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 『失った所得、失う所得①』三橋貴明 AJER2018.6.26
https://youtu.be/Edj-Fbw8LkU
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【Front Japan 桜】 「高度プロフェッショナル制度」の真実(他)[桜H30/6/29]
https://youtu.be/jDTVs9WCTNc
http://www.nicovideo.jp/watch/1530250446


 さて、デフレ化でヒト余りが続き、経営者(特にサービス業)は生産性向上のための努力をせず、ヒトを「安く買い集める」形で事業を成り立たせてきました

 製造業にしても、2016年度の資本装備率は、96年比で1.01倍なのです。

 デフレーションは、経済を資本集約型から、労働集約型に変えていくのがよく理解できます。
 
『「高プロ」制度は誰のため?働き方改革法案に残る懸念
http://news.tbs.co.jp/newseye/tbs_newseye3408329.html
 働く全ての人たちにとって大きな影響がある法案が、29日にも成立しようとしています。政府・与党が、今の国会の最重要法案と位置づける「働き方改革関連法案」が、28日夜、参議院の委員会で可決されました。過労死が増えるのではとの懸念は解消されたのでしょうか。
 午後7時半、参議院・厚生労働委員会。「働き方改革関連法案」が、与党などの賛成多数で可決されました。法案には、同一労働・同一賃金の導入などが盛り込まれる一方、最大の焦点となったのは、高度プロフェッショナル制度、通称「高プロ」。年収1075万円以上のアナリストやコンサルタントなどの一部専門職について、労働時間の規制の対象から外すものです。
 「高プロ」が適用された場合、年間104日の休日取得は義務付けられますが、残業代や深夜手当、休日手当は一切支払われなくなります。理論上は、48日間休みなく働き続けることも可能になり、野党側は「過労死を招く恐れがある」などと強く反対しています。(後略)』

 
    


 高プロについて、
「過労死を招く恐れがある」
「年収1075万円超なら会社に対する交渉力があるなど決めつけるのはおかしい」
 など、様々な批判がありますが、わたくしは高プロ制度の「根本思想」である、
「労働基準法による呪縛から、経営者を解放する」
 第一歩であることことが、最大かつ最悪の問題だと考えます。日本は過去70年間続けてきた、「政府の規制で労働者を過重な労働から守る」という労働者保護政策を捨てようとしているのです。


 政府は、高プロについて、
「労働者が柔軟な働き方が可能になる」
 と説明していますが、現実には経営者が労働基準法という規制から解放されるのです。解放されるのは経営者であり、労働者ではありません。


 ちなみに、桜の番組でも解説していますが、「年収1075万円以上の専門職」が対象ではありますが、当然ながら対象範囲は次第に拡大していきます。


 何しろ、派遣労働がそうでした。


 派遣社員に関する規制緩和は、中曽根政権期(1985年)に、専門13業種のみを対象に、派遣期間は原則1年、最大3年と、極めて狭い対象範囲で進められました。その後、次第に対象範囲が拡大し、小泉政権期(2003年)に製造業の派遣が解禁。派遣労働が一気に広まることになったのです。


 派遣労働が製造業に広まるまで、二十年弱。


 高プロも、二十年後には相当に対象範囲が広がっていることでしょう。(もはや「高」プロとは呼ばれていないでしょうが)


 また、労働者の労働時間を法律(労働基準法)で縛ることは、人的リソースの制限を強化するという効果がありました。つまりは、「人手不足」の方向に進むのです。


 だからこそ、高度成長期以降の日本の経営者は、設備投資や技術投資で資本装備率を高め、生産性向上に努めることで日本の経済成長が実現しました。



 現在の日本は、少子高齢化に端を発する生産年齢人口比率の低下により、否応なしに人手不足が深刻化していきます。


 その状況で、高プロにより労働規制を緩和し、労働時間に関する縛りをなくす。


 本来、人手不足は資本装備率を高め、生産性向上により達成するべきです。


 それが、「労働者に無理をさせても、労働基準法は適用されない」となると、今後の日本の労働環境がいかなるものになるのか、背筋が寒い思いを覚えます。


 日本は「経営者に優しい、労働者に冷たい」労働政策を転換し、経営者や労働者が共に努力し、生産性向上で経済成長する方向に舵を切りなおさなければなりません。

  
「政府は『労働者に冷たい労働政策』を転換せよ!」に、ご賛同下さる方は、

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