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『国家が選択と集中をする愚①』三橋貴明 AJER2018.8.14
https://youtu.be/GyFDt89BgVw
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 トランプ大統領が、企業の「四半期決算」の廃止案を検討するよう指示したとの報道が流れています。


 四半期決算とは、まさに企業にとっての「プライマリーバランス」でございます。しかも、期間は一年ではなく三か月。


 企業経営者は、株主から「三か月ごとの利益」を出すことを求められます。しかも、ひどい話ですが、経営者もストックオプションで、株主と同じ立場にいるのです。


 三か月という短期の利益を求められた企業がやることは、当然ながら人員削減、人件費のカット。人材投資、設備投資、技術投資、何それ? すぐ儲かるの? 三か月で結果出る?



「出るわけないだろ!!!」


 という話なのですが、人材、設備、技術を疎かにし、短期の人員削減で「利益」を拡大することができた企業の株価は上がり、株主はもちろん経営者も(ストックオプション行使で)「自己利益最大化」を達成。


 代わりに、従業員、そして未来が犠牲にされるというわけでございます。


 四半期決算がある限り、企業の視点は短期的にならざるを得ません。結果的に、企業の投資(人材投資含め)が減り、未来の可能性が摘まれる。


 四半期決算は、人類の文明を退化させていると確信しています。


『焦点:四半期決算の廃止案、米国株投資に悪影響も
https://jp.reuters.com/article/trump-quarterly-reporting-analysis-idJPKCN1L504W
 トランプ米大統領が企業の決算発表義務を四半期から半年に延ばすことを検討するよう証券取引委員会(SEC)に要請したことが、市場関係者や金融専門家の間で波紋を広げている。
 一部の投資家やアナリストから聞かれたのは、株主の目をふさぎ、企業の無軌道を許すだけでなく、米国株の魅力を損ない、公開企業への投資を縮小させかねないという懸念だ。
 カンバーランド・アドバイザーズのデービッド・コトク会長兼最高投資責任者は「決算発表頻度を半分にすれば、弊害を招き、確立された規律を取り除くことになる」と警告する。
 半年に1回の決算発表となれば、情報開示強化の流れに逆行する上、不正行為を呼び込む恐れがあると心配する投資家も出ている。(後略)』


           


 ロイターは、もちろんトランプ大統領に批判的。決算を半年に延ばすことで、
「株主の目をふさぎ、企業の無軌道を許す」
 とのことですが、その株主の目的が「短期の自己利益最大化」であることが問題なのです。短期利益拡大を望む株主に毎四半期「結果」を出さないとならないとなると、中長期的視点に立った投資はできません。


 結果、技術投資がおろそかになり、設備が老朽化し、人材も育たない。それでも「短期の利益」が出れば、株主としては満足。


 この種の株主資本種が正しいとは思えません。


 それにしても、改めて四半期決算の問題を考えると、その延長線上に「プライマリーバランス黒字化」やら「財政均衡主義」といった国家財政の「考え方」があるのがわかります。


 しかも、政府の場合は「株主」はおらず、かつ主権者である国民の利益に「逆らってまで」緊縮財政路線を貫こうとする。色々な意味で歪んでいます。


 いずれにせよ、四半期決算やPB黒字化といった「短期の視点」が文明を退化させるのは間違いありません。実際、緊縮財政の猛威が吹き荒れた我が国では、地方が文明的に「退化」していっています。


 緊縮財政である以上、「選択と集中」というわけで、地方を切り捨て、東京一極集中になるのは必然です。とはいえ、その東京都にしても、消費税増税後はマイナス成長が続いているので、一体何のための東京一極集中なのか、という事態になってしまっています。


 日本国民は、そして「人類」は短期の利益追求が「文明」にいかなる事態を迎えるのか、そろそろ理解するべきです。


 とりあえず、日本国もアメリカ同様に四半期決算の廃止を検討する必要があります。

「四半期決算を廃止せよ!」に、ご賛同下さる方は、

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