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『生産性を高めるたった一つの方法①』三橋貴明 AJER2018.8.21
https://youtu.be/MUj21sazBvQ
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安藤裕衆議院議員との対談は、視聴が本日までとなっておりますので、ご留意ください。〈月刊三橋特別対談〉三橋貴明×安藤裕衆院議員 『経世済民を実現せよ!日本を救う安藤提言』
https://pages.keieikagakupub.com/ma_talk/
さて、一帯一路。
習近平は中国共産党第十八回全国代表大会で、「中華民族の偉大なる復興」を掲げました。中華民族の偉大なる復興とは、要するに冊封体制の復活です。
華夷秩序に基づき、大清帝国の領土を取り戻し、周辺諸国(朝鮮半島、中央アジア、東南アジアなど)を属国、冊封国と化す。これに成功したとき、習近平は国家主席はもちろん、中国共産党総書記も「終身」の皇帝となるでしょう。
中華人民共和国は、大清帝国の後継国ではありません。何しろ、民族が違います(清は女真族の帝国)。
とはいえ、そんなことはお構いなしに、中国共産党は大清帝国の復活を目指しています。
大清帝国を基準に考えると、中華人民共和国に欠けているのは、直轄地としては香港、台湾、モンゴル高原(現、モンゴル人民共和国)、そしてロシア領である沿海州です。さらに、大清帝国の冊封体制を受け入れていた国々としては、朝鮮半島、キルギス、カザフスタン、タジキスタン、ウズベキスタンなどの中央アジア諸国、ネパールやブータン、ミャンマーやベトナムといった東南アジア諸国、そして「沖縄」が加わります。
沖縄(琉球)は日本国の対明、対清交易窓口として冊封に入っていただけ(長崎の出島と同じです)なのですが、中国共産党史観では「属国」扱いです。ちなみに、沖縄の呼称は「琉球国」が正しく、琉球王国とやらが存在したことはありません。
無論、モンゴルや沿海州を「取り戻す」のは困難です。朝鮮半島はともかく、中央アジアや東南アジアが今更、冊封体制に復帰するはずがありません。
だからこその、一帯一路なのです。
「偉大なる我が国とインフラで結びましょう。資金は融通(貸す)しますし、資材も持ち込みますし、労働者も提供します。なあに、カネを返せないときは、インフラを頂くだけです」
と、インフラ建設プロジェクトを持ち掛け、勢力圏を拡大していく。これが、一帯一路です。
同時に、中国を「ターミナル」に海の道(スパイスロード)と陸の道(絹の道、草原の道)を結ぶ。クビライカーンの大モンゴル帝国の再来というわけですね。
さらには、ユーラシアの内陸部に勢力圏を伸ばすことは、マッキンダーの「ランドパワー」の考え方、地政学にも沿っています。
中野剛志先生がチャイナ・グローバリズムの脅威について記事を寄稿されました。
『日本が「米中貿易戦争」に無策すぎる根本理由 地政経済学的に正しい中国の「富国強兵」戦略
https://toyokeizai.net/articles/-/234839
◆トランプの関税引上げが「一帯一路」戦略を加速させた
本年4月、筆者はドナルド・トランプ政権による関税引き上げに関して、次のように指摘した。
「米国は、今回の関税措置において、中国に対して特に強硬な姿勢で臨むと同時に、ロシアも適用対象国とした。その結果、米国市場へのアクセスを制限された中国は、ユーラシア大陸の内陸部への進出をより強めるであろう。ロシアもまた、中国への接近を図るであろう。
こうして、トランプの関税措置は、ユーラシア大陸を勢力圏におさめようという中国の『一帯一路』戦略を加速し、強化してしまうのだ。ユーラシア大陸内陸部を勢力圏におさめたら、中国は、今度は南シナ海、そして東シナ海への進出を本格化させるであろう。要するに、日本の安全が危うくなるような地政学的変化が引き起こされるのだ」
その際、筆者は、次のような日本の戦略を提言した。
「それは、米国の貿易黒字削減要求に対して、内需拡大によって応じることだ。内需拡大による経済成長は、米国からの輸入を増やすというだけでなく、日本国民を豊かにするうえでそもそも必要なことだ。
内需拡大の実現には、積極的な財政出動が不可欠であるが、日本が財政赤字を懸念する必要がないことは、すでに証明しておいた。
さらに、拡大した財政支出の一部を防衛力の強化に向けるならば、なお賢明である」(米国の関税戦略に「日本封じ込め」の意図あり)
トランプが仕掛けた貿易戦争について、筆者はこのような予測と提言を示したのだが、はなはだ残念なことに、これらに同意してくれそうなのは、わが国ではなく、中国だったようである。(後略)』
中野先生の記事にもありますが、アメリカ政府は18年8月16日、中華自民共和国の軍事力に関する2018年度年次報告書を公表しました。
報告書は、中国の一帯一路に対する「警戒感」で満ち溢れていたのです。
報告書は正式には「中国の軍事と安全保障の発展についての年次報告書」ですが、一帯一路について構想自体が軍事的な要素を含んでいると断定。中国は「一帯一路」により、まずは相手国の中国資本に対する依存状態を作り出す。その後、資本的関係を相手の弱点として利用し、軍事関連の権益の移譲に持っていく。
具体的な例として、報告書では、本ブログでも取り上げたスリランカのハンバントタ港が挙げられています。
中国の一帯一路は、中国製造2015同様に、表向きは「経済政策」ですが、実態は「軍事戦略」です。少なくとも、アメリカ政府は中国共産党の狙いを正確に見抜いています。
それにも関わらず、日本の一帯一路に対する論評は、「一帯一路というビジネスチャンスを迎える日本企業」系ばかりでございます。昨日と同じ感想になりますが、こんな国は普通に亡ぶでしょう。
一帯一路は、中国共産党の「冊封体制の復活」という夢の実現に向けた「軍事戦略」であり、兵站の輸送路整備であり、軍艦の停泊港建設なのです。
この現実に目を向けず、
「一帯一路! ビジネスチャンス来たこれっ!」
としか考えられない日本の政治家、企業経営者たち。
政治家や財界人が愚かならば、せめて国民が正しい情報を知り、事態を是正しなければなりません。何しろ、ツケを払わされるのは、わたくしたち日本国民なのです。
一帯一路は、中国共産党の軍事戦略なのです。
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