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『帝国対民主国家の最終戦争が始まる(後篇)①』三橋貴明 AJER2018.11.6
https://youtu.be/yMQtufFxoE0

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三橋TV第19回 【日本人が知らない移民問題の真実】

https://youtu.be/ldyui3by4as


 書籍の次回作は「亡国のメガロポリス(仮)」なのですが、東京一極集中の問題及び、
「現在の日本では、東京圏ではなく人口(若者)が流出している地方の方が企業は儲かる。今後の日本の経済成長は「地方」が牽引する」
 という「事実」について書いたものです。


「そんな、人口が流出している地方が経済成長するはずないだろ」
 と、反発を抱く「思考停止」「知ったかさん」の日本人が殆どでしょうが、話は逆です。


 人口が流出しているから経済成長しない、のではなく、若手人口が流出しているものの、高齢者という需要は残り、インフレギャップ(=供給能力不足、人手不足)が深刻化しているからこそ、儲けるチャンスが、経済成長のチャンスがあるのです。無論、生産性向上の投資は必要ですが。


 需要である高齢者はそれほど減らず、より勢いよく供給能力が減っていく。何たる儲け時か!


 逆を考えれば分かります。若者が続々と労働市場に参加してくる国。人手過剰が進み、生産者は買いたたかれることになります。


 現在の日本の地方は、上記の逆なのです。


 まずは、例により論よりグラフ(証拠)。人口流出が最も著しいと言われている島根県と、東京都(及び全国)の失業率をモデル推計値で比較してみましょう。


 モデル推計値であるため、全国版雇用統計と比較すると精度は落ちますが、趨勢は分かります。


【東京都、島根県、全国の失業率の推移(%)】

http://mtdata.jp/data_61.html#simane


 実は、現在の東京は国内で比較すると相対的に「高失業率」になっているのです。


 逆に、低失業率を牽引しているのが、島根県を代表とする「地方」です。


 地方の場合、少子高齢化による生産年齢人口比率低下に加え、若者が都会に流出してしまうため、働き手が極端に不足する状況になっています。つまりは、インフレギャップの深刻化です。


 とはいえ、上記は地方に残った生産者にとっては、実に美味しい話です。何しろ、競合相手が次々にいなくなっていくわけです。人手不足を巧く生産性向上で補えば、高齢化で「減らない需要」相手に「高くサービスを売る」ことで企業や生産者は「儲ける」ことができるのです。


 実際に、地方で生産性を高め、人手不足をカバーすることで業績を上げている企業(中小企業)を、わたくしはたくさん知っています。


 とはいえ、企業単体の生産性向上努力には限界があります。技術を開発し、設備を導入し、人材を教育する。技術投資、設備投資、人材投資をやりつくすと、生産性向上はそこでストップです。



 だからこそ、政府の交通インフラの整備が重要なのです。


 


『「細切れ開通」山陰道はいつ全線つながるのか 「最も整備が遅れている」高速道路の今後
https://toyokeizai.net/articles/-/249985
 先日、島根県松江市に本社のある鳥取・島根県の地元紙「山陰中央新報」の記者から、山陰道の整備状況についてコメントを求められた。
 国土を貫く幹線高速道路の整備がかなり進んできているなか、鳥取市と下関市をほぼ国道9号線に沿って建設が進められている山陰道は、2018年4月現在、総延長380㎞のうち、まだ45%しか供用されておらず、しかもその供用区間はどうしたらこんなに細切れにできるのかというほど、途切れ途切れになっている。(中略)
 現在の開通区間で最も連続しているのは大栄東伯IC~出雲IC間で、およそ100キロメートル。その東側に2区間、西側に6区間の細切れ開通部分があり、全体を通して走ろうとすると9回も高速道路区間と一般道路区間を出入りすることになる。これでは高速道路としての一体性が保たれず、整備を進めたくなるのもうなずける。さらに、
まだ調査にすら着手できていない区間が全体の24%もあって、全線開通のメドはまったく立っていない。(後略)』


 島根県の高速道路が整備されると、どうなるか。分かりやすい生産性向上は「物流」でございます。


 一般道路を使っていたトラックが、高速道路を走るようになれば、「運転手」「トラック」の量が変らなかったとしても、生産される運送サービスが激増します。つまりは、生産性向上です。


 とはいえ、高速道路の生産性向上効果は物流、運送だけでしょうか?


 例えば、島根県某市で家庭向け、あるいは企業向けサービスを提供している企業があったとします。現在、某市には高速道路が届いていません。


 となると、たとえ需要が存在していたとしても、企業のサービス提供は「近隣市場」にとどまってしまいます。


 結果的に、
「企業は需要に対しサービスを提供できない。需要側は自らの需要を満たすことができない」
 と、供給と需要の間にボトルネックが出現するわけです。


 というわけで、山陰高速道路が全線整備されたとします。すると、企業はこれまで提供できなかった地域においても、サービスを供給することが可能になります。


 さらには、需要側にしても、今までは「何か月待ちです」などと言われていたサービスの提供を、すぐに受けることができる。まさに、ウィンウォンでしょ。


 つまりは、現在の日本が地方に交通インフラを整備していくことは、サービスを供給する企業側はもちろん、需要側にもベネフィットが生じるのです。まさに、There is no alternative(この道しかない」と言っても過言ではないほど、正しい政策です。


 ちなみに、山陰自動車道は島根県ではかなり整備が進んでいますが、山口県がかなり手付かずです。特に、総理の地元である下関-長門間は全く整備されていません。


 当たり前ですが、高速道路は「つないでいく」ことでネットワーク効果が生じ、生産性がより高まります。


 日本は、人口が減っているから高速道路はいらない。ではありません。


 生産年齢人口比率が低下し、人手不足が深刻化しているからこそ、生産性向上のために交通インフラの整備が不可欠なのです。


 この単純な事実を国民が理解しない限り、我が国の経済成長はあり得ず、地方は生産性向上により「日本経済の成長を牽引する」機会を奪われることになります。


「経済成長のために地方への交通インフラ整備を!」に、賛同下さる方は、

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