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『嘘つき財務省①』三橋貴明 AJER2018.6.5
https://youtu.be/jE1JXDGyR9w
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 資本主義とは、モノ、ヒト、技術という経済の三要素を強化し、生産性を高め、国民の実質賃金を引き上げることで成長するモデルです。モノ(=資本)を強化するのが設備投資、公共投資。ヒト(=労働)を強化するのが人材投資。そして、技術を強化するのが言うまでもなく技術投資になります。


 以前、チャンネル桜の財務省討論で、
「技術投資が増えていないのが、決定的にまずい」
 と、発言しましたが、何しろ技術がなければ設備投資も公共投資もできません。おカネは発行できますが、道路、トンネル、橋梁、鉄道網、空港、港湾、発電所、送電線網、電波塔、通信ネットワーク、ガスパイプライン、上下水道網、建築物、工場、機械・設備、運搬車両といった生産資産は、技術無しでは生産不可能なのです。


 生産資産がない状況では、どれだけ人材がいたとしても、モノやサービスの生産はできません。


「不毛の砂漠で所得を稼いでみなさい」
 という話になってしまいます。


 技術は経済の(少なくとも「資本主義経済」の)基盤なのです。


日本の科学技術「力が急激に弱まった」 白書を閣議決定
https://www.asahi.com/articles/ASL66539WL66ULBJ005.html
 政府は12日、科学技術について日本の基盤的な力が急激に弱まってきているとする、2018年版の科学技術白書を閣議決定した。引用数が多く影響力の大きい学術論文数の減少などを指摘している。
 白書によると、日本の研究者による論文数は、04年の6万8千本をピークに減り、15年は6万2千本になった。主要国で減少しているのは日本だけだという。同期間に中国は約5倍に増えて24万7千本に、米国も23%増の27万2千本になった。
 また、研究の影響力を示す論文の引用回数で見ると、上位1割に入る論文数で、日本は03~05年の5・5%(世界4位)から、13~15年は3・1%(9位)に下がった。(後略)』
   

                                                                 


【2000年度を100とした場合の各国の科学技術関係予算の推移 】

http://mtdata.jp/data_59.html#kagaku


 2000年度を100とし、直近の科学技術関係予算を比較すると、中国が11倍、韓国が4.7倍、アメリカ、ドイツ、イギリスといった先進国ですら1.5倍強。


 それに対し、我が国は1.06倍。予算を全く増やしていない。


 この状況で科学技術力が凋落しなければ奇跡ですが、残念なことに奇跡は起きていません。


 さらに、大学を法人化し、「短期の成果主義」という狂った発想を導入


 国立大学が法人化された2004年には1兆2415億円だった国立大学法人運営等交付金は、2017年には1兆0970億円にまで削減されました。


 文部科学省は、法人化の際に、
http://www.mext.go.jp/a_menu/koutou/houjin/03052702/002.htm
「今回の法人化は、財政支出の削減を目的とした「民営化」とは全く異なるものです」
 と説明していたくせに、大嘘。予算削減の緊縮と、短期の成果主義が蔓延し、長期的な研究開発がほぼ不可能。


 繰り返しますが、この状況で科学技術力が凋落しなければ奇跡です。


 白書では、大学に対し、
「会議を減らして教員らが研究に割ける時間を確保すること」
 などと眠たいことを提言していますが、まずは国立大学法人化が「間違っていた」ことを認めなければなりません。


 そして、せめて米英独並に科学技術関係予算を増やし、かつ「長期」に予算をコミットすることで、研究者の雇用を安定化させ、長期的研究に取り組めるようにするのです。


 04年以降の緊縮、短期路線が続く限り、我が国の科学技術力の凋落を食い止めることは不可能です。

「政府は科学技術予算を拡大し、大学法人化を見直せ!」に、ご賛同下さる方は、

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