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『骨太の方針と安藤提言(後篇)①』三橋貴明 AJER2018.7.24
https://youtu.be/WiR9Hq0l1_s
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イタリアでコンテ政権が発足し、欧州向けの移民の流れが変わりました。
アフリカ諸国からの移民は、イタリアを目指しても入国を拒否されます。ということで、これまでの「リビア⇒イタリア」ルートが縮小し、「モロッコ⇒スペイン」ルートに変わりつつあります。
『地中海経由の移民、スペイン到着が最多に イタリアの反移民政権影響
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO34008830Z00C18A8910M00/?n_cid=SPTMG002
アフリカから地中海を通り欧州に入る移民の到着先として、これまでのイタリアに代わりスペインが最多となっていることが国際移住機関(IOM)のまとめで分かった。反移民を掲げる連立政権が6月にイタリアで発足したことなどが影響したもようだ。スペインで今後、受け入れの負担が増大する可能性がある。
IOMによると、今年1月~7月29日に約5万7千人が地中海経由で欧州に入った。死亡者数は子供を含む1514人だった。
最多の到着先はスペインの約2万3千人で、前年同期より約1万6千人増えた。次にイタリアが約1万8千人で前年同期より8割以上減った。(後略)』
しかも、スペイン政府はドイツのメルケル政権と、移民送還措置で合意してしまいました。
ご存知の通り、メルケル政権は国内の反移民の声に押され、ダブリン協定を守る。つまりは、EUに入った移民は、最初に入国した国が管理するという「元々の決まり」に回帰することを決定しました。
今後、スペインに最初に入国したことが判明した移民について、ドイツは48時間以内にスペインへ送り返すことになります。
メルケル政権は、イタリアやギリシャとも同じ協定を結ぼうとしていますが、こちらは難航しています。というよりも、まず不可能でしょう。
イタリアやギリシャにしてみれば、ただでさえ移民問題に苦しんでいるところに、ドイツから続々と移民が送り返されることになるわけです。協定に合意するはずがありません。
欧州の移民問題は、まるで風船のようです。どこかを押さえつけると、反対側で膨らむところが出てしまう。
いずれかの国で移民を制限しようとすると、確実に他の国が割を食うわけです。そもそも、風船を膨らませるべきではなかったのですが、14年以降のメルケル首相の愚かしい判断により、かくのごとくなってしまいました。
というわけで、今後は欧州の移民問題の「ツケ」を押し付けられるのは、スペインになりそうです。
スペインといえば、レコンキスタ(国土回復運動)でグラナダ王国を倒い、イベリア半島からイスラム勢力を一掃した後、残留したムスリムを「モリスコ(改宗したイスラム教徒)」として、国内に同化させようと大変な苦労をしました。
ところが、モリスコたちは本心でキリスト教に改宗したわけではなく、その後は反乱が相次ぐようになってしまいます。
結局、1609年、フェリペ三世がモリスコ追放を決定。30万人以上のモリスコが地中海を渡り、アフリカ各地に散っていくという結末になりました。
「人権」的な概念が薄かった時代においても、しかも歴代のスペイン王が必死に努力したにも関わらず、ムスリムの「国内同化」は不可能だったのです。
それにも関わらず、現スペイン政権は欧州移民問題の「次なる生贄の山羊(スケープゴート)」になろうとしている。
歴史に学ばないのは、別に日本の政治家に限った話ではないのです。
日本の政治家は、移民問題について歴史(日本の場合は在日韓国・朝鮮人問題)に学べないならば、せめて欧州の「経験」に学んで欲しいものです。
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