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『統計の嘘は国家の揺らぎ①』三橋貴明 AJER2019.1.29

https://youtu.be/oNYPRtxrnwM  

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【一般参加可能な講演会のお知らせ】

衆議院議員あんどう裕・第一回日本の未来を考えるセミナー

http://mtdata.jp/data_62.html#ando

2019年3月9日(土) 15:00-

会場:ベルサール東京日本橋

パネリスト:藤井聡、三橋貴明、室伏謙一

※三名共に懇親会に出席します。是非、ご来場ください。

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三橋TV第47回【竹中平蔵と統計指標のカラクリ】

https://youtu.be/GcjCpeBi6UE


 チャンネル桜「Front Japan 桜」に出演しました。


【Front Japan 桜】スクープ!景気拡大「いざなぎ超え」の真実 / 私たちには「加害」の歴史しかないのか [桜H31/2/1]
https://youtu.be/dEe2YItEJGA


 元々のタイトルは「景気拡大「いざなぎ超え」の真実」だったのですが、相当に衝撃的だったようで(衝撃的ですが)、チャンネル桜側が頭に「スクープ!」を付けました

 昨年、12月に景気動向指数研究会(座長は財務省の飼い犬「吉川洋」)が、前回の景気の谷(2012年11月)以降、2017年8月以前に景気の山はつかない、つまりは景気拡大を続けており、「いざなぎ超え」の景気拡大と発表し、それをNHKが大々的に報道。


 当然ながら、実感がない「景気拡大」に、疑問の声が上がっています。


『「戦後最長の景気回復」政府の大本営発表をNHKが力強く報道
https://news.nicovideo.jp/watch/nw4745428
 今、私たち日本人は戦後最長の好景気の中で我が世の春を謳歌しているのだと政府が発表し、NHKが全力で報道しています。詳細は以下から。
◆ついに「戦後最長の景気回復」を達成
 NHKが1月29日に報じたところによると、政府は1月の月例経済報告で「景気は緩やかに回復している」という判断を維持。これによって今の景気回復の期間が6年2ヶ月に達することとなり、戦後最長となった可能性があるとのこと。
 月例経済報告では個人消費を「持ち直している」とし、企業の設備投資も「増加している」という見方を据え置いた上で景気全体について「緩やかに回復している」というこれまでの判断を維持しました。
 これを受けて茂木経済再生相は閣僚会議後の記者会見で「今回の景気回復期間は今月で6年2か月となり、戦後最長になったとみられる」と発言しています。今から6年2ヶ月前といえば、もちろん第2次安倍政権が発足し、力強くアベノミクスか始動した時であることは言うまでもありません。
 ただし最終的な景気の回復や後退の時期は、内閣府の有識者による研究会が十分な統計データがそろった段階で正式判定するとのこと。(後略)』


 さて、そもそも「景気」とは何でしょうか。Wikiには「売買や取引などの経済活動全般の動向」と書かれていますが、極めて抽象的です。


 麻生財務大臣は、「景気の気は気分の気」と言っていましたが、まさにその通りで、気分の問題なのです。つまりは、数値データで、
「これこれのデータから景気が良い、悪い」
 とは断定しにくいのが「景気」なのでございます。わたくしの苦手というか、嫌いな分野ですね


 もっとも、さすがに「ノリで景気拡大と決めました」というわけにはいきませんので、内閣府は財務省の飼い犬である吉川洋が座長を務める景気動向指数研究会において、複数の指標を元に「景気拡大」「景気後退」を決めています

      


 その際に、最も重要視されるヒストリカルDI(一致指数)は、以下の九つ
 
・生産指数(鉱工業)
・鉱工業用生産財出荷指数
・耐久消費財出荷指数
・所定外労働時間指数(調査産業計)
・投資財出荷指数(除輸送機械)
・商業販売額(小売業 前年同月比)
・商業販売額(卸売業 前年同月比)
・営業利益率(全産業)
・有効求人倍率(除学卒)


(ソース)第18 回景気動向指数研究会について(概要)
https://www.esri.cao.go.jp/jp/stat/di/181213sankou.pdf


