と「デフレ→インフレ」の過渡期であることで説明がつきます。

 本来であれば、というかフィリップス曲線によれば、失業率がここまで低迷した以上、物価は上がらなければならないのです。

 ところが、我が国は消費税増税による再デフレ化で物価が抑制され、同時に生産年齢人口比率の低下で失業率が強制的に「改善」させられているのです。
 
 とはいえ、需要が高まっているわけではないため、物価は上がらないのです。
 
 実は、昨日、岩田規久男教授に経済動向塾(日本経営合理化協会)でご講演頂いたのですが、岩田教授も13年は「失業率低下+インフレ率上昇」だった正常なフィリップス曲線が、消費税増税以降に「失業率が低下しても、インフレ率が上がらない」異常な曲線に移行したことをお認めになっていらっしゃいました。

 本来、失業率が2%台前半になっている以上、インフレ率が3%に近づかなければならないとのことです(13年のフィリップス曲線のままならば)。

 それはともかく、現実が「経済学」を裏切っている。現実を経済学で説明できない。結果、ようやく登場した経済学がMMTというわけです。

 経済学的な解説が欲しいところですので、三橋経済塾の第十一回で、青木泰樹先生にご講義をお願いすることに致しました!
 
 日本国民は早急に「自国通貨建て国債で財政破綻などあり得ない」という現実を理解し、政府を予算制約から解き放つ必要があります。何しろ、政府は「存在しない鎖」に縛られ、身動きが取れない状況になっているのです。
 
「政府を予算制約から解き放つ!」に、ご賛同下さる方は、↓このリンクをクリックを!
本ブログへのリンクは以下のバナーをお使いください。
◆関連ブログ
日本経済復活の会のホームページは↓こちらです。
↓こちらです。