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『骨太の方針と安藤提言(後篇)①』三橋貴明 AJER2018.7.24
https://youtu.be/WiR9Hq0l1_s
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 本日は、昨日の実質消費に続き、実質賃金。


6月実質賃金、2.8%増=21年半ぶり伸び、賞与増加
https://www.jiji.com/jc/article?k=2018080700253&g=eco
 厚生労働省が7日発表した6月の毎月勤労統計調査(速報値)によると、名目賃金から物価変動の影響を差し引いた実質賃金は前年同月比2.8%増で、2カ月連続のプラスだった。好業績を背景に企業が賞与を増やしたためとみられ、日本の金融危機前の1997年1月(6.2%)以来21年5カ月ぶりの高い伸び率を記録した。(後略)』 


 実質賃金を見る際は、「現金給与総額」(上記は現金給与総額)はあまり適切な指標ではありません。理由は、賞与の出るタイミングで変動してしまうためです


 例えば、昨年は7月に出ていた賞与が、今年は6月になった。それだけで、6月の現金給与総額は激増します。その場合、当然ながら今年の7月の現金給与総額は対前年比マイナスになってしまいます。


 というわけで、やはり実質賃金は「きまって支給する給与」で見るべきです


 18年6月の実質賃金「きまって支給する給与も、対前年比で+0.7%でした。しかも、4月(+0.1%)、5月(+0.6%)と、三か月連続でプラス。これは、第二次安倍政権発足以降、初めてのことです。


【日本の実質賃金指数(2015年=100)と対前年比(%) 】

http://mtdata.jp/data_60.html#RIJun18


 図は17年までが年平均、18年度以降は月別のグラフになります。

 とりあえず、今回の実質賃金上昇を受け、
「ジッシツチンギンガー、ジッシツチンギンガー、言っていた奴ら、見たか!」
 などと喜んでいる「お猿さん」たちに言っておきますが、日本の実質賃金は野田政権期に比べ、17年にはマイナス5.3%も落ち込みました。



 その後、18年6月に0.7%だけ戻したにすぎません。


 5%以上も貧乏にさせられて、0.7%上昇しただけで「ウキッ! ウキッ!」とはしゃいでいる人は、朝三暮四の猿にも劣るよ。


 大体、実質賃金が低下しているときは「実質賃金は経済の実態を反映していない。ウキッ!」とかやっておきながら、上昇に転じただけで「ジッシツチンギンガー厨見たか~っ!」などとやっているんじゃない。ダブルスタンダードもいい加減にしろ、という話。



 それはともかく、なぜ安倍政権機で実質賃金が大きく落ち込んだのかといえば、消費税増税(物価は上昇したが、賃金は上がらなかった)に加え、少子高齢化により「人口のこぶ」である世代が退職しているにもかかわらず、それを埋めるだけの若者は労働市場に参入してこない(そもそも、母数が足りない)。結果、企業が引退した高齢者や女性を「短時間労働」で雇い入れ、人手不足を埋めようとしたためです。


 結果的に、日本人の「総実労働時間」は減り続けました


「そんなことはない、俺は前より働いている!」
 と、思った方もいるでしょうが、平均の話です。企業が正規雇用ではなく、短時間低賃金のパートタイマー、アルバイトを増やせば、当然ながら総実労働時間は減ります。


 というわけで、2018年第1四半期までの総実労働時間指数が公表されていますので、そちらを見てみましょう。


【日本の各年第1四半期の総実労働時間指数(2015年=100)】

http://mtdata.jp/data_60.html#jiturou


 う~ん・・・・・、という感じでしょ? 少なくとも、今年の1-3月期までは、日本人の総実労働時間は減り続けています。

 といいますか、18年第1四半期は、90年以降で日本人が最も働かなかった四半期です。何しろ、90年と比べるとマイナス17%なのですから、半端ありません。


 少なくとも、今年の第1四半期までは、企業の「安くヒトを雇う」という傾向が続いていたのです。実際、実質賃金「きまって支給する給与」も、18年1月から3月まで、三か月連続でマイナスでした。


 ところが、18年4月に反転した。


 これは可能性ですが、18年3月と4月の間こそが、日本企業が、
「もう安くヒトをかき集めるのは限界だ」
 と、マクロ的に思った瞬間
かも知れません。実際、実質賃金は18年4月からプラス化しています。


 というわけで、総労働時間指数の18年第2四半期が公表になれば、上記の仮説が正しいのか、間違っているのかが分かります。


 個人的には、18年4月こそが「日本国民が豊かになり始めた瞬間」であることを心から祈っておりますが、まだ未確定です。


 いずれにせよ、安倍政権は「国民を豊かにする」政策に転じる必要があります。人口構造の変化(生産年齢人口比率の低下)に依存して女性や高齢者を労働市場に引っ張り出し、
「就業者数は増えている!」
 などとやるのは、むなしいことですよ。


 昨日の「実質消費」からもわかる通り、最大の需要である個人消費は低迷を続けています。
 日本国民を豊かにするには、もちろん財政出動による需要創出あるのみです。


「政府は財政出動による需要創出を決断せよ!」にご賛同下さる方は、

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