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『グローバリズムのトリニティ①』三橋貴明 AJER2018.12.4
https://youtu.be/gbihwGhHhbo

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三橋TV27回【日本は交通インフラ大国という嘘】
 

https://youtu.be/JxgrAFAiCX4


 フランスのマクロン大統領が、黄色いベスト運動を受け、いくつかの対策をテレビ演説で発表しました。 


 詳細は、情報が錯綜しているので、まだ書きませんが、いずれにせよ多少の「財政拡大」はあるようです

 結果的に、フランスの財政赤字がEUのルール(対GDP比3%)を超す可能性が出てきました。


 面白いのは、マクロン大統領の対策発表を受け、イタリアのディマイオ副首相は、
「ならば、フランスもイタリアと同罪だよな(超意訳)」
 と、言い出していることです。


フランスもEUの財政規律に直面=イタリア副首相
http://www.asahi.com/business/reuters/CRBKBN1OA231.html
 イタリアのディマイオ副首相は11日、フランスも欧州連合(EU)が求めている財政規律を脅かしているとし、欧州連合(EU)がイタリアとフランスとを同等に扱うことを期待すると述べた。
 フランスのマクロン大統領は10日、政権に反発する抗議デモを鎮静化させるため、最低賃金の引き上げや年金生活者を対象とした減税などの対策を発表。これにより、フランスの財政赤字の対国内総生産(GDP)比率は、EUが上限とする3%を超える恐れが出ている。(後略)』


 ディマイオ副首相は、
「財政赤字の対GDP比率に関する規則がイタリアにとって有効であるならば、それらがマクロン大統領にとっても有効であることを期待する
 と語り、EUの「財政主権侵害」を、フランスにも適用することを求めています。


 イタリアの思惑としては、フランスを巻き込むことにより、EUの財政主権に対する侵害の影響を小さくしたいのではないかと思います。

 いずれにせよ、フランスもイタリアも、EUという「グローバリズムの国際協定」に加盟している限り、積極的な財政拡大に打って出ることはできません


 しかも、両国ともにユーロにも加盟しているため、金融の主権もないのです。


 日本のように、
「日本国債は100%日本円建てで、しかも日銀の量的緩和により、政府の実質的な負債が減り続けている」
 などという状況は、ユーロ加盟国にはあり得ないのです。(それでも財政拡大に乗り出さない我が国が、どれだけ愚かなのか、という話でもありますが


 結局、EUやユーロという「呪縛」が、国際協定という名を借りて、フランスやイタリアの経世済民的な政策を妨害していることがよく分かります。

 というわけで、いち早くEUという「呪縛」から抜け出すことを決意したイギリスは・・・。



        


英EU離脱の協定案、議会採決延期 メイ首相
https://www.asahi.com/articles/ASLDB72HBLDBUHBI03P.html
 英国の欧州連合(EU)からの離脱条件を定めた協定案などをめぐり、メイ首相は10日、英議会の承認を問う11日の採決を延期する方針を示した。英国とEUが11月に合意した協定案には英国内の反発が強く、大差で否決されるのは不可避との見方が広がっている。
 メイ氏は10日の英議会で「議論を聞いてきたが、(予定通り11日に)採決しても否決される見通しなので延期する」と述べた。メイ氏はEUと再交渉して合意の修正を試みたうえで、議会の承認をめざすとみられる。ただし、EU側は現在の合意が「唯一の選択肢」としており、再交渉に応じるかは不透明だ。(後略)』


 現在のイギリスとEUとの離脱案は、イギリスが今後もEUのルール、つまりは「呪縛」に縛られる可能性を秘めており、離脱派が反発しているのです。

 そもそもの問題は、アイルランド国境です。イギリスやアイルランド、それに欧州の政治家は、1998年まで続いたアイルランド紛争の再燃だけは、何としても避けたいと考えています。


 というわけで、現在の協定案では、イギリスがEUから離脱しても、北アイルランドとアイルランド共和国との国境は、これまで通り「フリーパス」で、ヒトやモノが「自由」に行き交うことになります。その場合、北アイルランドはEUの関税同盟に残留するということになってしまいます。


 となると、イギリスの他の地方、例えばスコットランドやウェールズにとっては、
「なぜ、北アイルランドだけが特別扱いなのだ」
 という話になってしまい、さらには北アイルランドの連合王国からの「独立」といった未来すら見え隠れしてしまいます。


 となると、まずはイギリスが北アイルランドを含め、EUから完全離脱し、関税同盟からも抜ける。その上で、一般的なWTOルールに則り、EUとの関係を築くしかありません。


 その場合、アイルランド共和国と北アイルランドとの間に「国境」が復活し、ヒトの移動の際に「入国審査」が、モノの移動の際には「関税」が必要ということになりますが、物理的に不可能です


 一体、どうしたらいいんだ! という話ですが、どうにもならないでしょう。


 一度、EUのような国際協定に入ると、「行きはよいよい、帰りは怖い」となってしまう「現実」を、ブレグジットはまざまざと示してくれています。


 ところで、EUの盟主たるドイツでは、メルケル首相が与党CDUの党首選再出馬を断念。新党首となったアンネグレート・クランプカレンバウアー氏は、メルケル式の移民政策を見直す考えを示しています。


『ドイツ与党新党首クランプカレンバウアー氏、メルケルの移民政策を見直しへ
https://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2018/12/cdu-4.php
 ドイツ与党・キリスト教民主同盟(CDU)の新党首に選出されたアンネグレート・クランプカレンバウアー氏は9日、来年の欧州議会選の前に同党の移民政策を変更する計画を明らかにした。
 同氏はメルケル首相の側近だが、移民政策では首相のリベラル路線と決裂する可能性がある。
 クランプカレンバウアー氏は7日の党首選で当選したが、同氏より保守色の強い対立候補メルツ氏との票差はわずかで、党内の分裂が浮き彫りとなった。
 党内でも特に見解が割れているのが移民政策だ。(後略)』


 クランプカレンバウアー党首は、メルツ氏よりは移民に「穏健」ですが、それでも移民に対するドイツ語の学習義務付けや、犯罪歴のある移民追放を主張しています。


 欧州を席巻した「多文化共生主義」は、クランプカレンバウアー(長い・・・)党首誕生により、終焉を迎えることになりそうです。


 この状況で、我が国は移民受入に舵を切りました。理由は極めて「重大」であるため、明日、別のエントリーで取り上げたいと思いますが、とりあえず現在の欧州諸国の苦闘、具体的には「緊縮財政」「国際協定」「移民受入」といったグローバリズムのトリニティの後始末ができない、経世済民を目指せないという状況が、このままでは「日本の未来」となることは断言しておきます。


 グローバリズムのトリニティからの脱却が必要です。そのためには、欧州諸国を「反面教師」として、国民一人一人が学ばなくてはならないのです。

「欧州を反面教師に、グローバリズムから脱却を!」に、賛同頂ける方は、

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