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チャンネルAJER  更新しました。
『言語と民主主義①』三橋貴明 AJER2018.4.24
https://youtu.be/7l3zThwiv-k
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 先日、「我々の時代に訪れる「国難」 」でご紹介しましたが、81年から96年までの日本の名目GDPは、年平均4.8%で成長しました。


 4.8%成長と聞くと、「高い!」と思われるかも知れませんが、実際にはそんなことはありません。何しろ、「名目」GDPなのです。


 名目GDPであるため、極端な話をすると、実質ゼロ成長で、物価上昇率(GDPデフレータ)4.8%だけで達成できてしまいます。


 実際の81-96年は、実質GDPが年平均3.5%成長でした。つまりは、物価上昇の影響が年平均1.3%ですね。


 実質GDP3.5%成長は、人手不足が深刻化し、まともに「投資」で生産性向上を目指せば、普通に達成できる数値です。別に、総人口や生産年齢人口の増加は必要ありません。といいますか、生産年齢人口の増加は、生産性向上の足かせになるため、むしろ邪魔です。


 さて、冒頭のエントリーにおいて、土木学会が公表した、首都直下型地震、南海トラフ巨大地震により、日本国がその後の20年間で「失う」ことになる所得の試算を取り上げました。


● 首都直下型地震 778兆円
● 南海トラフ巨大地震 1410兆円


 ですが、上記はあくまで「失われる所得の累計」であり、生産資産(交通インフラ、ライフライン、建築物、工場、機械・設備など)の破損とは違う話になります。


 生産資産とは、文字通りストック(資産)の話です。当然ながら、大震災により、日本に蓄積された生産資産は破壊されます。


 生産資産無しでは、所得を稼げません。というわけで、大震災の際には、まずは生産資産の破損があり、続けて「生産資産が破壊された故の、所得縮小」が発生するのです。


 その「所得縮小」分が、778兆円であり、1410兆円なのです。ストックとフロー(所得=GDP)を混同しないようにご注意ください。


                


最大規模の高潮 東京や大阪は100兆円超の経済被害
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20180608/k10011468391000.html
 東京や大阪が想定される最大規模の高潮に襲われると、最悪の場合、それぞれ100兆円を超える経済被害が発生するおそれがあることが土木学会の推計でわかりました。
 東京と名古屋、それに大阪の三大都市圏では、国や自治体がそれぞれ想定される最大規模の高潮や洪水の想定を公表していて、土木学会の委員会はこれらを基に経済への被害について初めて推計しました。
 浸水による建物などの直接の被害に加え、交通の寸断や生産設備の被害などによる1年余りにわたる経済への影響も推計した結果、いずれも最悪の場合、大阪湾の高潮で121兆円、東京湾の高潮で110兆円、伊勢湾の高潮で19兆円の被害が発生するおそれがあることがわかりました。(後略)』


 同じく土木学会が、「高潮」により東京や大阪が受ける所得への影響の試算を公表しました。


 東京も大阪も、最大規模の高潮により、100兆円を超す経済被害を受けます。東京の場合、一年間のGDP(都民経済計算)以上が吹き飛ぶ計算になります。


 大阪府の府民経済計算は約40兆円なので、何と三年分です。


 特に、大阪の場合は、昔は「湾」でございました。大阪城の位置に南から半島が突き出し、北が「水道」。生駒山の手前まで「海路」で行くことが可能だったのです。


 大阪は次第に海が引き、湿地帯に変わっていきましたが、全体的に「低地」であることに変わりはありません。というわけで、高潮のリスクは大阪の方が東京よりも高いのです(どっちもどっちですが)。


 わたくしは、品川駅からほど近い、港区の運河の脇のマンションに住んでいます。台風や高潮になると、運河の水が上昇し、毎回、ヒヤリとさせられます。実際に「最大規模の高潮」が起きた場合、わたくしは間違いなく被災者になります。


 もちろん、一週間分の水、食糧等の準備はしていますが、「世界最高水準」で交通インフラが整備されており、かつリニア新幹線の駅までもが建設されている品川近辺であっても、高潮一発で「被災地」と化してしまうのです。


 我々は、これほどまでに脆弱な国土で暮らしている。現在の安全は、「たまたま、災害が起きていない」が故の、単なる「幸運」であることを自覚し、国家としてやるべきことを果たす必要があります。


 土木学会が発表した「リスク」について真剣に受け止めることができない政治家は、我が国には不要なのです。


「政治家は土木学会が発表した『リスク』を真剣に受け止めよ!」に、ご賛同下さる方は、

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