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『言語と民主主義①』三橋貴明 AJER2018.4.24
https://youtu.be/7l3zThwiv-k    
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 予想通りというか、当たり前というか、米朝首脳会談の中止または延期を示唆する報道が出始めています。


米朝首脳会談の延期を示唆、トランプ氏 
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO30847340T20C18A5000000/
 トランプ米大統領は22日、6月12日に予定している北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)委員長との首脳会談の開催が遅れる可能性を示唆した。「もし会談が開かれない場合、後になるだろう。6月12日に実現しないかもしれない」などと語った。ホワイトハウスで韓国の文在寅(ムン・ジェイン)大統領との会談の冒頭で記者団を前に語った。
 トランプ氏は首脳会談の開催には一定の条件を満たす必要があるとの認識を表明。それが満たされなければ「開かれなくてもいい」と語った。金委員長について「非核化に真剣だと思う」としながらも「北朝鮮は偉大な国になる可能性がある。チャンスをとらえないといけない」と訴え、ここにきて態度を硬化させている北朝鮮に完全な非核化に応じるよう促した。(後略)』


 もともとは、北朝鮮側が米朝首脳会談を中止する可能性に言及し、それにアメリカのペンス副大統領が反発。5月22日に、
「金正恩がトランプ大統領を翻弄できると考えているとしたら大きな間違いだ」

 と、釘を刺し、さらにトランプ大統領が「延期を示唆」という段階に至ったわけです。


 ちなみに、ペンス副大統領も「完全かつ検証可能で不可逆的な非核化」をアメリカ側が求めていることを改めて強調しています。

 お判りでしょうが、北朝鮮は「米韓合同軍事演習」に反発し、南北閣僚会議をキャンセルし、米朝首脳会談中止を言い出したと報じられていますが、話は逆でしょう。米朝首脳会談が、条件や合意事項で折り合えず、どうにもこうにも開催が不可能であるからこそ、態度を硬化させたとみるべきです。


 アメリカ側としても、北朝鮮(朝鮮半島、ではなく)の「完全かつ検証可能で不可逆的な非核化」を金正恩が飲まないことが明らかである以上、会談しても意味がないという話になります。首脳会談では、トップ同士が会う前の段階で全ての合意事項が決定されているわけですが、その見込みがつかないという話なのでしょう。


 北朝鮮側としてみれば、米朝首脳会談を中止し、その際に「アメリカを悪者にする」国際世論を少しでも形成できれば、「今までよりはマシ」という状況になるのです。間違いなく、中国とロシアはアメリカを悪者化する北朝鮮を後押しするでしょう。



 しかも、トランプ大統領は金正恩並とは言いませんが、西側メディアに受けが悪い人物です。会談中止をトランプ大統領の責任にしようとする西側メディアは、決して少なくないでしょう。


 現在の「確固たる経済制裁」に風穴を開け、中国やロシアなど「反米陣営」から支援を受け、とにもかくにも時間を稼ぐ。そして「核搭載型ICBM」を完成させ、太平洋に実射し、核実験を行う


 それに成功した場合、さすがのアメリカも、これまでのように強気の交渉はできなくなります。

 そして、北朝鮮を核保有国として認めてしまうと、同国の核技術がイランに流れる。対岸のサウジアラビアはもちろん、ヨーロッパまでもが射程圏に入る。すると、なくともサウジアラビアは核武装をすることになり、「核拡散」という悪夢が現実のものになります


 そうなると、アメリカや中国が最も嫌がる話ですが、わが国も「核武装」という議論が起きるべきですし、少なくともわたくしは主張します。

 韓国は韓国で、独自に核武装を求める(保守派の)声も出るでしょうが、文在寅はむしろ北朝鮮の核の傘に入る形で「連邦国家樹立」を目指すと思います。


「核保有国となり、日本を見下せる!」
 といった世論が煽られれば、韓国国民はむしろ連邦国家に賛同するでしょう。


 という形で、世界の情勢がガラリと変わってしまう可能性が高いのが、米朝首脳会談中止なのです。アメリカとしては、首脳会談を中止し、核ミサイルを完成されたらたまったものではないため、早期の「軍事攻撃」という話にならざるを得ません


 もっとも、朝鮮半島近海でアメリカに武力を行使されることは、中国のアメリカに対する基本戦略A2AD(接近阻止・領域拒否)と真っ向から衝突します。いよいよ、となると、むしろ中国が金正恩を排除し、「現状維持」のために動く可能性もあります。


 ともあれ、米朝首脳会談までの二十日間、事態は二転三転することになるのは確実です。


 我々はこれまでの常識が全く通じない、東アジアに生きているという現実を認識しなければなりません。大変残念な話ですが、東アジアはすでに「平時」ではないのです


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