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『文明の生態史観①』三橋貴明 AJER2018.4.3
https://youtu.be/5anwlKkYWQ0
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昨日は、チャンネル桜「闘論!倒論!討論!2018 日本よ、今... 経済討論「財務省主導の経済でいいのか?日本」」の収録があり、財務省問題や緊縮財政、PB問題について有意義な議論ができたのですが、わたくしは三時間目に、
「最もまずいのは、インフラでも防衛でもなく、科学技術予算(の抑制)です」
と、主張しました。
何しろ、科学技術は防衛力強化やインフラ整備の「基盤」になります。PB目標が破棄され、予算が十分に確保できたとしても、科学技術力が凋落してしまっていた場合、防衛力強化やインフラ整備はできないのです。
そして、すでにして我が国は科学技術強国から「凋落」してしまっております。
「このままでは、科学技術強国から凋落する!」
ではありません。
すでに、日本は科学技術強国でも何でもないのです。
理由はもちろん、財務省が主導する緊縮財政により、科学技術予算が低迷を続けているためです。(さらに、大学改革という名の緊縮財政の影響も大きい)
【2000年度を100とした場合の各国の科学技術関係予算の推移】
http://mtdata.jp/data_59.html#kagaku
2000年と比較し、中国は科学技術関係予算を何と11倍超にしました。韓国が4.7倍、アメリカ、イギリス、ドイツといった先進国ですら、1.5倍前後には増やしています。
それに対し、我が国は1倍。
これまた「国家的自殺」の一場面でございます。
こんな有様ですから、当然ながら我が国は科学技術力が弱体化し、「幻の科学技術立国」と化してしまったのです(化しつつある、ではありません)。
『幻の科学技術立国 第1部 「改革」の果てに/1 得意の材料分野で周回遅れ 衰退の現場を歩く
https://mainichi.jp/articles/20180405/ddm/016/040/013000c
近年、日本の研究力を示す各種指標は低下の一途をたどり、中国を筆頭に科学技術新興国が台頭する中で、日本の存在感は急速に失われつつある。皮肉にも、政府はこの十数年間、科学技術政策を成長戦略の柱と位置付け、研究費配分の「選択と集中」や国立大の法人化など、さまざまな政策を進めてきた。第1部では、待ったなしの衰退の現場を歩き、こうした「改革」の副作用を考える。(後略)』
材料科学の世界において、1993年から95年(つまり、日本の絶頂期)の我が国の論文シェアは12%。アメリカに次ぐ二位で、かつ三位以下を引き離していました。
ところが、13年から15年は4.4%で五位。アメリカはともかく、中国、韓国、インドにすら後塵を拝している状況です。
GDP1000ドルあたりの論文数でみると、日本は15.9で、何と世界47位。ブルガリアやラトビアよりも下です。
「実質国内総生産(GDP)当たりの論文数はラトビアやトルコと同じくらい。データ上は、日本は科学技術立国とは言えない」(豊田長康・鈴鹿医療科学大学長)
日本の科学技術力凋落の主因として挙げられるのが、特定の分野に対し、研究資金を重点的に配分する「選択と集中」政策です。「選択と集中」といえば聞こえはいいですが、要するに緊縮政策です。
科学技術予算全体が増えず、「大学改革」などと称し、ひたすら大学予算を削減。大学の研究者や教授に対してまで、「資金は自分で確保しろ」などとバカなことをやり続けた結果が、現在の惨状なのです。
ちなみに、わたくしは日本が科学技術強国から凋落したことを受け、
「だからダメだ! おしまいだ!」
と、言いたいわけではありません。
なぜ、このような事態になったのか。財務省主導の緊縮財政以外に、主因は存在しないという「事実」を知って欲しいのです。
安倍政権は、今でもPB黒字化目標という緊縮目標を掲げています。PB黒字化目標がある限り、我が国が科学技術予算を拡大し、再び科学技術強国を目指すことはできません。
二十年後には、我が国は科学技術分野において世界の劣等国と化し、「以前はノーベル学者が出たのになあ・・・」などと、指をくわえ、ノーベル賞の発表を見ている状況になっているでしょう。
今年の6月。安倍政権は骨太の方針2018を閣議決定します。そこに「PB黒字化目標」が入ってしまうと、我が国はインフラ小国、防衛弱小国に加え、科学技術劣等国にまで落ちぶれることが、ほぼ確定すると覚悟しなければならないのです。
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