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『生産性を高めるたった一つの方法①』三橋貴明 AJER2018.8.21
https://youtu.be/MUj21sazBvQ
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【日本の名目賃金、実質賃金の推移(対前年比%)】
http://mtdata.jp/data_60.html#chingin
【名目賃金】


【実質賃金】
 


 本当は、本日からまた泊原発の話題にしたかったのですが、さすがに看過できないので、昨日に続けてこの話題。


 といいつ原発の話なのですが、わたくしは福島第一原発事故の後、日本は政治的に原発を停めたことを受け、
「このままではブラックアウトが起きかねない」
 と主張し、(反原発の)左翼はもちろん、FITという「ビジネス」を拡大したい構造改革主義者からもボコボコに批判されました。


 実際にブラックアウトが起きた時、わたくしは、反原発派が、
「電力会社は何やっていたんだ!」
 と無責任に叫び出すと予想したわけですが、実際には「だから原発を動かすな!」という斜め上の反応でございました。


 日本語が通じない連中だらけです、日本の言論界は。


 さて、昨日は安倍内閣の下で、「毎月勤労統計調査」のサンプリングが変えられた結果、名目賃金や実質賃金が「高く出る」ことを問題視したわけですが・・・・。


 すると、なぜか、
「三橋はサンプリング変更について問題視している」
 という、意味不明な批判が殺到し、ひっくり返ってしまったわけですが、(てかな、お前ら、どんだけバカなんだよ)、わたくしはサンプリング変更については一切、批判していません


 当たり前だけど、厚労省の資料も読んでいます。サンプリングをローテーション方式にしたこと自体、わたくしがいつ問題視しました?


 単に、
「給与水準が高い事業所がサンプリングの母数に入った」
 状況で、
「給与水準が低い一年前の事業所群」
 と、対前年比で比較し、補正すらかけずに発表し、


『実質賃金、21年5カ月ぶりの伸びに=6月の毎月勤労統計
https://jp.reuters.com/article/real-wages-idJPKBN1KS01K

『6月の名目賃金確報値3.3%増、速報値から縮小 毎月勤労統計 
https://www.nikkei.com/article/DGXLASFL22H74_S8A820C1000000/

『7月の実質賃金0.4%増=賃上げ広がる
https://www.jiji.com/jc/article?k=2018090700353&g=eco

『7月給与総額、前年比1.5%増 12カ月連続プラス
https://mainichi.jp/articles/20180907/dde/007/020/045000c


 などという報道を「させている」日本政府を批判しているだけなんですが・・・・・。


 上記、報道のどこに、サンプリングの母集団が変わったせいで、名目賃金や実質賃金が上振れしたという記述がありますか?


 特に、実質賃金は実際には「マイナス」であるにも関わらず、プラスで報道されているんですよ。これを問題視しない人は、普通に「バカ」か「頭がおかしい」か、あるいは安倍政権を庇うためなら「嘘」を言うと批判されても仕方がないでしょう。

        


 サンプリングの母集団が変わった以上、「同じ母集団」同士の対前年比の比較をするべきでしょ?


 それを指摘したら、
「三橋はサンプリング変更を批判している」
 って、典型的なストローマン・プロパガンダですね。


 サンプリングの母集団の変更は構いませんが、いかなる事情があろうとも「異なる母集団」同士の対前年比をリリースし、
「日本の名目賃金や実質賃金は上昇している」
 といった印象操作はしてはダメでしょ? 


 こんな、基本中の基本も理解できないならば、「情報」を発信するのはやめた方がいい。情報リテラシーが低すぎる。


 安倍政権を庇いたい気持ちは分かりますが、その現実逃避ぶり、認●知的不協和にはもはや怒りは沸いてきません。。憐みの情、憐憫があるのみです。


 しかも、母集団を変更したことにより、日本は「順調に給料が増えている」という誤解が広まり、財務省主導の消費税増税が正当化されようとしているんですよ。


 異なる母集団同士の比較で、「対前年比賃金上昇!」と主張している連中は、全員、財務省の飼い犬です。


所得統計、内閣府も過大に算出? 厚労省の上振れ数値使う
https://www.nishinippon.co.jp/nnp/politics/article/449157/
 政府の所得関連の統計に今年に入って高めの数値が出ている問題で、内閣府が作成する統計「雇用者報酬」も過大に推計されている可能性が高いことが12日、西日本新聞の取材で分かった。高めの数値を示している厚生労働省の統計を基に算出しているため、上振れしているとみられる。内閣府は、厚労省の統計数値が過大になっている可能性を認識しながら推計を続けていたとみられ「今後の対応を検討中」としている。
 雇用者報酬は賃金の動きを示す重要統計の一つで、四半期ごとに国内総生産(GDP)と同時に公表される。今年に入っての前年同期比増加率(名目ベース)は1~3月期が3・1%と、1997年4~6月期以来の高水準を記録。4~6月期は4・1%と、現行の統計が始まった94年1~3月期以降で最大の伸び率となった。いずれも2017年平均の1・9%を大きく上回り、賃上げでデフレ脱却を目指す安倍政権にとって歓迎すべき結果となっている。
 ただ、この増加率は、今年1月の作成手法見直しで所得指標が高めに出るようになった厚労省の毎月勤労統計を用いてはじいている。内閣府は1月以降も、同統計の誤差を考慮することなく通常通りの算出方法を続けているといい、推計が大きくなりすぎていることが想定される
 内閣府の担当者は取材に対し「毎月勤労統計の上振れにより、雇用者報酬も上振れする可能性があると認識している」と問題意識があることを認めた上で「詳細な情報が必要なので、厚労省と相談しながら対応を検討している」と説明した。(後略)』


 結局、消費税増税決定前に、
「日本経済は回復している! 賃金も増えている! 安倍政権ダイショウリウリウリウリイイイイイイイイィィィィッッッ!!!!」
 とやりたい日本政府と、それに迎合する情報リテラシーが低い人々により、このままだと普通に来年10月に消費税は増税されるでしょう。


 冗談でも何でもなく、わたくしは最近、
「6月の現金給与総額は、実質賃金でも2%以上増えたじゃないか! 消費税増税しても問題ない!」
 と、主張する政治家と、10名以上会いました。その後、もちろんボコボコにしたわけですが、彼らはソースデータを見ていないので、わたくしが何に怒っているかすら理解できなかったでしょう。

 

 驚かれるかもしれませんが、政治家はソースデータは一切、見ません。新聞やテレビの情報で発言します。間違いなく、本ブログの読者よりもリテラシーが低いのです。


 これが、日本の現実なのですよ。


 この状況で、「(サンプリング変更で)現金給与総額は名目も実質も増えている。安倍政権ダイショウリ!」などとやることが、どれほど愚かなことなのか。


 どうせ、理解できないでしょうし、日本亡国の日まで「アベセイケンマンセー」とかやっているのでしょうが、とりあえず「理解している人もいた」ということを将来の日本国民に証明するために、本エントリーを書き残しておきます。


 現在の日本は、消費税を増税してはいけません。

(内容で勝てないときは、どうせ「三橋の言い分は正論かも知れないが、言葉遣いが問題がある!」とか、粗を探して、マウント取ろうとするんでしょ。それが日本国のためになると思うならば、どうぞ頑張って!)
 

「安倍政権の消費税増税路線に反対!」に、ご賛同下さる方は、↓このリンクをクリックを!

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