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『政府が国債を発行すると家計の預金が増える①』三橋貴明 AJER2019.2.26

https://youtu.be/mBjN9lCa2h8

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【一般参加可能な講演会のお知らせ】
衆議院議員あんどう裕・第一回日本の未来を考えるセミナー
https://www.andouhiroshi.jp/japan-future
2019年3月9日(土) 15:00-

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三橋TV第62回【1970年の152倍になったクニノシャッキン】

https://youtu.be/y2dX4vLNfLY

 

 「時局 2019年 04月号」に、連載「三橋貴明の経世論 第25回 国債発行が家計の預金を増やす」が掲載されました。
 
 本日はチャンネル桜「日本よ、今...「闘論!倒論!討論!」」に出演しました。
 
 さて、討論でもお話し致しましたが、現在の日本政府の方針は「小さな政府」です。より具体的に書くと、緊縮財政と規制緩和、自由貿易の政策パッケージ。

 つまりは、グローバリズムのトリニティです。

 まずは、政府はカネを使わない(緊縮財政)が大前提。国民を守るための公共サービス(水、食料、エネルギー、医療など)、安全保障(防災、防衛、防犯など)については、民間の「自由な参入」を認め、民間の「自由な判断」に任せる(規制緩和)

 安全基準等も、規制緩和。何しろ、政府が安全かどうか監視するなど、カネがかかるじゃないか。そんなものは、民間の自主規制に任せればいいんだよ、民間の!

 そして、規制緩和し、新規参入を認めるならば、当然ながら外資もOK!(自由貿易) 外資規制など、古い古い。日本の食料やエネルギー、水などが外資の支配下に入っても、問題なし。というか、むしろ望むところじゃね?

 だいたい、こんな感じですか。
 
 今年1月15日、フランスは発癌性があると考えられるグリホサートが含まれる除草剤ラウンドアップの販売を禁止しました。
 
『除草剤ラウンドアップ、フランスで即日販売禁止に
https://www.afpbb.com/articles/-/3206613
 フランス当局は15日、安全性が問われている除草剤「ラウンドアップ(Roundup)」とその関連商品の販売を禁止した。
 この販売禁止の決定に先駆けて、南仏リヨン(Lyon)の行政裁判所は、規制当局が安全上の懸念を考慮せずにラウンドアップの販売許可を出したとする判決を下した。
 フランス食品環境労働衛生安全庁(ANSES)は判決を受けた声明で、「ラウンドアッププロ360(Roundup Pro 360)」の販売は即日禁止されたと発表した。
 ラウンドアップには、環境保護運動家や専門家が長年発がん性を指摘しているグリホサートが含まれている。』
 
 アメリカのワシントン大学の研究チームは、グリホサートを主成分とする除草剤と、免疫系のがん、非ホジキンリンパ腫のリスク増大との因果関係が認められたと発表しました。

 グリホサートにさらされると、ガンのリスクが41%増大するということです。

 また、WHOの外部研究機関「国際がん研究機関」は、2015年時点で、グリホサートは、
「ヒトに対して恐らく発がん性がある(警告レベル: probably)」
 と発表しています。

 フランスに先駆けて、デンマーク、オランダ、スリランカ、コロンビアが、すでにグリホサートを禁止。
 
 
 さて、昨年、モンサントを買収したバイエルは、グリホサートの安全性と除草効果を強調しています。さらには、アメリカ環境保護庁や欧州食品安全当局が、グリホサートの発癌性について否定的な見解をまとめています。

 ワシントン大学の研究結果について、バイエル側は、
「統計操作や重大な手法的欠陥があった」
 と反論しています。

 グリホサートの安全性が世界的な問題になっている中、日本政府は2017年12月25日に一気に「規制緩和」に動きます。つまりは、グリホサートの残留許容量を引き上げたのです。
 
 安全性が世界で話題になっている以上、とりあえずは「規制強化で様子見」が正しいはずです。ところが、日本政府は逆に規制緩和。

 残留許容値は、小麦が6倍、トウモロコシが5倍、そばが150倍、ヒマワリが400倍(!)に引き上げられました。

 アメリカでは、小麦の収穫前にラウンドアップをぶっかけ、枯らしてから収穫するプレハーベストが15年前から行われています。プレハーベストは収穫時期の調整が可能になるため、確かに生産性は高まるのです。

 とはいえ、当たり前ですがアメリカ産の小麦にはグリホサートと共に輸出されることになります。だからこそ、日本政府はアメリカの属国としてグリホサートの安全基準を緩和したのではないのか、と疑われても仕方がないでしょう?

 もっとも、「小さな政府」「グローバリズム」という価値観からすれば、
「そもそも、政府が安全基準を規制する方が間違っているんだ。民間の自主規制や市場原理に任せ、健康被害が起きても自己責任。これが当たり前だろ」
 という話になるわけです。

 とはいえ、全てが「自己責任」では、強者が弱者を食い尽くす、文字通り弱肉強食の世界になります。弱肉強食のサバンナで生きる。平時は「強者」にとっては得かも知れませんが、非常事態というのはあり得るのですよ。

 大震災や戦争といった非常事態が発生した際に、弱肉強食の社会は生き延びられるのでしょうか。間違いなく、虐げられていた弱者が強者に襲い掛かり、虐殺になると思います。日頃の恨みを晴らす、というわけですね。

 そんな社会は「願い下げ」という人々が多かったからこそ、歴史は「国民同士が助け合う」国民国家の方向に進化しました。

 もちろん、かつてのソ連のように「規制は強化すればするほどいい」という話ではありません。バランスの問題ではあるのですが、現在の日本は、
「政府は規制しなければしないほどいい」
 という、ソ連とは逆方向の単純論二なってしまっているように思えてなりません。規制強化派には、
「共産党も規制緩和に反対している。あいつも共産主義者だ」
 といった、くだらないレトリックとレッテル貼りで相手の口を封じようとする。この手のプロパガンダ手法を使う人は、バカか、嘘つきか、詐欺師か、あるいは邪なことを考えているのかのいずれかでございますよ。
 
 政府の責任放棄は、緊縮財政の実現にも貢献します。緊縮財政至上主義の日本は、規制緩和や自由貿易が実にやりやすい環境にあります。
 
 現在の日本を見ていると、グローバリズムのトリニティ、安倍政権が追求する小さな政府路線が、人類の「文明の退化」である現実が理解できるのです。
 
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