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『政府が国債を発行すると家計の預金が増える①』三橋貴明 AJER2019.2.26

https://youtu.be/mBjN9lCa2h8

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【一般参加可能な講演会のお知らせ】
衆議院議員あんどう裕・第一回日本の未来を考えるセミナー
https://www.andouhiroshi.jp/japan-future
2019年3月9日(土) 15:00-

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三橋TV第59回【統計マジシャン土居丈朗!】

https://youtu.be/0RPAAftgC5Y

 

 東京新聞が、18年の毎月勤労統計調査の統計詐欺について、実に分かりやすい記事を書いていました。
 
上振れ要因、委員長「知らず」 勤労統計賃金算出 18年の変更時
 毎月勤労統計で二〇一八年に賃金の算出方法を変えて伸び率が過大になった問題で、政府の統計委員会の西村清彦委員長は二十八日、最大の上振れ要因となった変更内容を同年一月の実施段階で「知らなかった」と述べた。安倍晋三首相らは変更の根拠を「統計委での適切な議論」に求めているが、統計の責任者が内容を知らないまま変更を認めたことになる。 (渥美龍太)
 同日の衆院予算委員会で立憲民主党の長妻昭氏の質問に答えた。この上振れの要因は「ベンチマーク更新」と呼ばれ、産業構造や労働者数などの変化を統計に反映させる処理。一八年に処理のやり方を変えた結果、賃金伸び率が経済の改善とは関係なく上振れした。(中略)
<ベンチマーク更新> 毎月勤労統計で賃金を算出する際に、世の中の実態に近づけるための処理の一つで、「調査対象事業所の入れ替え」と並ぶ柱。具体的には事業所の抽出調査をした結果に、定期的に行われている別の全数調査のデータを反映させる。2018年は大きな企業で働く人が増えるデータを反映させたことで平均賃金が上がり、伸び率の上振れ要因となった。これまでは上振れ分を過去の賃金にも反映させる補正をして伸び率に影響しないようにしていたが、18年からは補正をしなかった。このため、同年6月には21年ぶりの賃金伸び率を記録した。』
 
 しつこく繰り返しますが、わたくしは別に厚生労働省が毎月勤労統計調査のサンプルを入れ替えたこと自体は批判していません。
「三橋はサンプル変更を批判している~っ!!!」
 と、藁人形を作って攻撃していた人たちは、普通に頭がおかしいこと確実なので、無視して下さい

 わたくしが問題にしたのは、サンプルを変更した結果、
「賃金伸び率が経済の改善とは関係なく上振れした。」
 にも関わらず、補正を掛けず、
「同年6月には21年ぶりの賃金伸び率を記録した。」
 といった事態に至ってしまったことです。

 基準を2008SNAに変えた結果、GDPが30兆円前後拡大し、経済成長とは無関係であるにも関わらず、
「2014年のGDPは、いきなり28兆円も増えた! 安倍政権ばんざ~いっ!」
 とか叫ぶ人がいたら、普通に「頭がおかしい」と思うでしょ。それと同じです。

 厚生労働省は、結局、18年の実質賃金について改訂値を出すことを拒否したため、表向きは「対前年比+0.2%増」で発表されています。とはいえ、共通事業所の名目賃金年平均(これは発表されている)を見ると、変更後のサンプルと「0.8%」のマイナスの差が出てしまっています。

 ということは、18年の実質賃金は、実際には「▲0.6%」に近いと考えるべきでしょう。いずれにせよ、マイナスであることは確実です。
 
【日本の実質賃金指数の推移(2015年=100)【修正版】】
 
 ▲0.6%だったとすると、18年の実質賃金は2015年水準に戻ってしまったことになります。

 さて、野党は毎月勤労統計の詐欺統計について、相変わらず首相への忖度がどうのと、くだらない議論で追及していますが、そうではないでしょう。事の始まりが財務省である以上、
「10月の消費税増税に向けた環境整備」
 と理解するべきです。
 
 
 景気動向指数研究会が、2014年4月以降のヒストリカルDIの落ち込み(9指標の内、7つがマイナスに突っ込んだ)について、景気後退として認めず、結果的に2012年11月以降の景気拡大が「いざなぎ超え」になってしまったのと同じです。
 
【日本のヒストリカルDI(一致指数)の推移】
 
 別に、景気動向指数研究会は「安倍政権の経済政策は素晴らしい!」と、称えたかったわけではないでしょう。単に、14年4月から15年末までのヒストリカルDIの強烈な落ち込みについて、「消費税増税により景気後退に陥った」と認めることができなかったに過ぎません。

 内閣府の資料によれば、
「景気の山設定に当たっては、ヒストリカルDI が50%を下回る直前の月を山候補とする」
 となっています。14年4月には、ヒストリカルDIが22.2%にまで落ち込んだわけで、当然ながら14年3月を景気の山とし、その後は「景気後退」とせねばなりません

 何しろ、民主党政権期には、ヒストリカルDIが12年5月に45.5%に落ち込んだことを受け、その直前が「景気の山」に認定され、5月以降は景気後退となったのです。
 
【民主党政権期のヒストリカルDI】
 
 民主党政権期には、ヒストリカルDIが50%を下回っただけで、景気後退の始まり。それにも関わらず、14年4月は22.2%にまで落ち込んでも、景気後退ではない。

 この辺りの屁理屈は、三橋TV第53回【大ネタ!消された景気後退!】などで繰り返し指摘した通りです。

 別に、安倍政権を庇いたいわけではありません。何しろ、日本の憲政史上、最も国民を貧困化させ、実質消費を引き下げた政権なのです。

 安倍政権が終ったとしても、上記の「財務省への忖度」は続くという話です。安倍政権が「財務省忖度政権」の立場から脱することは、もはやないでしょう。

 安倍政権の「次」以降を考えたとき、日本の官僚や政治家が「財務省に忖度」し、統計詐欺までもが横行しているという現実を国民は理解しなければならないのです。

 さもなければ、いかなる政権が発足しようとも、我が国の緊縮財政は未来永劫、継続することになります。
 
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