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『グローバリズムのトリニティ①』三橋貴明 AJER2018.12.4
https://youtu.be/gbihwGhHhbo

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三橋TV第25回【緊縮財政が日本国民を殺す理由】


https://youtu.be/LoTdFN2nKpE
 

 水道の民営化を容易にする、改正水道法が成立しました。


 今回の国会審議では、水道について厚生労働省が検証した海外の民営化失敗事例が、わずか3件であり(実際には世界37か国で、235都市が再公営化している。あるいは再公営化を進めている)、さらに内閣府の水道民営化を推進する部署に、よりにもよって水メジャーのヴェオリアの社員が出向していることなどが明らかにされました。


 わたくしは、財政政策や規制緩和、市場開放等について、イデオロギー的に判断することはありません。


 緊縮財政が正しい時期もあれば、適切な規制緩和もあるのでしょう。国内で生産不可能なモノやサービスを輸入することは、安全保障と無関係ならば正当化されるでしょう。

 水道民営化は、もちろん規制緩和(&自由貿易)の一つです。

 現在の日本で水道民営化が正当化されるケースを考えてみましょう。具体的には、地方自治たちや中央政府が極度に非効率で、国民が安全な水を十分な量、適切な価格で入手することができない。


 政治家や議会が水サービスの適正化を推進しようとしても、公務員の腐敗が深刻で、しかも怠惰。公務員が「自らの利益」にならない水道サービスの適正化のために努力しようとしないケース。


 これならば、水道民営化という規制緩和は正当化されます(それにしても、自由貿易、つまりは水ビジネスを外資に開放するなど論外なのですが)。

 とはいえ、現実の日本はどうですか。日本は、水道水を飲める世界のわずか13カ国の一国です。アジアで水道水が飲めるのは、日本とUAEのみなのです。


 つまりは、日本においては、いかなるレトリックを用いようとも、水道民営化は正当化されません。それにも関わらず、なぜ水道民営化が進められるのか。

 特定の「誰か」の利益最大化のため。他に、理由は何もないのです。


  


 チャンネル桜の討論番組にも出演された水ジャーナリストの橋本淳司氏が、水道民営化によって「欧州で何が起きたのか」についてコラムを書かれました。


『日本人は知らない「水道民営化の真実」フランスと英国で起きたこと 水道料金は上昇、嗤う投資家と株主たち
https://gendai.ismedia.jp/articles/-/56865
 第196回国会では、水道に関連する重要な法改正が議論された。
 1つは、改正PFI法が可決成立したこと。PFIとは、公共施設の建設、維持管理、運営を民間の資金、ノウハウ・技術を活用して行うもの。高速道路、空港、上下水道など料金徴収を伴う公共施設について、所有権を公に残したまま運営権を民間に売却できるコンセッション方式がよく知られる。
 今回の法改正で注目すべきは、上下水道事業のコンセッションについては特別に導入インセンティブが設けられたこと。地方公共団体が過去に借りた高金利の公的資金を、補償金なしに繰上償還できる。
 もう1つは、水道法改正案が衆議院で可決されたこと(会期切れで継続審議)。水道法改正のおおまかな内容は、施設の老朽化や人口減少で、経営困難になった水道事業の基盤強化を進めるというものだが、審議中、問題視されたのはPFIの一手法であるコンセッションの導入について定められた第24条だった。
 前述の改正PFI法と改正水道法案の24条は見事にリンクしているのだ。
 もともと水道事業のコンセッション方式推進は、第一次アベノミクスの「第3の矢」として出てきた。
 竹中平蔵・東洋大学教授は、「水道事業のコンセッションを実現できれば、企業の成長戦略と資産市場の活性化の双方に大きく貢献する」などと発言。政府は水道事業に関して6自治体でのコンセッション導入を目指したが(14〜16年度)、成立した自治体はゼロだった。そこで水道法改正案に明記し、特典をつけて優先的に検討することを推奨したわけだ。
 こうしたアベノミクスの論調に合わせるように、メディアの多くは「水道事業の危機を回避するにはコンセッションしかない」と報道し、それに同調する首長、地方議員も多い。(後略)』


 今回の水道民営化は、図にすると以下の通りとなります。


【コンセッション方式による水道民営化のイメージ図】


 図の通り、水道コンセッションの場合、水道管や取水施設、貯水施設、導水施設、浄水施設、送水施設、配水施設といった水道ネットワークについては、自治体が保有し、かつ災害時の「復旧責任」を負い続けることになります。民間事業者(水道施設運営事業者)は自治体とコンセッション契約を締結し、運営権に基づき住民に水道サービスを提供。


 料金を徴収する。事業者は株式会社であるため、水道「ビジネス」の利益から株主に配当金を、銀行に金利を支払う。


 つまりは、今回のコンセッション方式の民営化は、水道サービスの「ビジネス化」あるいは「金融化」なのです。特定の株主や銀行の「利益」になるからこそ、日本政府は国民の生命の基盤である水道を「売り飛ばした」わけでございます。


 フランスの水道メジャー「ヴェオリア」などは、日本における水ビジネス展開時に「災害リスク」を負いたくない。だからこその、コンセッション。


 ちなみに、人口が相対的に少ない地方、つまりは水道サービスの赤字が大きな地方では、コンセッション民営化は全く進まないでしょう。理由は、もちろん利益にならないためです。


 ヴェオリアなどが狙っている市場は、東京都や大阪府など、人口密集地帯です。人口密集地で、水道ネットワークは「自分の資産にならない」ように水道を提供。これが、一番利益になる「ビジネスモデル」です。


 利益を最大化し、株主に配当金を、銀行に金利を支払うために、水道の品質を落とし、料金を引き上げる。


 そして、「民営化が水道維持の切り札」などと期待していた地方は、切り捨てられる。当たり前の話です。


 安倍政権は、単に特定の「誰か」のために、日本国民の基本的人権の一つである「水」を売ったのです。


 政府は緊縮財政路線の影響で、「国民の水」を守ることすら放棄したのです。


「政府は国民の水を守れ!」に、賛同頂ける方は、

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