 さて、吉川らは上記の指数を見て、いかなる基準で景気拡大、景気後退を決定しているのでしょうか。実は、よくわかりません


 研究会は、
「景気の山(谷)設定に当たっては、ヒストリカルDI が50%を下回る(上回る)直前の月を山(谷)候補とした上で、①転換点を通過後、経済活動の収縮(拡大)がほとんどの経済部門に波及・浸透しているか(波及度)、②経済活動の収縮(拡大)の程度(量的な変化)、③景気拡張・後退の期間を全てみたしているか等について検討している。」
 と、説明していますが、やっぱりよくわかりません。


 例えば、マイナスになったヒストリカルDIが過半数(6個)に達した月が「景気後退への転換点」というならば分かりやすいのですが、あくまでその月は「候補」であり、その後の経済活動の状況、波及、浸透度合い、経済活動の変動の「程度」、景気拡大・後退の期間(?)など、実に抽象的な基準に基づき判断されているわけです。つまりは、研究会のメンバーの恣意あるいは「政治的意思」が入り込む余地が多分にあるのです。


 もっとも、色々と調査したところ、一応、「景気後退」と判断されるヒストリカルDIの悪化数はあるようです。


 というわけで、上島先生に、
「先生は、9つのヒストリカルDIのうち、いくつが悪化したら『景気後退』と判断すると思いますか?」
 と聞いたところ、
「う~ん・・・。二個か三個」
 と、なかなか厳しい、あるいは国民には「優しい」回答を頂きました。わたくしは、一般的には「過半数(=6個)」の悪化をもって、景気後退とみなすと考えるのではないかと予想しています。


 ところが、現実は「8」。繰り返しますが、ヒストリカルDI9つのうち、8個が悪化しない限り、「景気後退」という判断にはならないようなのです


 というわけで、「第18 回景気動向指数研究会について(概要)」のヒストリカルDIを見てみましょう(三橋のコメントや網掛け入り)。


 見る人すべてが「衝撃」を受ける図です。


【日本のヒストリカルDI(一致指数)の推移】

http://mtdata.jp/data_62.html#keiki


 図の通り、我が国のヒストリアるDIは、消費税が増税された14年4月に一気に7つがマイナスになりました。



 とはいえ、営業利益率が円安による大手輸出企業の利益かさ上げにより、さらに有効求人倍率が「少子高齢化に端を発する生産年齢人口比率の低下」により良好な推移で続いたのです。


 結果的に、14年4月以降は「景気後退」としてみなされておりません


 さらに、一年後。


 今度は、15年7月に営業利益率までもがマイナスに落ち込みました。

 ところが、「対前年比」で見る「商業販売額」の小売と卸売りがプラス化し、悪化指数は6となり、やはり景気後退ではないと判断されました。とはいえ、15年「4月」以降の商業販売額がプラス化した理由は、小学生でも分かると思います。もちろん、一年前の消費税増税により急激に落ち込んだ14年4月以降と「比較」しているためです。


 以上の通り、14年4月以降のヒストリカルDI指数悪化の継続は「景気後退」とは見なされていません。

 もっとも、それ以前に過半数の指数が悪化しても、「経済活動の状況、波及、浸透度合い」等、よくわからない判断基準を持ち出し「景気後退ではない」と強弁することは、吉川らには余裕でできるのです。


 そもそも、景気という言葉が非常に抽象的です。その上、景気拡大や後退の判断基準も曖昧なわけですから、研究会の座長に吉川のような飼い犬を据えれば、
「14年4月の消費税増税による景気の後退はなかった」
 と、頭がおかしいことを主張できるわけでございます。


 先日、実質賃金で珍しく働いた野党の皆さん。是非とも、本エントリーを活用し、「いざなぎ超え景気の欺瞞」を暴き、14年4月の消費税増税の「悪影響」をアピールして下さい


 桜の番組でも語りましたが、わたくしは公表データをもとに作成したグラフ等について著作権を主張致しませんので。


 それにしても、財務省や吉川ら御用学者たちは、「ここまでやっている」のです。彼らのプロパガンダを一つ一つ壊していかなければ、我が国の繁栄はあり得ません

「財務省主導の緊縮のプロパガンダを破壊しよう!」に、ご賛同下さる方は、

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