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『嘘つき安倍政権①』三橋貴明 AJER2018.9.25
https://youtu.be/oSSjTkO9aV4
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米中貿易戦争についてあまり取り上げないのは、10月刊行になる「帝国対民主国家の最終戦争が始まる(旧:帝国の復活)」のメインテーマであるためです。とはいえ、今回は極めて重要な情報であるため、取り上げます。
日米首脳会談が終わりました。
『首脳会談でインド太平洋の日米協力一致、中国牽制へ
https://www.sankei.com/politics/news/180927/plt1809270015-n1.html
安倍晋三首相とトランプ米大統領はニューヨークで行った26日午後(日本時間27日午前)の会談で、両国が推進する「自由で開かれたインド太平洋戦略」のもと、日米が太平洋島嶼(とうしょ)国や東南・南アジアで民間部門を活用した事業協力を強化することで一致した。中国の海洋進出や経済支援を通じた覇権拡大を牽制(けんせい)する日米の具体的な動きとして注目される。(後略)』
日本の新聞を見ていると(産経であっても)何が何だか分かりませんが、現在のトランプ政権の対中強硬姿勢は、ピーター・ナヴァロ教授の「プラグマティズム」に基づいています。ナヴァロ教授の価値観には、わたくしは心底から賛同します。
自由貿易(モノ、サービス、ヒト、カネの国境を越えた移動の自由化)が成立するためには、一つ、絶対に必要な条件があります。それは、相互主義です。
つまりは、相手国の自国に対する待遇と同様の待遇を、相手国に対しても付与ししなければならないのです。
グローバリズムの時代に、
(1) 輸出相手国には自由貿易を求めるが、自国市場は関税や補助金、外国企業や外国製品に対する規制で保護
(2) 投資相手国の土地や企業、技術は自由に買うことを求めるが、自国内では外国人の土地購入は認めず、さらに進出してきた外資に技術移転を強要
(3) 外国に自国の労働者を大量に送り込み、相手国の雇用を奪うが、自国には移民を認めない
といった国が出現した場合はどうなるでしょうか。相互主義ではなく、一方向的なグローバリズムです。
トランプ政権下で、米ホワイトハウス国家通商会議のトップに就任したナヴァロ教授は"ある国”の強みについて、2018年4月16日のWSJへの寄稿において、
● 知的財産権の侵害
● 国内市場へのアクセスを交換条件とした外国企業に対する技術移転強要
● 高い関税障壁(例えば自動車関税はアメリカの十倍)
● 外国企業に厄介な事業免許要件や出資比率規制を課す
● 国有企業や政府が資金支援する企業に土地や資本を助成
● 国内企業に対する無数の輸出補助金や寛大な税制優遇措置
● 為替介入による為替レート調整
● 政府系ファンドの活用
であると、猛烈に批判しています。"ある国"がどこなのか、言うまでもありません。もちろん、中華人民共和国です。
今回の首脳会談における共同声明は、大変興味深い内容になっています。特に注目するべきは、第六項です。
【外務省 アメリカ合衆国 日米首脳会談 (18年9月)】
https://www.mofa.go.jp/mofaj/na/na1/us/page4_004367.html
(共同声明より)
『6 日米両国は,第三国の非市場志向型の政策や慣行から日米両国の企業と労働者をより良く守るための協力を強化する。したがって我々は,WTO改革,電子商取引の議論を促進するとともに,知的財産の収奪,強制的技術移転,貿易歪曲的な産業補助金,国有企業によって創り出される歪曲化及び過剰生産を含む不公正な貿易慣行に対処するため,日米,また日米欧三極の協力を通じて,緊密に作業していく。』
「第三国の日市場志向型の政策や慣行」が何を意味しているか、言うまでもないと思います(さすがに外交儀礼上「名指し」はできないようです)。
声明の「用語」に注目してください。
「知的財産の収奪」
「強制的技術移転」
「貿易歪曲的な産業補助金」
「国有企業によって創り出される歪曲化」
「過剰生産を含む不公正な貿易慣行」
ナヴァロ教授がWSJに寄稿した「中国の強み」が揃い踏みとなっています。
間違いなく、現在のアメリカは「ナヴァロ・ドクトリン」に基づいて動いています。日本側が、共同声明の「6項」を文書化するなど、考えられません(我が国の外務省は、そんなにまともな省庁ではありませんので)。
つまりは、安倍総理はトランプ大統領から、
「ナヴァロ・ドクトリンに基づき、対中貿易戦争に加われ」
と要求されたことになります。
さすがに、安倍総理や周囲の政治家、官僚は、「今、何が起きているか?」を理解しつつあると思います。
問題は、対中技術移転の「禁止」といった規制を、我が国の政府がかけられるか否かです。グローバリズムのトリニティにどっぷりと染まった安倍政権にとって、そもそも「政府がグローバリズムに規制をかける」という考え方自体が、「ええっ!!!???」という感じではないでしょうか。
とはいえ、中国の「アンフェアなチャイナ・グローバリズム」を放置することは、これは人類に対する罪であると確信しています。
この状況で、
「一帯一路! 中国製造2025! ビジネスチャンス来たこれっ!!!」
などとやっている日本企業や「日本国」の情けなさには、もはやかける言葉もありません。下手をしなくても、日本企業や「日本国」がアメリカの制裁対象になってしまいます。
しかも、曲がりなりにも日米首脳会談の「共同声明」で、日本も対中制裁に「対処」することをコミットしたのです(日本のマスコミは報じないでしょうが)。
日本政府はこれまでのグローバリズム・トリニティ路線を改め、
「安全保障強化のために、中国とのモノ、ヒト、カネ、技術のやり取りを規制する」
と、明言しなければならないのです。
※お願いですから、
「ああ、安倍総理でよかった~」
「安倍政権、対中制裁キタコレーッ!!」
といったくだらないコメントはやめて下さい。安倍政権は何もしていません。本件で安倍政権を評価できるのは、正しく対中規制に乗り出し、実効性を持たせたときのみです。
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