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『米朝首脳会談の衝撃①』三橋貴明 AJER2018.6.19
https://youtu.be/VjNu25yxZxo
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 昨日は「月刊三橋全国ツアー 金沢講演」でございました。お越しいただいた皆様、ありがとうございました。


 金沢宿泊だったのですが、夜、食べたお刺身が異様に美味しかった! 景気が良い街は、食事も美味しくなるのでしょうか。それとも、元々、美味しいのでしょうか。


 さて、5月の消費者物価指数が発表になりました。


『5月全国消費者物価(除く生鮮)は前年比+0.7%=総務省
https://jp.reuters.com/article/jp-may-consumer-price-idJPKBN1JH3H3
 総務省によると、5月の全国消費者物価指数(生鮮食品を除く、コアCPI)は101.0となり、前年同月比0.7%上昇した。 』


 コアCPIは対前年比+0.7%で、前月と変わらず。コアコアCPIも+0.1%で、やはり前月と変わらず。


 第二次安倍政権発足後のコアCPI(生鮮食品を除く総合)及びコアコアCPI(食料(酒類を除く)及びエネルギーを除く総合)の対前年比%推移を見てみましょう。

 ちなみに、日銀のインフレ目標はコアCPIで2%です(達成時期のコミットメントは放棄されましたが)


【日本のインフレ率の推移(対前年比%)】

http://mtdata.jp/data_60.html#CPIMay18


 今回は、14年4月の消費税増税による影響を控除せずに、グラフ化してみました。

 消費税増税は強制的な物価の引き上げなので、確かに一時的にインフレ率は上昇します。とはいえ、一年後にはその影響が剥がれ落ち「実体」が見えてきます。

 もっとも、コアCPIは「エネルギー」の価格を含んでしまっており、原油価格の影響を大きく受けます。


 原油価格は、2016年に一時的に1バレル30ドル(WTI)近くまで落ちました。16年のコアCPIのマイナスは、その影響が含まれています。

 というわけで、消費者物価で「デフレ? インフレ?」を見るならば、やはりコアコアCPI(食料(酒類を除く)及びエネルギーを除く総合)が最も適切ということになります

 コアコアCPIは、2016年後半からは「ゼロ」前後に張り付いたままです。17年にマイナスに落ち込み、その後、プラス化したので、このまま上昇するのかと思えば、すぐに腰折れ。直近では、先述の通り対前年比0.1%です。


                 


 消費税増税による実質消費の縮小(需要縮小)がなければ、2015年頃にコアコアCPIベースでインフレ目標の2%にたどり着いていた可能性は高いと思います。何しろ、日本は少子高齢化に端を発する人手不足により、賃金に上昇圧力がかかっています。


 コアコアで2%ということは、もはや「景気が過熱気味」と表現しても構わない数値です。


 ところが、消費税増税による需要縮小の影響で、コアコアCPIは対前年比ゼロ成長に戻ってしまいます。結局、安倍政権の「脱デフレ政策」は、2014年4月の時点で終わっていたのです


 黒田東彦元財務官が日銀総裁に就任した2013年3月以降、日本銀行が拡大したマネタリーベースは、ついに350兆円をこえました(2018年5月)。それにも関わらず、インフレ率が「ゼロ」に張り付いている。


 金融緩和の限界を示すと共に、消費税増税という「需要縮小策」の影響がいかに強烈かを教えてくれます。


 消費税増税は「デフレ化政策」であり、安倍政権が掲げる「デフレ脱却」とは真逆になる。2014年増税の「結果」が示してくれているのです。


 消費税といえば、骨太の方針2018において、以下の通り書かれています。


現役世代の不安等に対応し、個人消費の拡大を通じて経済活性化につなげるためには、2019年10月1日に予定されている消費税率の8%から10%への引上げを実現する必要がある。』


 もはや「頭がおかしい」としか表現のしようがありません。

 2014年の消費税増税は、個人消費(民間最終消費支出)の実質値を8兆円分も吹き飛ばしました。結果、デフレ脱却は夢と消えたのです。


 それにも関わらず、未だに「個人消費の拡大を通じて経済活性化につなげるため」という意味不明なレトリックで、増税を推進してくる。

 しかも、骨太の方針2018では、増税後の「需要変動の平準化、ひいては景気変動の安定化に万全を期す。」と、消費税増税による需要縮小を認めているのです。


 骨太の方針の中だけで、消費税増税の影響についての記述に矛盾、不整合が生じているにも関わらず、国会でこの手の議論が行われない。

 ならば、国民が知識と情報で武装し、政治家に働きかけるしかありません。


「個人消費を縮小するために、消費税率を引き上げる」
 であれば、矛盾は生じませんが、骨太の方針で「個人消費の拡大」を主張している。

 とはいえ、実際には消費税増税は需要縮小、物価低迷、経済のデフレ化をもたらす。これが「現実」であり、「真実」でもあります。


 2014年4月増税以降の個人消費の縮小と、物価の低迷が証明してくれているのです。


「消費税率10%への引き上げに反対」に、ご賛同下さる方は、↓このリンクをクリックを!
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