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『消された景気後退①』三橋貴明 AJER2019.2.19

https://youtu.be/TDwjw0xpMmw
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【一般参加可能な講演会のお知らせ】

衆議院議員あんどう裕・第一回日本の未来を考えるセミナー

https://www.andouhiroshi.jp/japan-future

2019年3月9日(土) 15:00-

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三橋TV第56回【衝撃!ファーウェイCFO逮捕の理由】

https://youtu.be/2kERghuxUf4


 ああ、安倍総理は結局、「名目賃金」「実質賃金」「デフレーション」について、何もわかっていなかったんだなあ・・・・、と、つくづく嘆息してしまった記事。


 結局、デフレについて理解していなかったからこそ、
「デフレは貨幣現象」
 といった、浜田 宏一らの嘘理論に洗脳されてしまったのですね


『安倍政権以前の実質賃金が高かったのはデフレが理由=安倍首相
https://jp.reuters.com/article/japan-salary-abe-idJPKCN1Q10P2
 安倍晋三首相は12日午後の衆院予算委員会で、安倍政権以前の方が実質賃金の水準が高かったとの指摘に対して、デフレという異常な状況だったためと説明し、「名目賃金を物価で割り戻したのが実質賃金。実質が高いのはデフレ自慢」と述べた。共産党の志位和夫委員への答弁。
 志位氏は安倍政権での実質賃金が前年比マイナスであることなどから消費が低迷しているとして消費増税の停止を求めた。首相は就業者の拡大によって総雇用者所得は拡大していると強調した。 』


 相変わらず、「就業者の拡大によって総雇用者所得は拡大している」などと、名目賃金と実質賃金をごっちゃにしている(総理自ら増税サポーターズですね)のはともかく、
「安倍政権以前の方が実質賃金の水準が高かったとの指摘に対して、デフレという異常な状況だったためと説明」
 という答弁を国会でしてしまうわけですから、もはや絶望しかありません。


【日本の実質賃金指数の推移(2015年=100)】

http://mtdata.jp/data_63.html#RI18


 上記の通り、日本は「デフレ下で実質賃金を下げてきた」というのが現実です。実質賃金の下落が始まったのは、橋本政権からなのです。


 総理の発言の何が問題かといえば、恐らく、中途半端に官僚に知識を叩きこまれ、
「デフレーションが深刻化し、物価が下落すると、実質賃金は上昇する」
 と、認識している点です。


 物価が下がれば、実質賃金は上昇する。安倍政権下では物価が上がっているから、実質賃金が下がっている。ということは、実質賃金が高いのは「デフレ自慢」というわけです。


 総理に対して、こんな言葉を使うのは大変心が痛むのですが、あえて言います。


 もっと勉強して下さい!(手遅れでしょうが)



              


 実質賃金は、いかにして決まるのか。実は「超」簡単で、生産の「量」です。


 などと書いても分からないでしょうから、例を出します。


一年前
 製品の付加価値(粗利益) 10円 販売数量 10個 企業の所得 100円


 上記の通り、製品の付加価値(売上ではない)が10円で、10個売れたとき、企業の所得(利益)の総計は100円です。これは、九九ができれば分かりますね。
 この状況で、物価が10%下落した。数量は10個のままだとどうなるでしょう。


今年①
 製品の付加価値 9円 販売数量 10個 企業の所得 90円。


 と、所得が10%下がってしまいました。名目賃金10%の下落です。それでは、実質賃金はどうなったでしょうか。物価と所得が共に10%下がったので、実は実質賃金は変化なしになります。
 次のパターン。物価が下落し、販売個数も10%減ったケース。


今年②
 製品の付加価値 9円 販売数量 9個 企業の所得 81円。

 
 所得が19%下がり、物価は10%減。物価は下がっていますが、それ以上に名目賃金が下がり、実質賃金も下落。ちなみに、一年前と比べて実質賃金が何パーセント下がったかは、わたくしは0.5秒で分かります。10%下落です。(理由は秘密(笑))。
 次のパターン。物価上昇のケース。


今年③
 製品の付加価値12円 販売数量 9個 企業の所得 108円。


 この場合、物価が20%上昇しましたが、名目賃金は8%しか上昇せず。結果的に、実質賃金は下落。ちなみに、今回も実質賃金が何パーセント下がったか、わたくしは瞬時に分かります。10%下落です(笑)。 
 安倍政権下では、この③のケースで実質賃金が下がっています。


今年④
 製品の価格が9円 販売数量12個 企業の所得108円


 ④の場合は、物価が下落しているにも関わらず、名目賃金は8%上昇。ちなみに、実質賃金は20%上昇(笑)。


 要するに、実質賃金は「物価が下がるいわゆるデフレ期」でも上がるケースがあり、同じく「いわゆるデフレ期」でも下がるケースがあるのです。理由は○○○○によって実質賃金は決まるためです。


 ○○○○に入る言葉が分かったかな?


 もちろん、販売数量です(笑)。

 物価が下がろうが上がろうが、一人当たりの販売数量(=生産数量)が増えれば、実質賃金は上昇するのです。すなわち、生産性向上です。


 お分かりですね。デフレの本質は「貨幣現象」ではありません。「生産数量=販売数量」が下がることです。すなわち、総需要の不足です。


 総需要が減っていっている以上、物価と関係なしに実質賃金は下落するのです。


 この基本を理解してない人が、あまりにも多い。恐らく、政治家の99.999%、つまりは全ての国会議員が理解していないでしょう。


 何度も書いていますが、実質賃金は一人当たりの生産数量、すなわち「生産性」で決まります(及び「給与所得者個人の実質賃金」という意味では、労働分配率も影響します)。


 冒頭の答弁で、総理が実質賃金について何も理解していなかった。総理自ら「増税サポーターズ」であることが明らかになってしまいました。


 大変、残念です。


 日本には、本エントリーに書かれているような「経済の基本」を理解し、国民の実質賃金上昇を「政策目標」とする政党が必要です。

 

「実質賃金上昇を政策目標に掲げる政党が必要!」に賛同下さる方は、

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