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『米朝首脳会談の衝撃①』三橋貴明 AJER2018.6.19
https://youtu.be/VjNu25yxZxo
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 竹中平蔵氏が東京新聞のインタビューで「残業代」を「生産性が低いものへの補助金呼ばわりし、批判されています。


『対論 「残業代ゼロ」=「高プロ」導入是非は
http://www.tokyo-np.co.jp/article/kakushin/list/CK2018062102000138.html
 政府・与党が延長国会で成立を目指す「働き方」関連法案。論戦で最大の争点となっているのが、高収入の一部専門職を労働時間規制から外す「高度プロフェッショナル制度(高プロ、残業代ゼロ制度)」創設の是非だ。創設を主張する竹中平蔵・東洋大教授と、撤回を求める棗(なつめ)一郎・日本労働弁護団幹事長に理由を聞いた。(後略)』


 竹中氏はもちろん高プロ導入賛成派として登場し、
「「時間に縛られない働き方を認めるのは自然なことだ。時間内に仕事を終えられない、生産性の低い人に残業代という補助金を出すのも一般論としておかしい
 と、語ったのです。


 竹中氏の頭の中で「一般論」の定義がどうなっているかは分かりませんが、労働基準法において「残業代」は経営者に対する罰則という位置づけになります。


 そもそも、
「使用者は、一週間の各日については、労働者に、休憩時間を除き一日について八時間を超えて、労働させてはならない。(労働基準法 第三十二条 2)」
 のでございます。


 従業員を一日に八時間を超えて働かせてはならない。とはいえ、現実に「顧客のニーズ」を満たすためには、八時間を超えて働いてもらわなければならないときもある


 だからこそ、経営者は残業代というペナルティを課せられるわけでございます。


                  


 さらに言えば、従業員の生産性を高める役割を担うのは経営サイドです。竹中氏の言い方だと、生産性上昇の義務が一方的に労働者に課せられていることになり、「一般論」でも何でもありません


 生産性向上のためには、もちろん従業員自信の努力(人材投資)も必要ですが、それ以上に効果が大きいのが設備投資、技術投資、さらには政府の公共投資によるインフラ整備です。すなわち、資本ストックです。


 より専門的に書くと、生産性は「資本装備率」と「TFP(全要素生産性)」により決まります。


 式で書くと、
● 生産性向上=資本装備率の増加+TFPの増加
 になります。


 TFPは「後付け」で決まるため、本稿では資本装備率に注目してみましょう。


【全規模・全産業の資本装備率の伸び率(%)】

http://mtdata.jp/data_60.html#sihon


 経済産業省の資料(「「生産性・供給システム革命」に向けて」)では、
「我が国の資本装備率は細かくは増減を繰り返しつつも、近年、ほとんど伸びていない。
従業員数の増加と同じ程度にしか、有形固定資産(「資本ストック」)が伸びていないためであり、1990年代後半から資本ストックの伸びが低迷し、現在に至るまで資本ストックの伸びは低調、足元でも低下傾向にある。」
 と、珍しくまともなことを書いています。


 まさに、97年の橋本緊縮財政以降の日本経済のデフレ化により、企業が投資を増やさなくなった。結果、労働者一人当たりの資本ストックは低迷というか、企業規模によっては「減少」し、結果的に生産性が伸びていない。(結果、実質賃金が増えない)

 これが「真実」なのです。


 そんなことは、竹中氏は百も承知でしょうに、生産性の低迷の責任を労働者に押し付け、残業代を補助金呼ばわり。 


 竹中氏は、「高度プロフェッショナル制度」を打ち出した産業競争力会議のメンバーです。まさに「これが日本の現実」という印象でございます。


 ちなみに、97年以降の企業が資本ストックを低迷させたのは、当たり前です。何しろ、デフレでは儲かりません。


 というわけで、本気で日本の労働者の生産性を高めたいのであれば、やることは一つ。政府の財政出動によりデフレから脱却し、企業が「投資をすれば儲かる」環境を構築することです。


 ところが、正しい解決策であるデフレ脱却には背を向け、労働者の「権利」を破壊する規制緩和を次々に進める。しかも、パソナ・グループ取締役会長の竹中平蔵氏ら、民間経営者の意向に沿った形で。


 何度も書いていますが、安倍政権は「亡国の政権」以外に呼びようがないのです。

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