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『韓国の易姓革命①』三橋貴明 AJER2018.4.17
https://youtu.be/9OfVgrlU24k

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 改めて、EU(欧州連合)とは現代において、最も完成された「グローバリズムの国際協定」です。


 EU加盟国は、自国の主権に基づき、自由貿易、規制緩和、財政政策といった政策を決めることはできません。というよりも、そもそもマーストリヒト条約が、互いの「自由貿易」の制限を禁止しています。


 当然ながら、移民の制限もできません。(※EU加盟国同士では)


 つまりは、EUに加盟していることで、各国の国民は「主権」の一部を奪われ、民主主義を制限されていることになります。


 何しろ、どれだけ反移民の世論が盛り上がり、
「EU加盟国からの移民も制限しろ!」
 と人々が動き、政治家を当選させたとしても、移民制限は不可能なのです。


 というわけで、加盟各国の国民の民主主義を制限しているEUの新リーダーたるマクロン大統領が、
「欧州で民主主義を巡って「内戦」が生じている」
 と、演説しました。


マクロン仏大統領、欧州議会でEU結束呼び掛け 「欧州ではある種の内戦が起こりつつある」
http://jp.wsj.com/articles/SB12403095601924873365004584170624047690270
 フランスのエマニュエル・マクロン大統領は17日、欧州議会での演説で欧州の結束を呼び掛け、欧州連合(EU)の統合深化に向けた支持拡大に乗り出した。
 多くの向きはEUをエリート主義のテクノクラート(技術官僚)集団とみており、マクロン氏が掲げるEU統合強化構想には域内から反発の声が上がっている。同氏は欧州統合プロジェクトの利点を有権者に改めて理解してもらいたいとの考えだ。有権者が経済的保障への不安や、移民や文化の急変についての懸念を抱く中、ここ数年でEU懐疑派の政党が台頭している。
 マクロン氏は、欧州でナショナリズムが高まる中、力を合わせて「新しい欧州人の統治」を作り上げようと呼び掛けた。
「欧州ではある種の内戦が起こりつつあり、時として結束よりも相違点や国のエゴが重要視されているようだ」と語った。』


 マクロン大統領に言わせれば、欧州で「民主主義を巡った内戦」が起きているそうでございます。


    


 内戦とは、「国内の戦争」だと思うのですが、現在の欧州で起きているのは、「民主主義」により国家が動いた結果としての、国際協定たるEU内における「国家間の利害衝突」です。内戦じゃありません。


 具体的には、先日のハンガリー総選挙におけるオルバン首相率いるフィデス・ハンガリー市民連盟の圧勝。さらには、イタリア総選挙における五つ星運動、及び「同盟」の勝利に、マクロン大統領は「危機感」を持っているようですね。


 マクロン大統領は、演説で、
「利己主義のナショナリズムが欧州の結束を阻んでいる」
 と指摘しましたが、ナショナリズム(国民主義)的な政策を民主主義により選択することは、少なくとも「国民国家」の主権の範囲の内です。


 例えば、ハンガリーで民主主義がオルバン首相を追い落としたとすると、マクロン大統領は同国の民主主義を「絶賛」するのでしょう。とはいえ、オルバン圧勝にしても、民主主義の結果なのです。


 何を言いたいかと言えば、マクロン大統領は欧州統合という名の「欧州各国の解体」の方向性を、普遍的な「善」であると認識しているんだなあ、と思ったわけでございます。


「オルバンを追い落とす民主主義は善」
「オルバンを圧勝させる民主主義は悪」


 これは、明らかに変ですよね。民主主義は「国民の意思」の表明に過ぎないため、「オルバンを圧勝させる民主主義は悪」となると、「ハンガリー国民は悪」と言っているのも同然になってしまいます。


 それにも関わらず、マクロン大統領はEU=グローバリズムの流れに逆らう「国民の意思」について、利己主義のナショナリズムとレッテルを貼り、全否定する


 日本でいえば、朝日新聞を代表株とするメディアや、野党の政治家たちが、
「とにかく、安倍政権は悪。打倒されるべき」
 と、個別の政策の評価ではなく、とにかく政権の支持率を下げること「だけ」に全精力をふりむける光景。


 あるいは、構造改革派が、現実を無視して「改革! 改革!」の大合唱を止めず、懐疑派に対し、
「改革に逆らうのか!」
「改革を後退させるのか!」
 と、抽象論で攻撃する光景


 さらに言えば、デフレが深刻化し、却って財政を悪化させるにも関わらず、財務省とその飼い犬たちが、
「消費税増税やむなし!」
「社会保障支出の削減!!痛みを伴う改革が必要だ!」
 などと、国民貧困化策を主張し続ける光景


 あらゆる政策は、タイミングで決まります。グローバリズムにしても、ナショナリズムにしても、いずれも「普遍的に善な方向性」ではありません。


 それにも関わらず、多くの国で政策が「普遍的に善」と主張するイデオロギーで決まり、イデオロギーに抗う勢力をプロパガンダで攻撃する。(マクロン大統領がやっているのは、レッテル貼りという立派なプロパガンダ)


 別に、今に始まった話ではありませんが、イデオロギーは本当に「人類」に害を及ぼします


 人類はイデオロギーではなく、知性と常識に基づいた政治を取り戻さなければなりません。さもなければ、未来は確実に暗澹たるものになるでしょう。

「イデオロギーではなく、知性と常識に基づく政策を!」に、ご賛同下さる方は、

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